人生を変えた10枚
この10枚が私的音楽ルーツです。
順番にとくに意味はありませんが、とりあえず一発目はビートルズにしておきました。




1. ABBEY ROAD / THE BEATLES
このアルバム、というか、ビートルズの音楽こそが僕自身の原点だといえます。ビートルズがなければ、僕は今ギターどころか、音楽もロクに聴いていない可能性だってあり、僕は基本的に一つのアーティストを信仰に近い形で崇めるというのはしないし、むしろそんなのを嫌っているぐらいなのですが、ビートルズに関しては唯一の例外です。


本アルバムはもはや今さら説明するまでもなく、ビートルズ自身が最後の力を振り絞り、今一度4人の天才が一つの目標を前に結集して創り上げられた、ロック至上最高の名盤です。前半では各々の才能を完全に封じ込め、後半に至ると、その才能の結集が最高の形で昇華された姿がありのままに現出。このメドレーを聴きつつ、最後の3曲にさしかかると、もう涙を流さずにはいられません。




2. BRIDGE OVER TROUBLED WATER / Simon & Garfunkel
70年発表のS&G最後のアルバムにして、最高傑作の誉れ高い本作。ビートルズについで僕が強い影響を受けたアーティストがS&Gです。その限りなく美しいメロディラインにアート・ガーファンクルの綺麗な歌声が乗ったとき、音楽はここまで美しくなる。という、それ自体に大きな感動を受けたものでした。


特に曲の美しさは秀逸です。アコギ一本で弾き語るだけでも、どんな楽器が逆立ちしても及ばない、気品を瞬く間に創り上げてしまいます。その音楽は独特の深い詩世界を伴って、一枚の絵のように、変わらず僕の中で息づいています。今でも、聴くたびに「ここまで感動的な楽曲を書くことが出来れば…」なんて思ったりします。




3. When We Rock, We Rock & When We Roll, We Roll / DEEP PURPLE
ファンタスティアの住人の方々にもなじみ深いであろうDEEP PURPLE。このアルバム。実は、評価の非常に低い、最低のベスト盤の一つです。しかし、当時の僕は何も知らない高校生。ギターの教本に誘われるままに、CD屋でベスト盤をとりあえず買ってきました。それがこれだったのです。


確かに今聴いても、こんな選曲はちょっとあり得ないな、と思えますが、当時はなんと言っても「Burn」そして「Smoke On The Water」に「Highway Star」。全く知らない世界に触れ、驚愕の連続。僕のハードロックとの出会いはこのアルバムでした。確かに最低のベスト盤であっても、この事実は拭いようがありません。最後の2曲がライヴ版なのは嬉しいところです。後に原曲を聴き、あまりのへボさに憮然としました。「Smoke on the Water」そして「Highway Star」は、もうあの有名なライヴ版こそが本物ですね。




4. Odyssey / Yngwie Malmsteen's Rising Force
「めちゃくちゃ速いイングヴェイというギタリストがいるらしい。」…それを初めて知った後、大阪日本橋はリクエストタイムという中古盤店にて一番安かったという理由のみで購入したインギーの初CD。今聴いてこそ、このアルバムにおけるプレイの荒さも理解できますが、当時はギター歴2年未満の若造。とりあえずは「Rising Force」のあまりのかっこよさとそのギターソロの凄まじいスピードに圧倒されました。この曲を最初に聴いたときのインパクトは今も忘れ得ません。


インギーの中では評価の分かれるこのアルバムですが、僕は大好きな一枚です。確かにギタープレイは「Trilogy」等と比べて、もはや別人の域にまで落ち込んでいますが、その良質な楽曲は他と比肩しても何ら劣るところはありません。とりあえずギターだけ聴いてるという人ならいざ知らず、ロック・コンポーザー、イングヴェイの才能を強く感じられるこのアルバム、楽曲を楽曲として聴きこんでいる人にはかなりの存在感を放ってくれるではないでしょうか。




5. MR.BIG / MR.BIG
MR.BIGの1stアルバム。僕のMR.BIG初体験はこのアルバムでした。それはまさに正解だったといえます。全楽曲中「Anything For You」を除く全てをロック色で統一し、完全なるバランスで、ヴォーカル・メロディとテクニカルプレイの緊張感を保つこのアルバムこそ、このバンドの真骨頂でしょう。一曲目を聴いたときの衝撃は今でも忘れられません。また新たな世界を覗いた気がしたものです。唸りまくるベースの上に乗る、PGのギターは今よりも遙かにクールで、私的に一番好きなプレイです。この演奏が2nd以降妙に落ち着いてしまい、特に4th以降に至って単なる抜け殻と化してしまったのは、もう残念としか言いようがありません。


数あるバラードの中でも、最高の輝きを放つ「Anything For You」はまさに必聴。これを聴かずしてMR.BIGを語るなかれ。




6. Soul Vaccination : Live / TOWER OF POWER
さて、ジャンルががらっと変わり、今度はファンク。もともと、ギタリストというのはファンクというジャンルには大体の場合馴染みの薄いみたいです。それも僕みたいに、ハードロックばかり練習してきた人にとってはなおさら薄いといえます。そんな僕に、ファンクのエッセンスを見せつけてくれたバンド、それがTower of Powerでした。


グルーヴィな音楽を聴こうと思い立って、adlib誌を読んで、その中で見つけた「Tower of Power」の名。このアルバムはBOOK OFFで購入したものですが、もう一曲目を聴いた瞬間、ぶっ飛びました。ファンクの帝王、JBの音楽をまた洗練させ、E,W&Fに代表される、ちょっと土臭さを保ったファンク勢ともまた違う、強烈なビートのうねり。この時から、僕にとってのファンクはこのバンドになりました。よくE,W&Fと比較され語られますが、僕はあえて TOP > E,W&F と言いたいところです。勿論E,W&Fも好きですが…。




7. Images And Words / DREAM THEATER
かれこれ、6年近く愛聴盤の位置にあるアルバム。そんな盤はほとんどなく、それこそビートルズ関連のアルバムと他に数えるほどしかありません。この「Images & Words」はそんな数少ないうちの一つです。このバンドの魅力は、その優れたリフワークで、曲全体を複雑かつ玄妙に構成し、それを鉄壁のアンサンブルで完璧に演奏する。そして、その上を素晴らしいヴォーカルメロディが駆けめぐるというところにあると思っています。このアルバムはそのあらゆる面を非常に高度なレベルで体現している一枚で、曲の構成のみならず、全体を通して聴いたときの有無も言わせぬその整合感は、まさに究極のレベルです。


そのような整合感も、良質なメロディライン、次に高度な構築性…とつぎつぎ失われた今のDream Theater。残念なことに、これも僕にとってはただの抜け殻でしかありません。




8. MISSLIM / 荒井由実
若かりし日のユーミンの名盤。ユーミンファンでない人もこれだけは認めるとかなんとか。しかし、中を覗いてみると、認めるなんてものではありません。史上稀に見る天才音楽家の才能が思いっきり花開いている超名盤です。この素晴らしいメロディの中に、輝く瑞々しい詩世界に触れることで、いかほどの勇気をもらい、心動かされたことか…、本当に底の知れないアーティストです。


もともと、大のユーミンファンである僕は、全てのアルバムをかなり聴きこんでいますが、やはりその凄味は"松任谷"ではなく"荒井"時代にあると信じて疑いません。もちろん松任谷由実時代にも、それに負けない素晴らしいアルバムは山ほどありますが、昔の作品には何かそれすらも及ばないマジックが存在するような気がするのです…。




9. Fifth Dimension / DIMENSION
邦フュージョンユニットとしては名高いディメンションの5thアルバム。現在の邦フュージョンなど、せいぜいスーパーのBGMになるような程度のものばかりだと思っていたその考えを、見事に打ち抜いてくれたアルバムです。


このユニット、総じて言えることですが、ギターがうるさい!ギターだけはハードロックだといっていいでしょう。心なしか勝田一樹(sax)のプレイもかなり歪んでいるように聞こえてきます。音色やヴィブラート等、ジャズ系の大人しさから脱皮しない野呂氏のプレイや、上品で無難、緊張感の薄いプレイに終始する安藤氏のプレイなど、近代邦フュージョンのギタリストというのはどこか好きになれない人が多かったのですが、ロック魂溢れるこの増崎氏のプレイは、邦フュージョンの世界にもまだまだ熱いバンドがあるんだ、ということを再認識させてくれました。




10. CHRONO TRIGGER Original Sound Version
人生を変えた十枚、最後の一つはゲーム音楽のサントラ。何というか、現10代後半〜20代、かつ音楽演奏に興味を持つ方で、ゲーム音楽の影響を受けていない人はほぼ皆無に近いと思われます。僕の世代がまだまだ子供だった頃(とは言ってもせいぜい7〜8年前のことですが…)、ゲームはそれほどにまで巨大な影響の源泉として君臨していました。


さて、この世代において、ゲーム音楽の影響がなぜこれほどまでに強いのかは、本作を含め、その他諸々の一流と呼ばれるゲーム・ミュージックのCDを聴いてみれば、すぐにわかります。時に応じては凛然と輝く優れた楽曲に、必要十分にして過剰でないアレンジ。SFC以前の、少ない同時発音数に、お世辞にも良いとは言えない音質。これらの制限が逆に多くの名作を生み出したというのはあながち的はずれではないでしょう。「音楽の世界では制限が多いと、逆に良いものが生まれるのは良くあることだから…」とはジェイソン・ベッカーの言葉。事実、音質が格段に向上したPS以降になって、ゲーム音楽は音楽的に非常に稚拙なものばかりが氾濫しだしました。残念なことです。