ビートルズのかっこいいソロ10選

先日、YouTubeの方に10 great guitar solos of the Beatlesという動画をアップしました。

ビートルズはギターを前面に出したグループではないのですが、曲と一体化した見事なソロが入っている曲も多く、そこにも魅力があります。

以下、順番は動画で弾いている順番をそのまま掲載。エリック・クラプトンの功績がでかいWhile My Guitar Gently Weepsは除外してます。

I Saw Her Standing There

記念すべきビートルズの第一曲。前期にはほとんど目立ったソロのないジョージのソロが多めにフィーチュアされており、バッキングはほとんどずっと単音弾きしています。

ソロ冒頭はレガートのオンパレード

このソロのポイントは素早いスライドやハンマリング。実は下手と言われていたジョージの左手の技術はなかなか高かったことを思わせます。

Something

ラストのAbbey Roadはジョージの楽曲が最高に生きた一枚ですが、そんな中でも最高の一曲と言っても良い傑作。

ギターソロはまさに曲と一体化しており、これ以外あり得ない構成とメロディを持っています。F-C/E-D7といく流れの音列など、どのように考えたのか未だによく分かりません。クラプトンの泣きとはまた違う、歌うギターソロが映えています。

ソロの冒頭部分

And Your Bird Can Sing

世界初のツインリードと言われる一曲。こちらはビートルズ屈指のギター曲として、ギター弾きのビートルマニアは1回は弾いたことがあるはず。楽曲も佳曲と言って良い出来ですが、作曲者のジョンは気に入っていないそうで。

途中まで3度ハーモニーなのが、知らぬ間に6度間隔になっているあたり、つくりも絶妙で、ハーモニーを知り尽くした凄みを感じます。

1本で全部弾いている動画をアップしたことがあります。これはまじで難しかった…。

Old Brown Shoe

目立たないシングルB面曲ながら、作曲者のジョージが選曲したとされる青盤にちゃっかり入っているので、わりと知名度は高い一曲。

実はビートルズの中でも最難を誇るギターソロが入っており、摩訶不思議な音列とフランジャーが効いたようなサイケな音色、そして妙なスピード感と、下手をするとボーカル部以上に目立っています。ギター好きには一度トライしてみて欲しい一曲です。

ソロの冒頭。3連のところがむずかしい

Get Back

言わずと知れたジョンの演奏。実は意外にもテクニカルであり、ソロラストの16分音符には悩まされたプレイヤーも多いはず。

2ndソロ。意外に難しい

屋上での演奏ではかなりむちゃくちゃですが、ちゃんと弾くとジョンも巧かったんだなあと思わせます。ジョンがソロを弾くもう一つの曲、You Can’t Do Thatの頃に比べると、やや落ち着きも出てきているように感じられますね。

Till There Was You

ガットギターで弾かれるソロ。この上なくジャジーな雰囲気があり、小技が効いて非常に難しいソロであり、あまりの巧みさに当時は影武者が弾いているのではという説もあったほど。

F6のアルペジオから半音ずつ降りる箇所が印象的で、とくに難しい場所でもあります。ライブではエレキで弾いていますが、ほぼそのまま再現しています。

ラストのアルペジオ部分。F6の形を取り薬指を浮かしてゆく

Octopus’s Garden

リンゴのほんわかとした歌とふざけた歌詞とは裏腹に、ギターの難易度は特筆物で、イントロも含め、ビートルズでもっとも難しいギターといって過言ではありません。

ペンタトニックを流麗に流して弾いているだけですが、ギターのみで演奏されるイントロ部は緊張の一瞬。ハンマリングやプリング、スライドのレガートテクニックがしっかりしていないとこのテンポでよどみなく弾くのは難しいでしょう。

印象的なイントロ

Can’t Buy Me Love

初期ビートルズを代表する一曲。この時期のシングルにしては珍しくギターソロがしっかりしています。

ソロ全編

原曲は2本のギターが入っており、ほぼユニゾンながら微妙にタイミングをずらした場所があり、妙な響きを生んでいます。そしてよく聴くと後ろの方にもうすーくもう1本単音を弾いているギターが確認出来ますが、こちらは今回の動画ではやっていません。

Let It Be

ビートルズの名曲として誰もが知るこの曲にも派手なギターソロが入っています。シングル版はアレンジが全体的に落ち着いており、ギターのトーンもそれに合わせたトレモロ付きの控えめなものに。派手なアルバム版はソロの音列、サウンドともにかなり派手に合わせてあり、演奏はこっちをやっている人が多いのではないでしょうか。

アルバム版ソロ
個人的にはメジャー・ペンタトニックのもっともかっこいいソロの一つだと思っています。

The End

リンゴのドラムソロの後に三人がソロを回すという、ビートルズらしからぬ演出の入った、文字通り”最後の”一曲。個々のフレーズの個性がかなりはっきり出てきており、特に3人目を務めるジョンは前二人とはずいぶん違うごり押しのパワーを感じます。

最後の部分のCコードトーンからの流れは感動的な流れで、ビートルズ期におけるジョージ最後にして会心の演奏。Somethingで発揮した歌心あるプレイを遺憾なくもう一度やっており、Golden Slumbersからの流れにおいて、ラストはこのギターがなければ成り立たないでしょう。

ビートルズのラストを飾るフィル

さいごに

フレーズから音色まで多彩な存在感を見せるギターソロを見ていると、彼らの作り出した多様な曲のエッセンスを見ている気になってきます。

改めて聴いたり弾いたりしてみるとどれもそれなりに難しく、やはり地に足の付いた演奏力のあるバンドだったんだな、と再認識せずにはいられません。

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六弦と四人組の部屋〜ビートルズ奏法研究所