ZOOM A3 アコースティックプリアンプ・実践的レビュー

使い勝手の良いプリアンプ

もともとBOSSのAD-5を長い間使用していましたが、さすがにこのA3の多機能さと軽量さに誘惑が勝てず、放り出して移行しました。実際に頻繁にライブで使う機会があります。A3も色んな局面で使いますが、利点としては…

<音色面>
・エフェクトが大量にあり、音作りの幅が豊富
・モデリングの質が高い
・2系統のインプット
・ブースト機能付き
・フットスイッチでのアンチフィードバック

<実用面>
・軽い、かさばらない
・電池駆動可
・チューナー付き

などなどがあります。

多機能すぎて、最初はとまどいますが、実際に使う場合、
1.一番上のでかいつまみでおおまかなボディの傾向を決める
2.Treble,Mid,Bassを調整
3.effectチェインの1に入っているモデリングを決める
4.場合によってeffectを追加する(2つまで)
といったところです。

 

こちらは先日YOUTUBEにアップした、A3ライン録りの動画。左チャンネルが伴奏、右チャンネルがメロディとなっています。直接のライン録りというのがポイントですね。ラインでもかなり生っぽい音が得られるのが分かってもらえると思います。

ZOOM A3の音色

まず、音色面から。

エフェクト

エフェクトの大量は、使うものが限定されるのは否めません。アコギでピッチシフターとか、あんまり使いませんしね。ただ、こんな飛び道具を生かして、曲に華を添えたりするのは面白いと思います。オリジナルやってる人は、効果的に使うと、アコギ一辺倒にならず面白いかもしれません。ただ、これは僕もやろうとしてますが、結構難しいです。

エフェクト自体の質量共に満足のいくものですが、特にEQがこっちにも入ってるのはじつにありがたい。上にも別個にBASS,MIDDLE,TREBLEが付いてますが、音色の微調整にパライコがあって超便利。リバーブもエレキで鍛えた最近のZOOMクオリティです。

モデリング

モデリングは正直ありすぎて全部をしっかり試すだけで、相当の時間がかかります。ボディ直付けのでかいつまみの部分は基本的に手持ちのギターに合わせると無難。effect1のモデリングは、どちらかというと、自分が出したい音色の方向性を明確にイメージして、それに近いものを選ぶってのが正しい気がします。

 

ZOOM A3の実用性

次は実用面です。

ありそうで無いチューナー内蔵

個人的には特にチューナ付きを推したいところ。アコギ用プリアンプはZOOMの前行機種やヤマハのAG STOMPあたりを除き、ほとんどチューナーはありません。もともと、エレアコにはチューナーが付いているのが多いですし、クリップ式チューナーを付けたままライブをする人が多いのも1つの理由でしょう。

僕はどっちかというとクリップ式チューナーはかっこ悪いから付けない、というスタンスであり、かつ純のエレアコでないため、チューナーには結構苦労していました。こんな人がどれぐらいいるのかは知りませんが、最大の必要機能であるチューナーを省かずに入れてくれたことは、多機能、高品質をウリにするZOOMらしいところだと思います。

2系統インプットとブーストスイッチ

2系統インプットは、僕がやってるようにピエゾとマグネティックのミックス(これが案外出来る機種が少ないです。AD-5からの乗換を決めた理由の1つ。)をするもよし、mic inにはふつうにマイクを繋いで弾き語りに利用するも良し。マイク用プリアンプの代用もできますが、effectはpickup inとの共有になります。(ただし、掛ける掛けないをある程度選ぶことは可能。)2本繋いで持ち替え、なんていう荒業も出来なくはありません。

ブーストスイッチは僕みたいにアコギのインストを二人でやるときより、バンドの中でアコギを弾く際、ソロが来たときに踏むというのが、一番適した使い方でしょうね。デュオでもメロディを取る方が適宜踏むというのでもいいと思います。無論ハウリングには要注意ですが…。

 

冒頭の動画について

さてさて、最後に動画についてですが、音声はそのままレコーダーに送り、完全なるライン録音にしています。CUBASE上でミックスだけしましたが、音量を揃える以上のことはしていません。いわゆるコンデンサマイクを立てる録音には遠く及ばないですが、ラインでこの音ということは、ライブでこのクオリティで出せる、ということでもあります。

ちなみに、長さを揃えるためにむりやりぶった切ってる部分が2箇所ほどあります。クリップノイズが一瞬聞こえますが、ご容赦を。

 

まとめ

軽いというのと、電池駆動可という部分を含め、ライブでよく使う人ほどありがたみを感じる部分です。昨年登場した、エポックメイキングなMS-50Gで示した精神をそのまま引き継いでいます。アコースティックのプリアンプの分野は、エレキに比べると遙かに遅れていました。エフェクトやらモデリングやら、アコギでは使わない、という先入観がそうさせていたのでしょうか。それを実感させる製品です。