ニコンの誇る安価な単焦点レンズとして名高い「50mm f1.8G」。初心者が真っ先に手を出せる単焦点として格好の立ち位置にあるレンズですが、実写と共に軽くレビューしていきます。

写りは線が細く繊細
写りは昨今の色の濃くかっちりした写りというよりは、線の細い印象を受けます。

明暗差も極端な強調がなく、素直な写り。妙な個性がない辺りが余計に初心者向けを思わせます。
ボケの美しさは条件次第

こちらは開放絞りですが、ピントの合っている箇所は若干甘く、少し外れたところは光が飛び散っていくような写りをします。これが個性の少ないこのレンズの特徴と言えるかもしれません。背景との距離が十分にあるような好条件以外では、ボケはややうるさめ。

こちらはピントの合っている場所がかなりくっきりしています。くっきりした画が欲しい場合、ある程度絞るべきレンズです。
APS-Cとフルサイズ機での画角
初心者用というのもあって、はじめAPS-Cで導入される方が多いと思います。
APS-C 75mm相当
35mm換算で75mmという、ポートレイト系に最適な画角になります。


ポートレイト系ということで、人物はもちろん、このような被写体にも最適。反面、風景には合いません。75mmでは大抵の風景が収まりませんが、これは個人的にも経験済みです。
ちなみに、上の鹿のものはf2.2で毛並みもしっかり。やっぱりちょっと絞った方が良さそうです。若干の逆光気味写真ですが、陽の光の雰囲気もうまく描写出来ている感じです。
フルサイズ機の場合 50mm


50mmは標準レンズとして人間の視界とほぼ同じと言われています。視界と合致するというので、平凡な写真になりやすいのが特徴ですが、逆に万能でもあるので、こんな風に風景的な切り取り方もできます。このレンズの場合、その軽量さと50mmという画角はスナップに最適で、小さいので圧迫感がなく、テーブルフォトなんかもできます。
まとめ
開放がもう一つ甘いとか、ボケがあまり綺麗でないなどの欠点もあることにはありますが、この値段を見ると納得せざるをえないところではあります。それよりも、キットのズームレンズなどでは絶対に得られない写りをこの値段で得られるメリットが遙かに勝るので、初心者が二本目に買い足すにはやはり格好の位置づけ。DX専用でないので、将来的にFXフォーマットのフルサイズ機に移行することがあってもそのまま使えるというのも大きな要素です。
安価な上に軽量なので、僕自身も大体2本目にこいつが収まっていることは多く、サブレンズとしての運用性はかなり高いです。
ちなみに、描写にもうワンランク上を目指したときに50mm f1.4が射程に収まってきます。こちらは値段が倍程度するのと、100g程度重くなるのがポイント。こちらは所持してないので何とも言えませんが、ボケが非常に綺麗というレビューが散見されるので、その辺りの差をどう捉えるかというところかなと。
単焦点レンズは利便性は低いものの、ズームレンズでは確実に撮れない写真が撮れます。同じく、キヤノンの撒き餌レンズ「EF50mm F1.8 STM」には価格の面で到底勝てませんが、ニコンユーザーとして、キットのズームレンズだけで撮影している人には、やはり真っ先にお奨めしたいレンズですね。