コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール(略して「コンディミ」)と、ホールトーン・スケールは今までやってきたスケールとは違い、調性感を希薄にするため、人為的に作り出されたスケールです。アウト感満載の独特な響きが好まれて、最近では様々なプレイヤーがこれらを使っています。

Cコンビネーション・オブ・ディミニッシュ
(Cダブル・ディミニッシュ・スケール)
コンディミとは「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ」の略で、その由来から「ダブル・ディミニッシュ」とも呼ばれます。ディミニッシュ・コードを構成する4音を並べて、その半音上に同じ音をつけ足したものです。つまり半音違いのディミニッシュ・コードが並んでいることになり、「コンビネーション」や「ダブル」の名はそこに由来します。
コンディミの成り立ち
コード編で述べたように、ディミニッシュは1オクターブを均等に4つに割った音を構成音としますので、まずそれを指板上にずらっと並べてみます。

そしてそれを半音上に全部ずらします。

そしてそれを合体

これがコンディミの指板図です。入り組んでいるばかりで理解しにくいポジションですので、特に覚えやすいところを抽出しましょう。
どう使う?

この枠の中を覚えるのがおすすめ。ルートは青点の方の音ですが、ディミニッシュの特性として、1音半ずれると同じコードになるので、この青点であれば、どこをルートにしても同じになります。
さて、問題はどこで使うのかということですが、下の図を見ると分かるように、中に6弦ルート、5弦ルートの7thや、7(#9)コードが隠れています。これらの7thコードが鳴っている時に使うのが、もっともポピュラーなやり方です。

7thコードが隠れている
非常に独特でアクの強い響きがします。ドミナント7thの際に使うことで、圧倒的なアウト感が得られますが、うまく戻らないと何をやっているのか分からなくなります。
アドリブ例
Bm7-5 | E7 | Am7 | D7 | ||||
Fmaj7 | E7 | Am7 |
コンディミ・アドリブ例
E7上で使用。二回出てくるのでそれぞれ違うアプローチで使用しています。
ホールトーン・スケール

Cホールトーン・スケール
コンディミと並んで、前衛的な響きを持つ有名スケールがこのホールトーン。Whole Toneの名の通り、全ての音を全音間隔で並べたスケールです。ドから始めると、上の楽譜のように、ミ-ファ間の半音を避けて、ファから#がつきます。
どう使う?

ギターの指板図ではこれだけを覚えておけば、ほぼ事足りるでしょう。ギターはピアノと違い、白鍵と黒鍵で差別化されていないので、ホールトーンは使いやすい楽器と言えます。常にフレットを一つおきに押さえていけば良いので、理解もしやすい上、弾きやすいです。
どう使うのかですが、上のフォームから取り出せるコードとしては「○7(9)」があります。前項において、メロディック・マイナー内のリディアン♭7th・スケールの項目で、○7(9,#11)について言及していますが、このコード上はホールトーンも適役です。

スケール内に含まれる○7(9,#11)のコードフォーム。
ホールトーンをうまく使うプレイヤーでは、グレッグ・ハウなどがその代表的存在と言えます。彼のスタイルは音の切れ目が無い流麗さがあるので、どこからどこまでがホールトーンかあまり分からないことが多いのですが、正確に分析してみると、非常に巧く紛れ込んでいます。
19世紀のフランスの作曲家ドビュッシーは、ホールトーンを作曲に利用したパイオニア的存在として有名。音列や和音など、随所にこのスケールが使われており、淡い水彩画のような独特の空気感を醸し出すのに一役買っています。
アドリブ例
Gm7 | C7 |
ホールトーン&クロマチック・アドリブ例
C7上で使用。1度目はホールトーン、2度目は下記のクロマチック・スケールを使用しています。
クロマチック・スケール
1オクターブに存在する12音をすべて並べたスケールを「クロマチック・スケール」と言います。
ギターは指板上に半音刻みでフレットが打たれているため、クロマチックはかなり弾きやすい楽器。ゆっくり弾くと外れた感が出過ぎてしまいますが、ある程度の速さで弾くと簡単にスケールアウト感が得られ、美味しい音階です。
ペンタトニックの音同士を半音で繋いでいくなどの使い方がおすすめ。セブンスコード上で使うと特に違和感がありませんが、16分音符程度の速さで弾くならば、どんなコード上でも経過音としてある程度強引に入れられます。
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