ペンタトニックスケールといえば、ロックギタリストがもっとも早い段階でお目にかかることになる、基本的なスケールのひとつです。この下の指板図を見たことがない人は、多分ここを見ている方の中にはいないでしょう。ちなみに、ペンタトニック=単純ではありますが、単純=ワンパターンとは限りません。逆に、あらゆるジャンルに対応する広い可能性を秘めた、応用性の高いスケールであると言うことは常々よく語られることです。

↑Aマイナー・ペンタトニック・スケール


さて、なぜここでペンタを出してきたかというと、ペンタに2音加えることでドリアンにしてしまおう、という発想があるからです。ロックギタリストにとって極めてなじみ深いペンタトニックの音列を基本とすることで、ドリアンスケールの理解や、効果的な利用がいっそう容易になるはずです。


さて、前述のようにDドリアンスケールはCメジャースケールをDから始める、つまりAドリアンスケールはGメジャースケールをAから始めるのと同意なのです。6弦上のルートを5fに移動して下の図を弾いてみてください。



さて、この時の音の配列はルート音であるAから順に


音名:A-B-C-D-E-F#-G (ラ−シ−ド−レ−ミ−ファ#−ソ)
度数:1st - 2nd(9th) - m3rd - 4th - 5th - M6th - m7th


となります。通常のAナチュラルマイナースケールが


音名:A-B-C-D-E-F-G (ラ−シ−ド−レ−ミ−ファ−ソ)
度数:1st - 2nd(9th) - m3rd - 4th - 5th - m6th - m7th


であることを考慮すると、その差はFの部分、つまり6thの音が半音上がっているというだけです。


ということは、すなわち、ナチュラルマイナースケールとの唯一の相違点である、M6thの音を強調してやれば、容易にドリアンっぽい音列を意図的に作り出すことができる、ということです。





さて、そこで具体的に弾くための運指が問題になってくるわけですが、上の図は確かにドリアンスケールそのものに違いありません。しかし、小指から出発するスケールというのは得てして覚えにくく、使いにくいものです。そこで表題にある、ペンタトニックに音を加えてドリアンスケールにしてしまう、という方法が有効になります。


既にご存じの通りの、マイナーペンタトニックスケールの構成音は
1st - m3rd - 4th - 5th - m7th
となります。ここで、上述のドリアンの構成音と見比べると、ペンタには2ndとM6thが足りないということがわかります。換言すればマイナーペンタに2ndとM6thを足してやれば完全にドリアンスケールとして使うことが出来ます。

↑Aドリアン・スケール


緑色が2nd、赤色がM6thに相当します。四角はルートのA音です。実際これをひとつのスケールとして使うのも手なのですが、実際にはそうしてしまうと、普通のペンタトニックスケールに毛が生えたようなフレージングしか出来ない場合が多いため、意図的にペンタのポジションを中心的に使い、場合に応じて巧く2ndとM6th(特に後者)の音を際だたせるように加えてやる、といったような工夫が有用です。無論、速弾き時などに1弦上3音で動き回ったりする場合にはその限りでもありません。