あふれるサウンドエフェクト

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先日、電車で外を見ながらうつらうつらしていたときのこと。後ろで「ピンポン、ピンポン」と矢継ぎ早に連射される音。LINEの着信音である。特に意識してなくても、近場でばんばん鳴らされると実にうるさい。

もともとLINEの音は個人的に嫌いな音のひとつで、スマホは万年マナーモードである。まぁ、そもそもあんまりLINE来ないんだけれども(笑)

どうも僕は神経質なのか、他にも嫌いな音は数多く、たとえばデジタルカメラのAFの合焦音。「ピピッ」というあれであるが、スマホでも鳴ったりするので、カメラを趣味にしている人でなくてもいまや聴き慣れている人がほとんどだろう。神経を使って構図を決めて、いざシャッターを押そうって時に「ピピッ」と鳴ると水を差されたような感じがするのだ。こちらも自分のカメラは設定で無音にしている。

逆にシャッターと絞りが動くあの「カシャッ」って音は好きである。スマホやコンデジでも鳴るがあれは録音されたものがスピーカーから鳴っているだけに過ぎない。実際の絞りとミラーが動くあの機械的なサウンドはまさに一眼レフレックスならではの音だろう。

そんな中で、テレビのバラエティに時折入っている「ええー!?」とか「わぁ〜」とかいう嬌声とも歓声ともつかぬあの効果音。あれこそは僕の一番嫌いな音である。あれが鳴ると、ただでさえほとんど見ないテレビを直ちに消したくなる。というか、実際に消す。あれのせいで、ますますテレビが嫌いになってしまった。

 

そんな中でも今まで生きてきた中で、一番好きなサウンドがある。それがこれ。

The Microsoft Soundというらしく、サウンドというよりは曲の扱いに近いみたいだが、制作はかのブライアン・イーノ。アンビエント音楽の創始者ともされるその世界の巨匠である。柔らかな中に新しい世界を感じさせる、その存在感は見事なもの。これを聞くと、当時中学生だった僕がWin95を求めて日本橋の電気屋をうろつき、家でアップグレードしたのを思い出すわけである。

あの頃のパソコンには発展途上中ならではのロマンがあった。ゲームで言えば、ファミコンやスーパーファミコンの時代に近い。これからこの世界ではどれほどのものが生まれてくるだろうかという、わくわく感。曲のみならず、数秒のサウンドでさえも、人はその周辺の記憶を同時に保存する。この柔らかなサウンドはその美しさのみならず、このわくわく感と一体となり、僕の中の記憶領域に確かに刻み込まれている。