SOLAS「Shamrock Cityコンサート」ライブレポ

去る2014年5月末、Solasが大阪に来るというので行ってきました。あまり日本に頻繁に来るバンドではないので、貴重なライヴです。

メンバーは来れなくなったノリアナ・ケネディの代わりに、初代ヴォーカルのカラン・ケイシー、アコーディオンも正規メンバーのミック・マコーリーの代理としてジョニー・B・コノリーが参加し、5人の編成でした。

シェイマス・イーガン(ギター、バンジョー、フルート、ホイッスル)
ウィニフレッド・ホーラン(フィドル)
イーモン・マッケルホルム(ギター、ヴォーカル)
カラン・ケイシー(ヴォーカル)
ジョニー・B・コノリー(アコーディオン)

ヴォーカルのカラン・ケイシーに関しては、初代ということもあってか、歴代で一番人気が高いのもあるので、今回の代理抜擢はファンとしては嬉しいニュースでもありました。

コンサート自体は二部制となっていて、前半は「Shamrock City」の曲で埋められ、後半は往年のナンバーも含めて演奏という塩梅。

このコンサートのメインでもある「Shamrock City」の曲を再現する前半は今回のライブのハイライトでもありました。シェイマスは傍らに置いたパソコンを操り、ムービーや効果音も全て再現。アルバムの通り、イントロが流れた後に1曲目の「Far Americay」が始まります。

カランの歌は相変わらず全く声質が変わらず、非常に透き通った声が健在。ゆったりと聴かせる曲では、ひょっとして原曲よりいいんじゃないかと思えるほどのものがいくつかありました。曲間には両端のスクリーンに日本語訳も付いたムービーが流れる念の入れようで、このアルバムの持つ精神性を強く押し出そうとする姿勢を感じました。

 

その後は、途中まではMCなども挟みつつもおおむねアルバムの曲順通り演奏されましたが、中には演奏されなかった曲があったり、アルバム中アメリカン・カントリー・ブルースの雰囲気が強い「Lay Your Money Down」をラストに持ってきていたり、アルバムの持つ精神性は最大限に再現しつつも、ライブとしてのエンターテイメント性にも気を配ったセットリストだったように思います。

 

二部では往年の曲とインストに重きを置いたセットリストになっており、名曲「Reasonland」や「Pastures of Plenty」もこのときに聴くことが出来ました。

1部では歌詞を見ながら歌っていたカランも、さすがに昔歌っていた曲では譜面台も置かず、余裕の面持ちで歌いあげていました。今回の代理抜擢が急な話であったことを思わせます。Reasonlandでの歌は、まさに天上の声という雰囲気で、未だに根強い人気を誇る理由が身をもって実感できます。

 

今回は5人ということで、曲を再現する上での最小限のメンバー数だったように思いますが、リーダーのシェイマスは足でトリガーを踏んづけてバスドラムやタンバリンを打ち鳴らしたり、曲中に頻繁に楽器を持ち替えたりしながら、バンドの頭脳ぶりを遺憾なく発揮。

ウィニーのフィドルは冴えまくり、細かい装飾音符が入り乱れた速いフレーズをこれでもかというほど弾き倒したかと思うと、バラードでは美しく歌い上げる、非の打ち所が無い素晴らしい演奏。MCも半分以上を担当し、英語の苦手な日本人を相手に分かりやすく話そうとしてくれていたのが印象的でした。

ギターのイーモンが紡ぎ出すリズムはバンドの屋台骨を担っており、ドラムのいないバンドの中、ギターであそこまでリズムを出せるのか、と同じギター弾きとして舌を巻く思いで見つめていましたが、適当にストロークしてるように見えて、実際には低音と高音の弾き分けを巧く使い、曲中のリズムを支配しているように感じました。

足下を覗きに行くと、Takamineのギターにボスのコーラスとチューナーを繋いだだけの超簡単セッティング。そりゃ、エレキギターじゃないからなあ…。

アコーディオンのジョニーも譜面などは置かずに、細かいユニゾンを淡々と余裕で弾く超絶ぶりでしたが、三人の正規メンバーの演奏が非常にレベルの高い安定したものであったがゆえに、ゲストの二人が安心して自由に乗っかれたのではないかと思えます。

 

下のはKaran Caseyの1stソロ作。若かりし自分の写真に爆笑していました。
下のはKaran Caseyの1stソロ作。若かりし自分の写真に爆笑していました。

Solasの魅力は、アイリッシュ音楽特有のユニゾンの多いアップテンポなインストと、美しい透明感を持った歌の両面を、高いレベルでうまく溶け合わせているところ。特にバラード曲での透明感は唯一無二ではないかと個人的には思っているところですが、今回それを生で体験し、強く再確認できた素晴らしいライブでした。