過ぎ去りし春の候、関空からスイス・チューリッヒへ飛びました。KLMオランダ航空でアムステルダム経由。チューリッヒの空港着はかなり夕刻を過ぎたころでしたが、一目見ただけで「金のある裕福な国」をイメージさせます。
初日は到着直後なので、無理せずチューリッヒで一泊。ホテル・モンタナ・チューリッヒという駅前から徒歩数分のところへ。チューリッヒ空港から駅は電車ですぐでした。
駅前は自転車が大量駐輪。もはや大阪の如き体をなしていますが、駅前にそびえる尖塔はまさにヨーロッパそのもの。
ホテルについたら、受付のハイテンションをいなしつつ、部屋に入って即就寝。次の日から電車での旅が始まります。
スイスパス&ファストバゲージ
スイスを電車で巡るにはスイスパスがやはり一番有効。今回はスイスフレキシーパスで、3日の旅程を組んでスタートでしたが、後々までこのパスには非常にお世話になることになります。
スイスのみならずヨーロッパの鉄道旅券はやはりレイルヨーロッパが定番、確実。今まで数回利用しましたが、問題は全くありませんでした。
今回はパスを買ったときにたまたまファストバゲージという荷物駅間転送サービスが付いてきたので、それも余さず利用。チューリッヒ駅で、バーゼルまで荷物を送り、パスを駅員に見せてヴァリデートして(パスポートを見せて日付を書いてもらう作業)とうとう出発。最初の目的地は乗換駅のルツェルン。
第一の目的地・ルツェルンへ
この日の目的地はインターラーケン経由してのラウターブルンネン。ルツェルンを通らずとも、西に逸れてベルン経由で行くと特急に乗れて速いのですが、このルートは湖沿いの絶景が超魅力的。
さらにはブリエンツ湖クルージングというのも味わってから行こうということで、あえて内陸を走るコースに決定。ルツェルンまではいわゆるスイス的な湖沿いの景勝ルートです。
さて、まもなくしてルツェルン到着。次のブリエンツ方面の電車まで2時間ほど余裕があるので、軽く街を散歩することに。
ルツェルンは駅前に美しい湖が広がり、その奥に旧市街がある中規模の街。湖から市街地まではまっすぐカペル橋という目立った木造の橋がつながってます。旧市街はヨーロッパ特有の入り組んだ路地が通っていますが、日曜日だったためほぼ全ての店が閉まっていました。
ルツェルン駅はかなり大きく、中にも店がたくさん。日曜日でもばりばり営業中のCOOPにて昼食をゲットして、ブリエンツまで出発です。
ある昼間のトラブル
さて、ルツェルンを出て6つほど駅を行ったところにGiswilという駅があります。普通なら特に何もなく通り過ぎる駅なんですが、このときばかりは違いました。乗客が全員降りていきます。残された僕らに車掌が「はやく出てバスに乗って!」とまくし立てます。急いで荷物をまとめて駅の外に出ると、バスが大量に待機。何とか乗り込むとバスはそのまますぐに出発。怒濤の山越えへと繰り出していきました。
あとで分かったんですが、電車内で紙をもらって若干の説明を受けたのがそれだったようで。紙をちゃんと読むと「GiswilからMeilingenまで工事中」と書いてあるではないか。ちゃんと読んどかんかい、という話ですが、まあ何とか間に合ったので良し。
バスはいわゆる典型的山越えコースをばりばりと走ります。凄まじい絶景が後から後からとやってきますが、気分の方もだいぶ悪くなってきます。車酔いと絶景とのせめぎ合いを数十分続けたあと、マイリンゲンに到着。停車中の電車に乗り換えるとすぐに出発し、一駅でブリエンツに到着。
ブリエンツ湖クルージング
ここで降りずにインターラーケンまで電車に乗り続けると15分ぐらいで着くのですが、どうせなのでブリエンツ湖を横断する遊覧船に乗ることに。この遊覧船はスイスパスが効きます。
この遊覧船、この日のハイライトになりました。どこまでも透き通る湖の中を走る船は、山々とそれにへばりつくように張り巡らされた集落の間を、ぐんぐん進んでいきます。
山の稜線も美しいが、木で作られた家並がまた風情があるというもの。岸では子ども達が船を見送ってたりします。さっきまで乗ってきた赤い電車が走って行くのも見えます。
晴れた日だとデッキに上がって外の風景を楽しめますが、見飽きることがありません。雨の日はデッキにあがれない上、寒くもなりそうです。室内からも窓越しに見ることはできますね。
1時間弱のクルーズ終了後、船はインターラーケン・オスト駅に到着します。
ユングフラウの麓・ラウターブルンネンへ
インターラーケンにはオスト駅とヴェスト駅がありますが、ユングフラウの方に向かう「ベルナーオーバーラント線」はオスト駅から出発します。
路線は二股に分かれており、東へ向かうものがグリンデルヴァルト、西へ向かうのがラウターブルンネン行きとなります。前者はツアーなどでも定番の、ユングフラウへ向かうための代表的経由地となっていますが、後者はなぜかあまり人気がないようで、行く人は随分少ないです。今回は山の中腹にあるヴェンゲンという街に一泊をとっており、ラウターブルンネン経由でしか行けない場所です。
インターラーケンは今回は素通りしただけですが、行く電車からは周辺の雰囲気が感じ取れます。かなり良い感じのところ。駅も大きいし観光地として拠点となっている場所なのも頷けます。
ラウターブルンネン行きの電車からは湖だらけだった今までの路線とは違い、山を縫う雰囲気が少し出てきます。小川をいくつか通り、30分ほどの旅。まもなく滝で有名なラウターブルンネンへ。
さて、駅へ到着すると、電車を降りた時点で水の音が聞こえます。駅の中からも見える超巨大な滝。その規模に唖然とします。シュタウプバッハの滝です。
駅から10分ちょっとぐらい歩くと滝の目前まで行くことが出来ます。落差は300m近く。あべのハルカスから水が落ちているようなもので、凄まじい落差とものすごい水量を感じ取れます。ちょっと日本ではあり得ない高さの滝です。
滝の向かいには小さな教会があり、滝と教会をバックに写真ポイントとなってます。
ラウターブルンネンはちょうど山間の谷底に作られたような街になっており、崖のような山々が両端にそびえ、その上にも集落がいくつか存在します。この位置関係は後にヴェンゲンにたどり着いた段階で嫌というほど思い知らされることになります。