さてさて、コーヒー豆の自宅焙煎、前回は必要なものを揃えるという内容でした。第2回は実際に豆を焼いてみます。
つかうのはこちら「煎り上手」。だいぶ使っているので、焦げがこびりついて、ずいぶん汚いです。
自宅で焙煎すると焙煎度も自分で決められるわけですが、焙煎度には産地ごとに最適な度合いがあります。ここを参考にするといいかも。
その他、ホームローストに言及した本とかにも細かく載ってます。
生豆のハンドピック
とりあえずは生豆が無いと話にならないので、まずこれをドン!と。
ワイルド珈琲の「パナマ・ベルリナ」でございます。
煎り上手は一度に50g程度しか煎れないのですが、今回は欲張って60g煎ります。煎った後は水分が抜けて50g台になるはず。
ハンドピックというのは、生豆のなかからカビの生えたものや、虫食いのあるもの、極端に大きかったり小さかったりするもの、などなどをはじいていく作業です。
珈琲専門店を営む方が一番気を遣う作業の一つで、ここでしっかりばらつきをなくしておかないと、あとあと味に響きます。特に虫食いやカビは、一緒に焼いて挽いて飲むとやばいらしい…
欠点豆についての詳しくはこちらを参照。
欠点豆の見分け方
しょせん個人的に家で飲むだけなので、ほどほどにやります。カビ豆がなければいいかなという感じ。
いよいよ煎ります
中火にして、火に当たるかどうかぐらいの辺りに位置。そのまま少し空だきさせます。
適当な時間おいておいて、鍋が熱くなったら豆投入。
漏斗とかがあったらここで使いたい感じ。煎り上手は口が狭いので、投入には気を遣います。周りに散乱したら悲劇です。
豆が色づくまで
その後、鍋をゆっくり降りながら待ちます。最初は水分が含まれているので、それがちょっとずつ飛んでいきます。香りは珈琲のアロマを全く感じない青臭いもの。草を焼いてる感じです。
何分かしてると、豆がカラカラと乾いた感じの音を立てるようになってきます。それと同時にちょっとずつ茶色に変色していきます。
この段階で、香りが急に良くなります。焙煎中一番いい香りがするのがこの段階なので、たくさん嗅いでおきましょう。
1ハゼまで
豆が茶色になってくると、チャフ(皮)が飛び散って舞い上がっていきます。
チャフは豆からはがれた皮のカスみたいな感じで、飛び出しては火にあおられ舞い上がります。大半は焼かれてそのまま炭になっていきます。写真の火花はチャフが燃えているところ。
コンロ周りが汚れるのはあきらめましょう。チャフは出やすい豆と出にくい豆があり、ブラジルなんかはかなりたくさん出ます。
2ハゼ~取り出し
延々振っていると、豆がはじけてパチパチとうるさい音を立て始めます。これが1ハゼ。1ハゼは豆の種類にもよりますが、たいていはかなり大きい音を立てるので、嫌でもわかります。
この時点でハイ~シティローストぐらいになってます。
さらに炒り続けると、パチパチと連続的に天ぷらを揚げるような音が聞こえてきます。これが2ハゼ。しっかり煎れていれば1ハゼ終了後に来ますが、たいていムラがあるので、全部の豆の1ハゼが終わる前に2ハゼに突入するそそっかしい豆がいます。
2ハゼ最盛期ぐらいまで待つと、フルシティローストぐらいになるので、2ハゼ開始から少しぐらいで上げると、中深煎りの無難な焙煎度になります。だいたいの豆で美味しく飲める焙煎度です。
とりだして冷却
網の上に出します。網を使う理由はチャフを下に落とすため。なんせ煙がすごいので、換気扇を強にしてその下でやるのがいいかも。庭のある人なら外でやった方がいいです。普通に部屋に煙を出すと火災報知器が反応しそう。
そのあとドライヤーのcoolで冷却。うちわでもいいですが、ただでさえ振りまくって腕を使っているのに、しんどいのでドライヤー推奨。ここですぐに冷却しないと、余熱で焙煎が進んで真っ黒になります。
手で触れるぐらいに冷えたらOK。このあとにもぱっと見て煎りすぎているものや、色の白いもの(未成熟、死豆?)などを除去します。
できあがり
というわけで、こちらができあがり。フルシティローストぐらいを狙いましたが、うまくそれぐらいで煎れました。
自宅焙煎は楽しいですが、いくつかの注意点があります。
・浅煎りが難しい
・期限が短い
この2点はとくに注意すべき点。
ブラジルとかブルマンとかは推奨が浅煎りですが、芯が焼け残っていることが多く、失敗に終わる可能性が高い、リスキーな焙煎度です。逆に浅煎りが煎れたら、かなりの手練れかも。
で、なぜか美味しく飲める期間が短いです。1週間ぐらいで豆がふくらまなくなり、味に奥行きが無くなってきます。これは僕が下手なだけなのか何なのかよくわかりませんが、どうせ一度に煎れる量は知れているので、2,3日で飲むようにしてます。
珈琲を自宅で煎ると、色々わかることがあります。日頃は色でしか見ていない焙煎度も注意を払うようになるし、たまに珈琲屋の店内はしっこにあるハンドピック用の空間も、思わず覗いてみたくなりますね。