なんだかシグマのレンズばかりになってきましたが(笑)久しぶりの「実写とレビュー」シリーズは、人気単焦点の30mm f1.4の登場です。このレンズは昨年のリニューアルの際、その対象にされ、黒い外装に包まれて戻ってきました。中古屋では両方混在してる状態で、外観に金色の帯があり”EX”と冠されているものが旧型です。
旧型とArtライン新型の差
僕は旧型を一度買って、あまりに寄れない上にピンぼけの嵐で、結局は返品してしまった過去があります。今回新型になるに伴い、その辺が改良されているので、随分迷ったあげく購入に踏み切りました。旧型からの改善点としてはスペック的には2点ありまして…
・最短撮影距離が40cmから30cmへ
・レンズが7群8枚から8群9枚へ
・外見が洗練された
上は最重要ポイント。この10cmはでかい。実際新型では「もう少し寄れたら…」と思うことはほぼありません。二つ目はボケの美しさに関わってくるところだと思います。旧型は1日撮っただけでも、半月みたいないびつなボケがたまに現れていましたが、新型ではそれもほぼ見受けられなくなっています。外見は、少し安っぽかった金色の帯もなくなって洗練されました。
開放F値1.4は凄い
なんといっても大口径f1.4を生かすのはこういう写真。ふわっと感がこれだけ出るのもやはり大口径ならでは。開放は甘いという意見も見受けられますが、その甘さがあるから空気感がでるんじゃないかと個人的には思ってます。
これも開放で撮ったもの。後ろの木のぼけ具合などあまり綺麗とは言えませんが、少し離れただけの背景がほぼ全部ぼけるので、非日常的な雰囲気を漂わせることができます。
f2.8。これぐらいまで絞ると、ピントを合わせたポストは非常にかっちりしてます。この辺りから、このレンズが一番くっきり解像する絞り値にはいってきます。
絞ると超解像
こちらもf7.1。補正を+1にしてハイキー写真にしていますが、PLフィルターを使っていないため、地面に若干の色かぶりがみられます。
f2。少し絞っただけですが、ふんわり感が若干締まってくる感じがあります。色は後でコントラストを下げています。
レンズのレビュー時に常に話題になる逆光耐性。右上の方に夕陽が当たっていますが、見事にフレアになってます。個人的には逆光耐性はあまり気にしないどころか、絵作りに生かしたいと思う人なので、ほとんど考えることがないのですが、耐性は優れているのかどうか、微妙なところです。ただ、このシチュエーションだとどのレンズでもあまり変わらないかも。
ちなみにこれはf7.1。かなり絞っているためか、窓柵が非常にくっきり解像してるのが分かると思います。解像度の高いかっちり写真はSIGMAの真骨頂。風景でも何のそのです。
ネックは重さと価格
描写は言うことがないと思います。何せ4万円台でf1.4のレンズなど他に選択肢がないので、やはり貴重な一択でしょう。明るいだけでなく絞りの値によって描写の雰囲気も変えられる、ツァイス風の良い部分も持っています。
欠点としては、やはり単焦点レンズにしては400g超というのが重すぎること。軽量な標準ズームと張り合うぐらいの重さになります。まぁ、その分作りがしっかりしていると言えなくはないですが。
そして、4万をこえる価格でしょうか。純正のf1.4ともなると軽く10万ぐらいは越えてしまうので、安いと言えば安いです。…が、単焦点にこの値段と思ってしまう人は少なくないと思います。特にニコンユーザーであればAF-S DX 35mm f1.8というよく似たスペックの純正レンズが2万円台であったりするので、余計に難しい選択になります。
まとめ
ポイントはやはり明るさになると思うので、その辺をどう考えるかですね。このレンズはうまくハマるとやめられなくなる面白さを持っていますので、最初の単焦点を1本選ぶなら、中途半端なものを買うより多少無理をしてでも良い選択だと思います。Artラインに懸けるシグマ社の心意気が伝わってくるようなレンズです。個人的にはイチオシです。
ちなみに、旧型同様AFには個体差がかなりあるようです。ボディとの相性によってはかなりズレていることがあるようで、その場合、ボディ共々調整に出すか、USB DOCKを購入して自力でピントを合わせるかになります。シグマはAF調整は永久無料なのですが、ボディ共々2週間ほど留守にさせなければならないというのがネック。
USB DOCKは別途購入の必要はありますが、レンズの調整やファームウェアのアップデートなどを自分で出来るというのは、発想として面白いものだと思います。