Atomic AmpliFire Pedal導入!実録レビュー

By | 2016年12月9日

モデリングアンプの新星、「Atomic AmpliFire Pedal」を先日ゲットしました。超高性能モデリングアンプは、Fractal Axe、Kemper Profiling Amp、Line 6 Helixが三大巨頭だと思うんですが、この製品は、手の平サイズで価格を下げたというところにおいて、多少方向性が違うように思えます。

下の動画ではAmpliFireだけでオリジナル曲を演奏して、ライン録音しています(ディレイぐらいは後から掛けてますが)。試しにフットスイッチで音の切替もやってみてますので、良かったら見てみてください。

それにしても、届いたばかりの時は、あまりの軽さに「うわっ、おもちゃみたいやん…」と反射的に感じてしまいました。軽量な上にサイズはせいぜいA5程度と、驚異の運搬性です。

箱から出したところ

箱から出したところ


 

アンプモデリング

音質はすばらしく、目を閉じて聴けば、大抵の人にはもはやアンプとの差異が分からないレベルでしょう。

生のチューブアンプから感じ取れる、独特の低音と高音におけるレンジの広さ、ギターのボリュームやトーン、あるいはピッキングの強弱についての追従性などもしっかりと持っており、弾いててストレスを感じないどころか、いくらでも弾き続けていられる気持ちの良いトーンを出してくれます。

種類はまだ少なめ

モデリングの種類は現段階ではまだ少ないです。ファームウェアのv4.0でMesa Boogie Mark IVが追加されましたが、それでもまだ少ない方です。まぁ、使えないものをだらだら入れるより、使えるものを厳選して入れているとすれば、それもまた良し。今後ファームウェアのバージョンアップで増えていく予定のようですし。

下の方はパワーアンプのモデリングなので、ノーカウントで考えた方が良さそう。

下の方はパワーアンプのモデリング。

個人的にはクリーンよりもクランチ~ディストーション系のハイゲインアンプに良クオリティのものが揃ってる気がしますが、クリーンが良いと言ってるレビューもあるので、僕の音作りが悪いだけかもしれません。クリーンであんまり弾かないし。

Friedmanモデリングが超優秀

意外にと言っては失礼ですが、Friedman Brown Eyeのモデリングはかなり気に入りました。Friedmanのアンプとか楽器店でたまに見る程度の認識でしたが、こんなに良いなら現物を弾いてみたいもんです。まぁ、そうそう簡単に買える値段でもないですが…。

と思ったら、Friedmanのエフェクターを発見。こんなものがあるのか…恥ずかしながら初めて見ました。

メタルの定番、Mesa Boogie Rectifireのモデリングは、英語のサイトで、ピーキーで不快な高音があるというレビューを見かけたことがあります。元々レクティファイヤーあんまり使わないというのもありますが、どうも僕にはわかりませんでした。

個人的にもっともよく使うマーシャル系のモデリングですが、ややブライト寄りの音です。ジャキッとしたマーシャル特有の粗さが際だっているので、ワイルドでかっこいい音ですが、聴きようや使い方によっては下品にも聞こえるし、線が細く聞こえる恐れもあります。これをどう思うか、どう運用するかは人それぞれの好みやプレイスタイル次第でしょう。マーシャル系は他にもHotBritという本機独自のものが存在します。HotBritは結構好きな音でしたね。

これはPlexiのモデリングをFractalと比べてるものですが、ブライトさが際立っているのは明らかです。Plexiだけでなく、JCM800もジャキッとしてますよ。

ちなみに、JCM800とFriedmanのモデリングについて実験した音源が下の方にあります。よかったらどうぞ。

 

エフェクト

エフェクトはEQ、ブースト、コンプ、コーラス、ディレイ、リバーブが内包されてます。フェイザーやフランジャーなど、コーラスと同じ原理のものも揃ってるし、ワウなどもペダルを繋げば使えますが、オクターバーやピッチシフターなどの特殊エフェクトはなし。本質的に”エフェクター”ではなく、アンプモデリングがメインであるという方向性がよく出ています。

ブーストはかなり使いやすい

ブーストはTS、BOSS OD-1、Fuzz Faceなどブースターとしてよく使われるものがモデリングされていますが、これはどれも中々良いです。特にV4.0で追加されたClean Boostはアンプの特性を殺さずゲインアップが図れるので、ありがたいです。

BOOST項目

BOOST項目

PEQとディレイは微妙か

グラフィックEQに比べるとパラメトリックEQはかなり使いにくいです。周波数帯域もなんだかおかしいし、PCを使っても思うように作りにくく、なかなかゴールにたどり着けません。EQはアンプセクションの前段にも後段にも配置できるので、うまく使いこなしたいところなんですが、ちょっとコツを掴む必要がありそうです。

ディレイ。驚きの複雑さ。

ディレイ。驚きの複雑さ。

ディレイは同時に4層のディレイタイムを設定出来ますが、音質的には特に個性の感じられない普通のもの。こちらも通常の単純なディレイよりもかなり各要素が複雑で、思った音が作りにくいです。色々作り込め過ぎてよくわからんと言った方がいいです。たかだかギター用ディレイなのに、WAVESのディレイプラグインよりもはるかに複雑とはどうしたことか。リバーブは結構簡単で良い感じなんですけどね。

総じてエフェクトはアンプモデリングに比べるとやや雑な印象。この辺が価格の安さに直結している部分かもしれません。ディレイなどはライヴでは外部FXにコンパクトを繋いでしまった方がいいかも。そのためのセンドリターン。

 

実際に録音してみた

ライン録音は記事冒頭にある僕の動画や、公式のも含めて出回りまくってますので、そっちを参考にどうぞ。ここではスピーカーから鳴らしたものをマイク録音してます。

PA・モニタースピーカーに直結

これがこいつの真骨頂を発揮できるやり方でしょう。キャビネット・シミュレーターをONにしてPAに直。これそのものの音が出ます。

ヘッドホンなんかで音作りを完成させてPAに直接送り込めば理論上はそのまんまの音が出ますが、ライブではヘッドホンで聴くのと違い、巨大なスピーカーから音が出るため、予想以上に低音が出すぎたり、バンドでやったときに埋もれたりすることもあります。この辺は経験者ならよくわかる事例でしょう。

あと、自分のバックにあるアンプから音が出ないというのも、ギタリストとしてはかなり気にかかる要素です。これの対処法としては、AUX OUTからPA、MAIN OUTからバックのアンプのINPUTに送り、バックのアンプは自分のためのモニターとしてのみ機能させるという方法があります。AmpliFireは、AUX OUTとMAIN OUTでキャビネットシミュレーターを別々に設定できるありがたい機能があるので、MAINのみオフにしておけば良いのです。

Roland CM-30

Roland CM-30

ちなみに、僕は家での練習用にこいつをRolandのCM-30というモニタースピーカーに繋いで音を出してます。極々小音量でも望みの音が出せるので、練習はしやすいです。真空管の小さいものも最近は増えてますが、やっぱりある程度の音量を出さないと本領を発揮できませんからね…。

Roland CM-30より直接マイク録音

ギターアンプじゃないので見た目の雰囲気は出ませんが、さすがにRoland随一の売れ筋モニターだけあって、低域から高域まで見事な再生能力です。キャビネット・シミュレーターが超優秀なので、目を閉じて聴けば、本職のアンプになんら劣るところはないです。

 

アンプのReturn端子(パワーアンプ)につなぐ

キャビネット・シミュレーターをオフにして、アンプのReturnにつなぐ。パワーアンプ部のみを使って、増幅だけをアンプに頼ります。アンプから音が出るので、PAから出すより弾いてる感がありますし、スタジオリハで手軽に使えるところを含めても、個人的には実戦で使うにはこれがいいかなと思ってます。

実験の機材。ギターと色が揃っておる…。

実験の機材。ギターと色が揃っておる…。

先日、教室のレッスン空き時間にマーシャルAVT50のReturnに挿して実験してみました。このアンプはプリ部のみ真空管を使用、パワー部はトランジスタです。曲はAndy Timmonsの「Electric Gypsy」のエンディング部分。演奏は適当ですが御容赦を。

JCM800 with Clean Boost(JCM800のモデリングにClean Boostでゲインアップ。Boostは常時ON。)

Friedman HBE with Screamer(Friedmanのアンプモデリングに、ソロ時のみScreamerをON。)

PC上での設定は多少のディレイを付け足したのみで、あとはほぼアンプの前に置いたマイクで録音したそのままです。音質的には普通の真空管アンプをマイキングしたものと、そう大差ないでしょう。

Friedman HBEモデリングが良い感じの音が出てる気がしますね。直に聴いてる感じだと、マーシャル系はこの録音よりもさらにジャキッとしている印象です。

 

アンプのインプットにつなぐ

アンプのインプットに通常のエフェクターのように繋ぐやり方です。もちろんキャビネット・シミュレーターはオフ。上記のマーシャルアンプで試しましたが、全然だめでした。プリ-プリのアンプ二段重ねの影響か、もとのアンプのキャラクターが被ってしまってか、ボコボコの低音と、チリチリした嫌な高音で、とても使えた音ではありません。

ただ、実際にインプット直挿しが良いという意見もあり、このやり方もJC-120やFender Deluxe Reverbのような綺麗なクリーントーンの出るアンプだと、また違うのかもしれません。うちでも部屋にある練習用のフェンダーアンプに繋ぐと、けっこう良い結果が出ていました。今度近いうちにまたJC-120につなぎに行ってみます。

 

運用性

感覚的には高性能なマルチエフェクターなので、パッチ管理の煩雑さ、現場でワンタッチでいじれない面倒さはついて回ります。

フットスイッチ

色んな機能を割り当てられるフットスイッチが3つ装備ですが、全て個別に独立しています。かなり複雑なことも出来ますが、使い方は主に下の4つ。

・A <=> B(長押し時 バイパス)
・A <=>バイパス(長押し時 B)
・各エフェクトのOn-Off(長押し時 チューナー)
・パッチ番号を一つずつ送る

バイパスをあまり使わない機種だけに、2つ目は必要かどうか謎です。大体が1、3つ目じゃないでしょうか。特にチューナーに移行するためには3つ目の機能を付けたスイッチが一つは必要です。1つ目の「AとBのパッチ切替」あるいは2つ目の「AとBを長押しで切り替え」を3つ全てに割り当てることで、最大6つのプリセットを足下で切り替えられます。…と公式には謳っていますが、はっきり言って、いま何を使っているのか〜次に使うパッチがどこにあるのか、混乱しそう。

LEDはオレンジと赤の二色あって、プリセットを二種保存可能。

LEDはオレンジと赤の二色あって、プリセットを二種保存可能。

ちなみに、MIDIスイッチを増設して操作性を上げるというのはかなり有効な気がします。僕も頻繁にライブで使うような状況であれば、それを考えると思います。

ノイズゲートの罠

ノイズゲートは全プリセットに同じものが適用されます。ハイゲインのパッチに深めに掛け、クリーンのパッチに浅めに、ということができません。このような基本的な事がなぜできないのか謎です。まぁ、僕はノイズゲート使わないから別に支障ないんですが、分けるにはハイゲイン用にコンパクトのノイズゲートを別個に用意するしかなさそうです。

EXPペダルとFXループの同時使用は不可

同じReturn端子を使うため、相互排他的な利用法になります。エクスプレッションペダルについては使える機種も限られてますし、FXループで使うのがベターじゃないでしょうか。MIDI信号でワウやボリュームの数値を制御できるようなので、MIDIペダルでEXPペダルの代わりが出来る?この辺は持ってないのでわかりません。

左側にFX LOOP兼AUX IN兼EXPペダルInput。

左側にFX RETURN兼AUX IN兼EXPペダルInput。


ちなみに、この端子はAUX INにすることもできます。少し考えてみましたが、家での練習用バッキングトラック挿入以外の使い道はなさそう。一応プリアンプ別途用意でボーカルを一緒に出したりできますが、エレキギターでやる人はあんまりいないでしょう。

その他いろいろ

・チューナーが意外に良い
チューナーは小さな小さな液晶画面に音名が表示されますが、微調整のインジケーターはスイッチ上のLEDが一緒に光ってくれるので、かなり視認性が良いです。ライブやリハで足下のチューナーの面積が空くのはありがたい。

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・PC用エディタ
黒い画面に必要最小限の情報と、実に飾り気のないアプリケーションですが、使い勝手はなかなかのもの。逆にこれを使わないと正直エディットはきついです。万一PCをもっていない場合、エディットには相応の苦労が予想されます。

昨今流行りのインパルス・レスポンス・データのインポートも可。キャビネットを操作する項目にUser Areaという項目が山ほどあります。今後個人的に使うかどうかはわかりませんが。

・ネットからデータが落とせる
これも昨今流行りのもの。いまやBOSSやZOOMでも当たり前となった、「誰かが作ったプリセット」をダウンロード可。これも僕は使ったことがないんですが、どうなんでしょう。一度AmplitubeでSRV系の音を落としてみたことがあるんですが、似ても似つかない代物でした。あまり期待しない方が良いと思うんですが、実際のプロギタリストの制作したものなら信頼が置けるか…?

 

まとめ

EXPペダルまわりがもう一つだったり、ノイズゲートが使いにくかったり、エフェクトセクションについての完成度があと一歩だったり、いろいろと思うところはあると思いますが、高い運用性や機能をこれ以上に求めるならFractal AX8やHelixを選ぶべきで、それらの機種とは似て非なる層をターゲットにしている印象を受けます。

ただ、スイッチやペダルなどの拡張だけを求めるなら、2017年間近に日本上陸を果たした「AmpliFire 12」を使う手もあります。高級モデルに近いサイズと重量で、スイッチの数が多く実戦向きでありながら格段に安いです。確認はしていませんが、赤い通常モデルとの音質的差異はあまりないでしょう。

 

高級モデリングアンプの世界では、ハードウェアにこだわらずとも1/10の値段で、最強と誉れ高いPositive GridのBIASが手に入ります。ハードウェアにこだわるに相応の理由が必要なカテゴリですが、結局はライブやスタジオを前提とした運搬と利用が一番多いんじゃないでしょうか。そんな中この運搬性でこの音質は、隙間をピンポイントで突いてきた印象ですね。


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