マイナー・ペンタトニックからドリアンをつくる

ここではよく知られたマイナー・ペンタトニックをドリアンにしてしまう方法を紹介。記事の一番下には動画での講座も置いていますので、よかったら見てください。

なぜペンタトニックなのか

[Aマイナー・ペンタトニック・スケール]

さて、なぜここでペンタが出てくるのかというと、ペンタに2音加えることでドリアンにしてしまおう、という発想があるからです。

ロックギタリストにとってなじみ深いマイナー・ペンタトニックの音列を基本とすることで、ドリアンスケールのかんたんな理解や、効果的な利用ができます。特にマイナー・ペンタトニックのフレーズがそのまま使えるのは利点として大きく、その上で二音を足すだけという発想がよく生きてきます。

復習!ドリアンとは?

さて、前述のようにDドリアンスケールはCメジャースケールをDから始めるということ。

つまりAドリアンスケールはGメジャースケールをAから始めるのと同じなのです。6弦10fのルート音”D”を5fの”A”に移動して下の図を弾いてみてください。

さて、この時の音の配列はルート音であるAから順に

音名:A-B-C-D-E-F#-G (ラ-シ-ド-レ-ミ-ファ#-ソ)
度数:1st – 2nd(9th) – m3rd – 4th – 5th – M6th – m7th

となります。通常のAナチュラルマイナースケールが

音名:A-B-C-D-E-F-G (ラ-シ-ド-レ-ミ-ファ-ソ)
度数:1st – 2nd(9th) – m3rd – 4th – 5th – m6th – m7th

であることを考慮すると、その差はFの部分、つまり6thの音が半音上がっているというだけです。

ナチュラルマイナースケールとの唯一の相違点である、M6thの音を強調してやれば、容易にドリアンっぽい音列を作り出すことができる、ということです。逆にそこを弾かなければ普通のマイナースケールとは見分けがつかない、ということになります。

ドリアンの特性音”M6th”

この時の長6度はドリアン・スケールにおける特性音と言われており、重要な音という扱いがなされています。

さて、そういわれても6度の音がどこにあるのか…、という話です。上の”メジャースケール2音目に赤点が付いてる図”は確かにドリアンスケールそのものですが、アドリブするために見えにくいポジションでもあります。

そこで、ロックギタリストに超おなじみの「マイナー・ペンタトニック・スケール」に音を加えてドリアンスケールにしてしまおう、という考え方が出てきます。

マイナー・ペンタトニック・スケールに足りないものは?

既にご存じの通りの、マイナーペンタトニックスケールの構成音は

1st – m3rd – 4th – 5th – m7th

となります。ここで、上述のドリアンの構成音と見比べると、ペンタには2ndとM6thが足りないということがわかります。マイナーペンタに2ndとM6thを足してやれば完全にドリアンスケールとして使うことが出来ます。
[Aドリアン・スケール]

(緑色が2nd、赤色がM6thに相当します。四角はルートのA音です。)

実際これをひとつのスケールとして使うのも手なのですが、実際にはそうしてしまうと、普通のペンタトニックスケールに毛が生えたようなフレージングしか出来ない場合が多いです。まぁそれはそれでDEEP PURPLE期のリッチー・ブラックモアみたいで、独特な感じが出て良いのですが、もっといいのは、意図的にペンタのポジションを中心的に使い、場合に応じて巧く2ndとM6th(特に後者)の音を際だたせるように加えてやる、といったような工夫です。

動画

この項目での講座を、動画でもやっています。

動画では実際にソロも弾いているのでわかりやすくなっていますよ。