理論講座<コード編3>マイナー・ダイアトニック

ナチュラル・マイナー・スケールとは違う、二つのマイナー・スケール。そして、それらから導き出されるコードについての話です。

3種類のマイナー・スケール

マイナー・スケールには通常のナチュラル・マイナーに加えて、ハーモニック・マイナーとメロディック・マイナーという、合計3つが存在します。前にダイアトニック・スケールの音をひとつずつ堆積してダイアトニック・コードを7種類作りましたが、同じようにこれらのマイナー・スケールからできあがるコードを見ていきます。

各スケールの細かい話はスケール編を参照のこと。キーはAマイナーで統一してあります。

ナチュラル・マイナー

Aナチュラル・マイナー・スケール

今までの説明通り、ドレミファ〜のCメジャー・スケールのラをルートにしたもの。当たり前ながら、派生するコードもCメジャー・スケールと同じです。

ダイアトニックコード
(Aナチュラル・マイナー)

ハーモニック・マイナー

Aハーモニック・マイナー・スケール

ナチュラル・マイナーの第7音が半音上がったもの。イングヴェイのお陰でハードロック・プレイヤーにも馴染みがあるスケールです。ここから派生するコードはこのとおり。

ダイアトニックコード
(Aハーモニック・マイナー)

トニックに相当するAmM7は普通のダイアトニック・コードにはなかったもので、ハーモニック・マイナー・ダイアトニックとしてはじめて登場します。コード編で少し触れましたが、AmとAm7の間に挟まれるという以外の使い方はほとんど目にすることがありません。Cmaj7+5は半分Caugと同じで、G#dim7はG#dimのこと。

押さえておきたいのはV7にあたるE7。マイナー・キーではEm7がE7となって「E7→Am7」という進行が頻出しますが、これはこのスケールからの借り物で、一時的にハーモニック・マイナーの響きを生む要因になります。

メロディック・マイナー

Aメロディック・マイナー・スケール

ハーモニック・マイナーから、さらに第6音も半音上げたもの。クラシック音楽では非常にメジャーな存在で、ジャズでもオルタードやリディアンb7thの母体としてよく使われます。ロックではほとんど聞きません。3度以外はメジャー・スケールと同じ音階なので、ほとんどAメジャー・スケールです。

ダイアトニックコード
(Aメロディック・マイナー)

Bm7やG#m7-5はキーAメジャーでも登場するコード。「3度以外はメジャー・スケール」なので、出てくるコードも共通なものが見られるわけです。Aマイナー・キーとAメジャー・キーを行き来するような進行では、あえてよく使われます。

VIm7-5にあたるF#m7-5はキーAマイナーやCメジャーで使うと、かなり独特の響きがして面白い存在です。メロディック・マイナー系のコードとも取れるし、構成音が同じAm6の展開系とも取れます。

#がひとつやふたつ増えただけで、かなり妙なコードが登場します。これらは各マイナー・スケールから生まれたダイアトニック・コードということで、“ハーモニック(メロディック)・マイナー・ダイアトニック”などと呼ばれたりします。さらにはこれらのスケール上で使えるテンションもまた通常のものとは変わってくるのですが、マニアックになりすぎるので、この六弦理論塾ではこれ以上は触れていません。
コード理論大全

コード理論大全

清水 響
2,800円(09/25 14:10時点)
発売日: 2018/04/20
Amazonの情報を掲載しています