ギターソロ解析〜シルヴァン・リュック「Isn’t She Lovely」

※これはビレリの方のソロだと思っていましたが、シルヴァン側であったことをYouTubeのコメントで指摘されました(恥) というわけで、当初の投稿ののち、文章及びタイトルを全部差し替えております。

ジャズっぽいですが、かなりアヴァンギャルドな速さも併せ持っている、シルヴァン・リュックのソロです。

弾く際には基本的に素早い動きに慣れていればそんなに極端に難しくないんですが、フレーズはウィットに富んでます。ちなみに、最後のハーモニクスの部分は書いてありませんが、あしからず。

キーはGメジャー、コード進行は

Em7 – A7 – Am7/D – Gmaj7

Em7 – A7 – Am7/D – Gmaj7

Cmaj7 – B7 – Em7 – A7

Am7/D – Am7/D – G – B7

となってます。A7はII7。
最後のB7は原曲には存在しないコードですが、これを入れるのがジャズ・ギタリストならではのアレンジといえます。

音源はこれに入っていますが、久々にギターを聴いて感動を覚えたアルバムです。全ギタリスト必聴。超おすすめ。

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出だしの2音目、3弦8fが入りますが、これはコードB7の3度の音。ここを出すだけでコードがはっきりします。

下段アタマの16分音符の羅列はハーモニックマイナースケールといった方がいいでしょうね。B7から見るとBハーモニックマイナー・フィフス・ビロウという長ったらしい名前になりますが、Eのハーモニックマイナーです。V7 – Im というときに、V7の箇所で Im のハーモニックマイナーを弾くと綺麗に響きます。

下段2小節目、バックはEmですが、フレーズはGmaj7っぽいですね。3弦10f→11fのm7thからM7thへの移動が心憎い響きです。

下段3小節目、A7の時に1弦11fは#11th。b5thとも書けますが、A7はII7に当たりますので#11thというのが正しいです。それにしても、II7の時にここまで#11thをびしっとはめてくるあたり、素晴らしいとしか言いようがありません。

 

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この部分はわりとポジション移動も少なく、普通のスケール弾きになっています。最後が凝っているぐらいでしょうか。

上段2小節目、後半のフレーズはBのオルタードです。上には書いていませんが、ビレリの方がB7を弾いてます。僕はバックを録音するときに弾き忘れたので、Gのままになってます。

下段3小節目、1弦9fが入りますが、ここはGメジャー・スケールで追うと、8fになります。バックのコードがA7なので3度が9fになり、それを入れることでAm7ではなくA7であることをはっきりさせています。この辺の入れ方もなかなか真似の出来ない名人芸です。

 

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最後の部分。上段の最後でワンコーラスが終わり、下段から2コーラス目に入ります。2コーラス目のほとんどはハーモニクス部分です。

下段出だしの速弾きに尽きます。5弦7fはB7の5度の音になるので、V7やIII7のときに、5度から始めるクロマチックのアプローチとして、まるまるヒントになりそうな部分です。ですが、ちょいと難しいです。このソロでの最難関はここだと思います。

最後の2小節、Em7 – A7ですが、この後ろで弾いているフレーズは D – B です。前半はまだD7のコードトーンを上に載せたというのでアリですが、後半はよくわかりません。B/A7というのはどうにもアッパーストラクチャーとしても響きがいい気がしないのですが…。ただ単に間違えただけなのかもしれませんが、さすがにそれはなかろうという気もします。誰かわかりましたら教えて下さい。

 

というわけで、ざっと解説してみました。かっこいい上に、なかなか多彩さに富んだソロなので、あまりJAZZ系に馴染みのない方でも弾いてみると面白いソロだと思います。ビレリ・ラグレーンの方も機会があればやりたいんですが、比較にならんぐらい激ムズなので、準備にしばらくかかりそうです…。

理論的なことがもう少し知りたいという方は ギター講座:理論編 も合わせて参考にどうぞ。