Larry Carlton「ROOM 335」のコード進行を科学する

By | 2013年3月29日

ラリー・カールトンのROOM 335といえば、ギタリストなら避けて通ることはないギターインストの定番曲。メロディは実に軽快で味わい深く、かつ非常にキャッチーで、誰でも口ずさめるポップさを持ってます。が、そのコード進行はかなりキワモノ。サビの進行はアドリブするにはおよそ難解に過ぎて、実に難しいです。しかも原曲のソロの完成度が異常に高いので、ライブでコピーするときにもそのまま完コピしてる人が多いんじゃないでしょうか。

今日はそんな難解なコード進行に少しメスを入れてみます。譜面は手書きの汚さ全開ですが、我慢して下さい。

 

イントロ〜Aメロ部

335-1

まず、イントロからAメロにかけて繰り返されるこの進行。コード的にはDmaj7から始まってますが、キーはAです。IVmaj7始まりなのにあまりそう聞こえないのが不思議。原曲のソロはここのところ、ほぼAメジャーペンタトニックだけで弾かれています。

途中で1音半転調して、キーはCになります。

サビ前のキメ部分

335-2
サビの前のキメの進行。ベースラインだけ見ると、半音ずつ上がる進行が3回繰り返される感じ。1回ずつ転調しており、キーだけで言うと、Aメジャー→Cメジャー→Dメジャー となってます。強引にフレットを平行移動するだけでもソロは取れます。ていうか、うまくスライドしながら横移動でつなげていくだけで、無駄に知的に聞こえます

ちなみに、分解すると下の五線上に書いてるみたいになってるっぽいです。各ディミニッシュコードは7thコードの代理。B7(-9)はD#dimと構成音が同じで、B7自体がE7に対するV7になってます。こういうのをセカンダリー・ドミナントと言ったりします。が、この部分はよくある進行だし、単なるパッシング・ディミニッシュということで終わりかも。最後のD/Eは雰囲気的にE7じゃなくてEm7の代理かもしれません。

ちなみにこの部分、ソロの時だけ3/4じゃなくて普通に4/4です。バンドでコピーする際にドラマーが高確率で事故るところ。

問題のサビ部分

さて、問題のサビ部分です。上のキメでキーAからDになっていて、Dmaj7からのスタート。

335-3

Dmaj7 – F#7 〜〜

出だしは普通の進行ですが、さりげなくIII7があったりするので、ソロの時は特性音であるF#7の3度”Bb”の音をうまく入れてやります。ここはDメジャースケールにBbの音を混ぜる雰囲気でよいかと。イングヴェイ大好きな人は、このF#7の部分でBハーモニックマイナーを怒濤の如くぶち込んでやりましょう。でも、その後が続けられるかは保証できません。

 

Am7 – D7 – Gmaj7

ここでDメジャースケールが合わなくなります。IVmaj7に向かうツーファイブで、最近では普通のポップスにでも平気で出てくる定番の進行。この手の進行部分は自分で手持ちのフレーズを持ってる人も結構います。が、何もなかったら、とりあえずGメジャースケールを弾いときましょう。ツーファイブ進行の部分は最後のIの部分がその部分のキーになります。

この部分は原曲では細かい分散和音を重ねて、相当難解なフレーズを弾いてますが、あれも多分キーをGと見て、その上で仮想のコード進行を見立ててるんじゃないかと思います。カールトン本人がインタビューで、「ソロを弾くときはスケールじゃなくコードを感じている」みたいなことを言ってるので。

 

G#dim

恐らくC#7の代理。譜面4段目に書いてます。が、ここはどうも原曲でもソロでは無視されてるような感じなので、そのまま適当にお茶を濁して次のF#m7に行っちゃってもいいかも。なんせ2拍だけだし。ちゃんとコードにあったフレーズを弾く場合は、額面通りG#のディミニッシュを弾くか、C#7のオルタード系のフレーズなんかがはまります。ただ、なんせ2拍しかなくてテンポが速いので、これもアドリブでぶち込むのは至難。練習しないとね。

 

F#m7 – B7 – Emaj7

1周目ではEmaj7にきれいに解決してます。F#m7 – B7の段階では、まだ次はEmが来るような響きを持っているので、Eマイナースケールというか、Gメジャースケールというか、その辺がきれいにはまります。Emaj7になった瞬間に、思わぬ明るい響きが来る感じがします。ここではスケールはEメジャースケール。EmでなくEmajが来てることを意識させたければ、マイナーとメジャーの相違点でもある3度の音(この場合はG#)を小節の頭で選んでやります。ちなみに、ジャズっぽくツーファイブのフレーズを放り込めるなら、F#m7 – B7 の部分でぶち込んだらかっこいいです。

 

F#m7 – Gm7

F#m7はキーEのIIm7として見て、そのままEメジャースケールを弾き続ける。Gm7ではそのまま半音上がってるので、Fメジャースケール。コードがGm7だけなので、Gマイナーペンタとかでもいいですね。

 

サビ部分2周目

1週目とほぼ一緒で、最後だけが違ってます。F#m7からがIIIm7 – VI7 – IIm7 – V7 といわゆる「サンロクニーゴー」進行で、次がImaj7じゃなくて何故かIVmaj7のGmaj7に解決。最後の最後まで凝ってますが、ここがGmaj7なのがまたかっこいいのです。

アドリブする場合はいわゆるジャズのサンロクニーゴーフレーズをそのままやるか、キーにあわせてDメジャースケール一発で駆け抜けるか。個人的には後者が好き。っていうか、ロックギタリスト的発想ならそうなってしまうというか。

 

さいごに

で、最後にちょっと僕が弾いてみたソロを。

「無視っても大丈夫じゃないか」とか書いてるG#dimをきっちり追ってたり、書いてることと違うことをやってる場所が所々ありますが、練習してるときにいろいろ試している結果が出ている感じでしょうか。原曲の鮮やかフュージョン色が希薄で随分とロックっぽいですが、これは僕自身のスタイルの問題です。まぁ、こんな335があってもいいんじゃないかと。

“続”ではこのソロをどう弾いたか解説やってますので、気になる方がいましたら見ていってください。


6 thoughts on “Larry Carlton「ROOM 335」のコード進行を科学する

  1. ようすけ

    素晴らしい解説でわかりやすかったです。
    ありがとうございました。

  2. まーかー Post author

    ご訪問ありがとうございます。
    あの曲はキャッチーなのにすごく複雑ですよね。
    何かの役に立てば嬉しいです。

  3. まこと

    すごく解りやすいですねぇw
    是非スティーブルカサーのsong for jeff も^^;解説して欲しいですw

  4. まーかー Post author

    コード進行の複雑さもさながら、ソロもうまく乗せるのが難しい進行ですよね。このシリーズ、他の曲も考えてはいるんですが、この曲ほど複雑な進行で、かつ知名度の高いのがあまりないので、悩みどころです(笑)

  5. Aki

    まーかー(森多健司)様、初めまして。
    過去記事へのコメント、すいません。

    貴ブログの「Larry Carlton「ROOM 335」のコード進行を科学する」
    の内容がとても素晴らしいので、私のブログで引用させて頂きました。
    事後報告になりましたが、了解していただければと思いご連絡しました。

    その記事の中で Room335を、カバーしたものをアップしてみましたが、
    テクニカルなコード進行に難渋しました。
    プロ?のまーかー様に聞いてもらうような出来ではありませんが、
    暇なときにでも、私のブログ「Weekend In 心は L.A.」を覗いてみて下さい。
    今後ともよろしくお願いします。

  6. まーかー Post author

    コメントありがとうございます。いやいや、褒められるほどのものではありません。適当に殴り書きしたものを雑に解説してるだけのこの記事が、ブログ内でもえらく人気なのに僕自身も驚愕している所存です。
    このコード進行は魔法のような進行ですよね。これほど転調を繰り返すのにメロディには何の違和感も無い、やはりラリー・カールトン最高の一曲だと思います。
    今からそちらのブログにも寄せてもらいますね。

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