理論講座<基礎編5>ダイアトニック・コード

ダイアトニック後編。ダイアトニック・コードについてのお話です。こちらもよく聞く名前ですね。

ダイアトニック・コードとは

Cダイアトニック・スケール

上の図はCダイアトニック・スケール。ドを選抜してルートとすることで、Cメジャー・スケールになります。この節でのメインとなる「ダイアトニック・コード」ですが、その名の通り、このダイアトニック・スケールの中の音を使って作られたコードの事を指します。

ダイアトニック・スケールからひとつルートとなる音を選んで、その上に一つおきに音を拾っていくと、その音の数と同じく全部で7つのコードができあがります(下図)。

これら7つのコードは「キーCメジャーにおけるダイアトニック・コード」と総称されます。

Cのダイアトニック・コード(3和音)

Cのダイアトニック・コード(4和音)

このように、ドをルートとしたら「ド・ミ・ソ・シ」、レなら「レ・ファ・ラ・ド」という風にひとつおきに重ねていきます。3和音は3つ、4和音は4つ目まで重ねたものです。

コードの堆積

音を一つおきに重ねるというところは、コードを作る上の基本ポイント。コードの堆積には原則として一つおきに重ねるというのがルールなのです。もちろんそうなっていないものも多くあり、代表的なところでは6系のコード、dim、aug、sus4などがありますが、ここら辺は後ほどの章でまた詳しく解説しますね。

上の図では3和音と4和音を両方書いていますが、この手の説明や楽曲分析に使われるのは4和音が主流。通常ダイアトニック・コードと言うと、4和音を指すことがほとんどです。このアプリでもそれに準じて、以後は4和音を基本としています。

ダイアトニックコード(Cメジャー)

  • 1.Cmaj7 (Imaj7)
  • 2.Dm7 (IIm7)
  • 3.Em7 (IIIm7)
  • 4.Fmaj7 (IVmaj7)
  • 5.G7 (V7)
  • 6.Am7 (VIm7)
  • 7.Bm7-5 (VIIm7-5)

ダイアトニックコード [C major]

(↓順番に流れます)

ダイアトニック・コードはトニック(主音。上の例ではC。)を基準にしたものをImaj7とし、そこからVIIm7-5まで1つのキーにつき7つ出来上がります。このようにImaj7、IIm7、V7などとローマ数字で表記するやり方は、「転調を気にせず書ける」、「各コードの働きが見えやすい」などの理由で、特に分析や解説の際に多用されます。

ローマ数字での表記は、キーがCメジャーの場合だと、上のように Imaj7=Cmaj7、IIm7=Dm7、V7=G7 となり、結構ここまではしっかり覚えている人が多いもの。キーが変わるとコードも変わるので、たとえばキーがAメジャーになると、Imaj7=Amaj7、IIm7=Bm7、IIIm7=C#m7、V7=E7 という風になります。フラット系のややこしいキーになると判別が難しいですが、瞬間的な判別が必要な概念ではないので、最終的に少し考えて分かる程度にしておけば十分でしょう。

ダイアトニックコード(Aマイナー)

  • 1.Am7 (Im7)
  • 2.Bm7-5 (IIm7-5)
  • 3.Cmaj7 (IIImaj7)
  • 4.Dm7 (IVm7)
  • 5.Em7 (Vm7)[ E7(V7)]
  • 6.Fmaj7 (VImaj7)
  • 7.G7 (VII7)

マイナー・キーを基準としたダイアトニック・コードではメジャー・キーでいう”VIm”がImの扱いとなり、そこから順番にずれていく感じになります。ただ、マイナー・キー基準のこの度数はいまいち掴みづらいと感じる人が多いのか、あまり好んで使われない印象です。

ここで重要なのはVmの扱いで、「Vm → Im」というコード進行の際に、Imへとの繋がりを加味してV7と変化する場合が多々あるということ。マイナー・キーでのV7はメジャー・キーでのIII7に当たり、いずれにしてもよく使われるコードです。第一章冒頭の「ヴルタヴァ(モルダウ)」に登場したB7もこれです。