理論講座<基礎編2>キー(調性)について

「ある曲がひとつの音に関連づけられて成立しているとき、その曲には調性(キー)があると言う。」

これが曲のキーに関する大まかな定義。でも、これだけでは何が何かわかりませんよね。ここではこの「キー」についてのおおざっぱな説明と、その利用例などを紹介しています。

キーは曲を司る音列によってきまります。メロディとコードがどのような音の集合から成り立っているか、を表したものがキーです。

ここではいくつかのキーの楽譜をもとに、どのような音列が使われているのかを見ていきます。

キー”Gメジャー”の場合

 

アメージング・グレース(Amazing Grace)

これはキーが「Gメジャー」の例。出てくるメロディ、コードがすべてGメジャー・スケール内の音から成り立っているところから、そのように定義されます。

出てくるコードは、G(ソ・シ・レ)、Em(ミ・ソ・シ)、C(ド・ミ・ソ)、D7(レ・ファ#・ラ・ド)。これもGメジャー・スケール内の音から作られたコードばかりです。(下図参照)

メジャー・スケールとは、「ドレミファソラシド」のことで、「ドレミファ〜」はドから始まるので「Cメジャー・スケール」と呼びます。Gメジャー・スケールは上のようにソから始まりますが、「ソラシドレミファ#」と鳴らすことで、ドレミファソラシドと同じように聞こえます。巷のほとんどの音楽がこの音階を基本に成立しています。(くわしくはスケール編参照)

キー”Bbメジャー”の場合

今度はキーBbメジャーを見てみます。メロディに半音下げの臨時記号♭(フラット)がたくさん出てきますね。

 

Auld Lang Syne(蛍の光)[key in Bb major]

コードもGメジャーの時とは全く違うものがたくさん出てきます。Bb、Eb、Gm、F。曲がBbメジャーのキーなので、これらもBbメジャー・スケールの中にある音から成り立つコードばかりです。

もちろんメロディラインもBbメジャー・スケール内の音で出来ています。

キー”Eマイナー”の場合

お次はマイナー・キーの場合。暗い曲のキーです。

 

ヴルタヴァ(モルダウ)[key in E minor]

スメタナ作曲の「我が祖国」の中でも最も有名なメロディ。今回はキーEマイナーで譜面を作りました。メロディは全てEマイナー・スケールからの音が使われています。

コードについてもほぼEマイナー・スケール上からの音だけで作られていますが、B7だけは例外で、”レ#”の音はEマイナー・スケールのなかにありません。

調号と移調

さきほどのBbメジャー・スケールにはフラットが二つ(シとミ)付いています。これはBbメジャーというキーでは絶対に2つ付くのが決まっているので、ト音記号の右にあらかじめフラットを二つ書いておき、その音が出てくる度にそれが適用されるというルールにします。このト音記号右側にあるフラットやシャープのかたまりを「調号」と言います。

 

B♭メジャー・スケール(調号付き)

キーには曲全体の高さを統括する役割もあり、上げ下げすることで、曲自体の高さが変わってきます。キーを変更することを「移調」といい、自分の歌いやすい高さや、弾きやすい高さに変更するときに行います。ちょうどカラオケに付いているキーコントロールのようなものを想像すると分かりやすいでしょう。

たとえば先ほどのアメージング・グレースをGからBbにすると…

GメジャーをBbメジャーに移調

 

アメージング・グレース [Bb major]

最初に出てきたGメジャーの楽譜と見比べると、メロディが全体的に上がっているのがわかります。冒頭のト音記号の右にはBbメジャーを意味するようにフラットが二つ付いています。コードもG→Bb、D7→F7などというように、高さが変わっていますね。

ポップスやロック等では、キーはひとたび決まると曲のはじめから終わりまで、全て同一のキーで通すことが多いですが、中には曲の途中でキーが変わるものもあります。こういうものを「転調」と呼び、曲全体のキーを変える移調とは区別します。

曲のキーはどこでわかる?

曲の最後のコードを探る

曲のキーは、基本的にその曲の最後のコードです。曲がフェードアウトしていてわからないってことも結構ありますが、綺麗に「じゃーん!」と終わる曲であれば、ほぼ間違いなくその最後のコードがその曲のキーです。これは楽譜を見たり、最後のコードを知っていればいいので、わりと分かりやすい判別例です。

 

この場合のキーはDメジャー

調号を数える

ト音記号の右にある調号の数を覚えるという方法があります。調合は曲のキーに応じて数が決まっているので、これを覚えておくと、譜面を見るだけでキーが判明します。

 

調号一覧

こんな風にそれぞれのキーにはマイナーとメジャーとがありますが、CメジャーとAマイナー、EbメジャーとCマイナーなど、それぞれ同じ音列から成り立つので扱いとしてほぼ同じになります。こういうものを「平行調」といいますが、この辺りの詳しい話はまた後ほど。

自分で探る

譜面もなく、最後のコードも分からないといったケースです。曲に合わせて適当にペンタトニック・スケールなどを弾いてみて、”合うものが正解”といった具合です。

実はギターを弾いていると、こういうケースが一番多いです。ピアノなどに比べて、感覚的に演奏することが要求されやすいギターでは必要な能力です。譜面のある曲に合わせてスケールを弾いてみてキーを探り、あとで譜面を見て答え合わせ、といったトレーニングをやると効果的です。

たとえばDメジャー・キーの曲にDメジャー・スケールやDメジャー・ペンタトニック・スケールを弾くときれいに合います。これはアドリブ奏法を身につけるための第一歩でもあります。