ビートルズにおける三者三様のアコギプレイ

By | 2017年10月25日

ビートルズの楽曲を構成する楽器として最重要に位置づけられるアコースティックギター。バンドにはギターを弾ける人が3人いるわけですが、それぞれ個性的な音を出しており、アコギが活かされた曲ではそれらがうまく絡み合って、彩り豊かなサウンドに仕上がっています。

 

ジョン・レノン~ストロークの名手

さて、ジョンの弾き方ですが、ざっくりしつつも変幻自在のストロークが魅力。特にRubber Soulぐらいまではジョンのアコギは大活躍です。

Norwegian Woodイントロ

これはNorwegian Wood(ノルウェーの森)のストロークパターンですが、必要最小限の動きでここまで効果的に表現出来る技術と発想はすごいです。

エレキでの勢いに任せたプレイの印象からか、ジョンのギターは一本調子に見られがちですが、そんなことはなく、「No Reply」や「Help!」などの軽快さをみせるもの、「Till There Was You」のように情感と知性を感じさせるもの、「You’ve Got To Hide Your Love Away」のように、1弦3fをペダルとした凝ったストロークなど、特にアコギプレイヤーとしてのジョンは非常に多彩なストロークプレイヤーだと言えます。

後期になってくると、3フィンガーを教えてもらっている影響からか、3フィンガー的な弾き方がちらほら増えてきます。

Dear Prudenceイントロ

Dear Prudenceのイントロはまさに3フィンガーそのもの。このアルバムでは同じく「Julia」なども3フィンガーです。「Octopus’s Garden」のバックでは、エレキで3フィンガーっぽいパターンを弾いています。

ジョンのアコギとしてはGibson J-160Eが有名ですが、30万円超えと、よほどのファンでも無い限りぽんと買える額ではありません。エピフォンから廉価版が出ていますが、こちらは手の届きやすい値段です。

 

ポール・マッカートニー~卓抜な発想と独自奏法

基本的にベースを弾いているポールがアコギをメインとするのは、圧倒的に後期の曲が多く、前期では「Yesterday」や「I’ve Just Seen A Face(夢の人)」などに限られてきます。

ポールの弾き方としては親指と人差し指だけでつま弾くスタイルが有名。

Blackbirdパターン

このBlackbirdのパターンは超有名でありながら、正確な奏法は意外と知られていないマッカートニー・スタイルになっています。

親指と人差し指だけを使い、ストローク記号のところは人差し指の指先で軽くストローク。ウクレレのような弾き方がポールお得意のパターンでして、この曲以外に前述の「Yesterday」、「Mother Nature’s Son」など、弾き語り系の曲は基本的にこの弾き方でやってることが多いです。普通にストロークしてることも多々あるんですが、ジョンのそれと比べて印象的なものは少なく、目立っていません。

Mamunia (P.McCartney & Wings “Band On the Run”)

ちなみにこの弾き方は彼の音楽人生において一貫しているようで、70年代のウイングス時代の「Mamunia」、90年代に入っても、名盤Flowers In The Dirt収録の「Put It There」などで同じ弾き方が見られます。

 

ジョージ・ハリソン~楽曲に溶け込む絶妙の存在感

リードギタリストを担う役割上か、前期ではジョンのアコギの前でエレキでの単音弾きやアルペジオというのが多いジョージ。

リードギターなので、決まったソロなどを弾いてることが多いんですが、「And I Love Her」、「Till There Was You」のように、ガットギターで弾いたときにも、曲に欠かせない1ピースとして存在感を発揮しています。

アコギをメインに持ってくるのはこれまた中期~後期になってからです。アコギの名曲として名高い「Here Comes The Sun」では、キラキラした美しいアコギが印象的。

Here Comes The Sun

ストロークをうまく調整してフラットピックで綺麗に聴かせるスタイルですが、右手のピックのコントロールはやってみると結構難しいです。

ジョージはなぜかフィンガーピッキングをやりません。この辺りが上の二人との最大の差かも。

ちなみに、ジョージもジョンに負けず情感豊かなストロークをする人で、「While My Guitar Gently Weeps」のデモを聴くと、原曲とはまた違った素晴らしいテイクになってます。ソロになってからも「My Sweet Lord」「All Things Must Pass」などでは、ざっくりとしつつも暖かい、存在感あるストロークが聴けます。

 

まとめ

というわけで、三者三様のアコギスタイルではありますが、それぞれのプレイヤーとしての個性がうまく楽曲に反映されているように感じますね。

これだけ皆アコギが達者な人たちなんですが、全員でアコギという曲がほとんどありません。さきほど述べた「I’ve Just Seen A Face」ぐらいでしょうか。これについては一度個人的に3人分録音してイントロを再現してみたことがあります。12弦ギターは持ってないので、普通の6弦ギターですが。

アコギといういち楽器の観点からビートルズを聴いてみるのも面白いもんです。


2 thoughts on “ビートルズにおける三者三様のアコギプレイ

  1. AKISSH

    ビートルズを聞いていたのは、ギターを始める前だったので、そのギターをコピーしたことがなく、3人をアコギという切り口から見てみると、こんな発見があるのかと驚きました。
    アコギは、ギターとアンプで音を作りこむ余地が少ない分、奏法に個性がでるのでしょうね。
    特に、Norwegian Woodは、ジョンのエレクトリックのソロの印象とは、かけ離れたデリケートさですね。

  2. まーかー Post author

    まぁ、実際ビートルズはその楽曲に焦点が当てられることが多いので、演奏面についてはあまり触れられない傾向もありますよね。
    Blackbirdなんかはかなり語られてはいますが…。個人的にはジョンのストロークは弾き語りならではの巧さに溢れていると思ってます。ポール・サイモンなんかとはまた違った魅力ですね。

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