ヨーロッパ周遊の旅(7)〜エストニア・タリン

”ヨーロッパ周遊の旅”と銘打った旅行記事もこれで最後となりました。フィンランドのヘルシンキからフェリーを使って、対岸のエストニア首都タリンまで行きます。

タリンはたまにテレビの旅行番組でも目にすることがありますが、中世の城壁がそのまま現存する世界遺産都市。直接エストニアに乗り付けるよりは、ヘルシンキからフェリーで行く人の方が日本人には多いんじゃないかと思います。

タリンクシリヤラインのフェリー
タリンクシリヤラインのフェリー

フェリーはいくつか候補があるみたいですけど、定番のタリンク・シリヤラインを選びました。予約の際には部屋を取ったりもできるようで、もしスウェーデンとかまで行こうと思うと一日がかりになるので、船で一泊というのもいいかも、という感じ。一応往復のチケットをとり、かつ帰り便の際には昼食のビュッフェも予約しておきました。このビュッフェはなかなかに美味しい食事で、品数も随分と多くて、満足できました。

タリンク・シリヤラインのフェリーは日本の感覚からでは中々あり得ない大きさ。ヘルシンキのランシターミナルには最近トラムが直通するようになったようです。飛行場みたいなどでかいターミナルでした。タリン港までは大体2時間半ぐらいの船旅。

 

タリンに着くと、しばらくは殺風景な道を歩きます。とりあえずみんな旧市街に向かうので、ある程度は着いていけば問題ないです。旧市街まではわりと距離があって、15分ぐらいは歩いたかなという感じ。そのうち尖塔が見えてきて、石積みのぶっとい塔が目に付くようになります。

ヴィル通り入り口より。花屋の露店が並んでいます。
ヴィル通り入り口より。花屋の露店が並んでいます。

旧市街中心を貫くのはヴィル(Viru)通り。この通りを中心に色んな所に繋がっているという印象です。街の中心にある市庁舎広場は人でごった返していますが、僕らの行った時は音楽のイベントの真っ最中で、余計だったかもしれません。ヴィル通り沿いには料理屋、カフェ、土産物屋が集結しています。

僕らも晩ご飯はここにあった中華料理店。量が山ほどありましたが美味しかったです。まさかタリンでジャスミン茶を飲むことになるとは…。

旅行雑誌とかでよく目にする場所です
旅行雑誌とかでよく目にする場所です

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タリンの街並みは今まで見たどことも違う独特の雰囲気が出ていて、崩れ落ちた城壁がそのまま残っていたり、いわゆる近世ドイツ的ではない細かい石積みの塔や、赤い三角帽子のような屋根が街の至るところに見られます。800年も前の城壁の前で露店が建ち並んだり、オープンカフェをやっていたり、街全体がいきいきと動いている様は感動的。

ドラクエの世界をリアルで歩くとすればこんなところかもしれません。

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街自体はローワータウンとトームペアに分かれています。トームペアは小高い丘になっており、城や教会など歴史的建築物が多いです。トームペアへ上っていく道のふもとには日本から友好の証として送られた桜も。

アレクサンドル・ネフスキー教会はとくに存在感を放っていますが、この形からは、歴史的にも位置的にもロシアと密接な繋がりを持っていたことを感じさせます。

「友好の桜」フロム・ジャパン
「友好の桜」フロム・ジャパン
アレクサンドル・ネフスキー大聖堂。ロシアっぽい。
アレクサンドル・ネフスキー大聖堂。ロシアっぽい。

トームペアには展望台があり、そこからはタリン旧市街が海ごと見渡せます。ここで日本人団体観光客とすれ違いましたが、スロヴェニア・ブレッド湖の時と同じく、「日本人の団体はどこにでもいるなあ」とひしひしと感じました。

海と赤屋根の並ぶ風景は少し魔女の宅急便的なものを思い起こさせます。

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というわけで、タリン旧市街散策を堪能はしましたが、時間が足りなかった感が今でも残っています。「地球の歩き方」とかには半日で十分と書いてありますが、個人的には丸一日費やしても十二分に価値がある街です。僕らは一応タリンで一泊しましたが、昼過ぎに着いて、次の日の昼には船に乗ったので、実質半日ぐらいのものでした。

 

で、その一泊の宿ですが、旧市街からはトラムで数駅離れた住宅街に位置する「Marta Guesthouse Tallin」というところ。エストニアに昔からある古い民家を改装して、ゲストハウスとして運営されているところです。

マルタ・ゲストハウスの周辺。
マルタ・ゲストハウスまで歩く途中、黒猫に出会いました。
周辺は草ぼうぼうの路地に、空き地、崩れた壁や舗装状態の悪い道路とあまりきれいとは言えないんですが、不思議と落ち着いた雰囲気の住宅街。独特の寂寥感が肌に合ったのかも。トラムを出て左に向かい、ガソリンスタンドを曲がり…とメールにあった指示通り歩いて行きます。

目の前にあるのは完全なるただの家。

おそるおそる戸を開けると、斧で薪割りをしている兄ちゃんと目が合います。マルタ・ゲストハウスはここかいな?と問うてみると、そうだという返答が。気さくな兄さんで、いろいろ説明してくれました。

中に入って、予約した屋根裏部屋に入ると、まさに童話や絵本に出てくる部屋がそこにありました。
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マルタ・ゲストハウス内装
マルタ・ゲストハウス内装
Booking.comで「ここに泊まっただけでもタリンに来た価値があった」と書いている方がいましたが、まさにここはそれぐらいの価値があります。非常にかわいらしい内装でありながらお洒落でもあり、置物や壁に貼られた額装などを見ても、センスを感じさせます。夏場は少々暑いかもしれませんが、6月ぐらいならちょうど良い。しかも一泊6000円程度と、実に安い。旧市街からはやや遠いですが、タリンのトラムにのって少し郊外に出るのも、なかなか楽しい経験でした。この宿は今回の旅行でもかなり当たりです。

マルタ・ゲストハウスではその後少しまわりを散歩したりしましたが、完全に住宅街という雰囲気でした。やはり独特の寂寥感はあり、何とも言えない郷愁のようなものを感じたのはよく覚えています。

次の日の昼には港に戻り、ヘルシンキから日本に帰国です。

タリンはそれなりに堪能はしたものの、前述の通り、まだまだ急ぎ回った感が強かったです。旧市街を取り囲む公園を散歩したりとか、街中の土産物屋に寄ってエストニア名産の麻製品をじっくり見たりとか…、出来なかったことがまだまだありました。次に来る機会があったら、もう少しゆっくりと回りたいと思っています。