Ilitch Electronics(イリッチ)「HEAVY METAL」弾いてみてのレビュー

一昔前の歪みペダルのレビューです。イリッチのエフェクターと言えば、歪みを作る際に普通のエフェクターとは異なる回路を使っているというのがウリで、一時期マニアな人が結構使っていましたが、最近はめっきり見なくなりました。

その見なくなったエフェクターですが、僕は結構前から好きで使ってる愛用品の1つですので、敢えて今そのレビューをします。



堅牢な筐体

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さてさて、ぱっと持ってみた感じですが、金属感がありまくりで、かなり堅牢です。むしろ結構重いです。やたらとシンプルな外観も手伝ってか、妙に質実剛健さを感じますが、これなら落とした程度では壊れそうにありません。

左からLevel,Tone,Dyna Dist,Driveと、つまみは4つ。Dyna Distがミソですが、これは高音部分の歪みに対応しているという感じ。絞ると、ドライブを上げ目にしていてもややマイルドに。上げて行くにつれて高域が暴れ出します。歪んではいるけどマイルド、という風な音も作れます。

ちなみにHEAVY METALという名称から、どこまで歪むねんと思いがちですが、実際には昔のハードロックといったレベルの歪み量です。これ1つでメタルは結構しんどいです。むしろブルースとかに全然使える音です。名称で損をしてるんじゃないかと思ったり。



音を鳴らしてみる

家庭用の小さいアンプにストラトから繋いだもの。実際のJC-120とかだともう少し歪む印象ですが、音の傾向ということで。

クランチ

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ドライブが左上、Dyna Distが左。マイルドなブルーストーンが得られます。

ほどよく粘りがあって、明るめの印象。ストラトのリア側PUでもキンキンにならず、良い感じに歪みます。粘り方は確かにチューブアンプのそれを思わせる雰囲気。

Drive全開、Dyna Dist下げ目

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ドライブは全開まで上げて、Dyna Distを下げ目。ゲインは高いが、高域部分はクリーン、というセッティングです。

高域部分が低ゲインなためか、歪みはDriveの量に反して相当少ないイメージ。ぱっと聴いた感じ、DEEP PURPLEとかの時代のゲイン量です。コード弾きの部分では、ストラトな割には中域がよく出ていると感じます。ハムバッカーだとわりと硬質になるかもしれません。

Drive全開、Dyna Dist上げ目

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上のに比べると、明らかにディストーションの域に片足を突っ込んでる音です。

00:27から一時的にゲインが下がるのは、ギターのボリュームを下げてます。ギターのボリュームにゲインが追随するのはチューブ系の特性。ギターがヴィンテージ傾向のストラトなのでこの程度ですが、ハムバッカーを使えば十分ハードロックに耐えうる歪みが得られます。

ちなみにところどころ「ブーン」とノイズが聞こえますが、これはACアダプターからのノイズ。本体は至ってローノイズな仕様です。



音の傾向

全体的にDriveをどこに持ってきても使える優秀なペダル。Driveの変化の仕方も緩やかで、急に暴れ出したりすることもないです。Dyna Distはどのように使うかが難しいところですが、ディストーション系とオーバードライブ系を行き来させる、という程度に思っていて良いかもしれません。

このペダルの最大のポイントとして「レンジの広さ」が上げられます。Exoticのペダルのようにコンプレッションが掛からず、一般的なドライブ系ペダルのように、中高域にピークがあるわけでもなく、クリーンで出したそのままの音が歪んでる感じです。

この辺は好みが分かれるところですが、特にリフやアルペジオ、カッティングなど主体にする時にはかっこいい音になってくれます。反面、ハイゲインでのリードソロをメインにするには、バックの演奏に埋もれて、高域部分だけがキンキン聞こえてくる、という風にもなりかねないように思えます。ブースターやEQでの補強があるといいかなと。

たしか2007年ぐらいに現れてから、最近は数多く現れた歪みペダルのなかに埋もれてしまいましたが、埋もれさせるには惜しい気がします。中古でも安くで売っているので、一度試してみてはいかがでしょうか。