開発・更新が停止されて久しいApertureをついに見捨てて、Adobe Lightroomに乗り換えました。
Apertureはその管理のしやすさとアプリ自体の軽さもあって、使えなくなるまではこれでいこうと思っていたんですが、Photoshopが使いたいのもあって、Creative Cloudフォトグラフィプランに加入したので、どうせならと思って移行に踏み切った次第です。

Creative Cloudフォトグラフィプランとは
月額980円でPhotoshopとLightroomが使えるサービスです。数年前から、Adobeはクラック対策などもあってか、月ごとに定額でソフトが使える形態に移行していますが、これの写真系に特化したプランがこれ。単体ソフトの契約が月額2千円ぐらいなので、単体ずつで契約するより、かなり安上がりです。
このプラン、写真を撮る人はLightroomのために契約している人が多いようですが、メインは業界標準のPhotoshop。LightroomはPhotoshopの写真調整・RAW現像部分のみを取り出して、そこに「大量写真の管理データベース」をくっつけたものです。
移行のためのメニューを使う
移行組を見越して、Lightroomにはあらかじめそういうコマンドが付いています。前のバージョンではプラグインとして、別途配布だったようですが、CCからは標準搭載。

僕のApertureのライブラリは200GB超。昔のD40とかの写真を入れていないというのもありますが、これは多分少ない方だと思います。が、これでも移行には10時間弱かかりました。500GBぐらいあると本当に24時間ぐらい掛かりそうです。
Lightroomでの画像ファイルの扱い
大本となる画像ファイルがLightroom Mastersという別個のフォルダに日付順に並んで入れられます。そこから、任意の写真を抜粋した「カタログ」ファイルを生成。カタログ内で写真管理のための「コレクション」やタグやフラグなどを設定します。
写真のサムネイルや、編集の状態、レートやフラグなど、元画像データに付属する全情報がカタログファイルに記載され、元画像データはそこから適宜参照、という形のようです。

カタログファイルは大抵の場合、全写真を入れたひとつがあれば事足りそうですが、実際にあちこちで仕事の撮影などをしているような人は、うまく複数のカタログファイルを使い分けて、管理しやすくしているようですね。
元画像データは巨大化するので、データだけを外部ディスクに移して、カタログファイルのみ本体ディスクにという運用が一般的でしょう。ラップトップのお使いの方にはスマートカタログという、超便利な機能もありますが、ここでは割愛します。
移行するとフォルダが一個ふえた
さて、移行開始からそのまま一晩寝かせて、次の朝に画面を確認。ひとつ問題が発生しました。
Apertureの場合は、プロジェクトというものを作成して、写真の入れ物にします。ここに日付やら場所やらイベント名やらを表記してまとめている人も多いと思うのですが、移行した際にプロジェクトは「コレクションセット」というものに一括して変換されます。
Lightroomでは、
コレクション……写真をまとめるアルバム
コレクションセット……複数のコレクションをまとめるフォルダ
こういう役割なので、根本的に役割の違うものに置き換わってしまいます。
僕はApertureで大抵の写真を フォルダ — プロジェクト という階層を作って管理していたんですが、これをそのまま読み込むと
コレクションセット — コレクションセット — コレクション
という感じになりました。最下層に存在しなかった要素が増えています。

赤枠の中。一番下の「夕景・夜景」がアルバム。その上の地名が書いてあるものは全てプロジェクト。「2016-3 湯布院・北九州」はフォルダ。

このように、「プロジェクトの写真」というコレクションが無理矢理追加されています。元アルバムだった「夕景・夜景」は直接コレクションになっています。
役割の違うものに置き換わるせいで、妙な弊害が起きています。Apertureでの「アルバム」がLightroomのコレクションに適合しているようなので、アルバムをメインに運用していた人は大丈夫そうです。
そのままでも特に弊害はないんですが、気持ちが良くないので、僕は全部手打ちで直しました…。自動でやる方法もありそうなもんですが、全部を手で直すぐらいなら、Apertureの時点で全てをアルバムに変えておく方が恐らく掛かる手間はマシだと思います。同じようなシチュエーションになりそうな方は要注意。
コレクションとプロジェクトは似て非なるもの
LightroomのコレクションはApertureのプロジェクトとは似て非なるものです。どちらも、中に複数枚の写真を含めるフォルダ的扱いではあるのですが、Apertureのプロジェクトは元写真の場所になるので、複数のプロジェクトに同じ写真が入っていることはありません。ところがLightroomのコレクションには同じ写真を含められます。たとえば自分のこどもが写っている旅行時の写真を、「○○旅行」と「こどもたち」という2種類のコレクションに、両方属させることが出来ます。上での説明の通り、Apertureでいう「アルバム」の概念に近いものです。
プロジェクト的な要素はLightroomでは存在しないようです。
僕はあまりアルバムを使わず、プロジェクト主体の一元的な管理をしていました。同じような運用をしていた人は、とっちらかってしまわないように、何らかのルールを決めたほうが良さそう。
フラグとレート、色分けタグはそのまま
フラグとレートはそのまま適応されます。これは助かる。色ごとのタグもそのままです。ご丁寧にもキーワードに「Apertureのカラー」等という風に項目が増えています。Apertureではあまり使っていなかったキーワードタグも、この際使いこなしてみたいですね。「空」とか「花」とか付けておくと、後々何かで使いたくなったときに良さそうです。
残念ながらApertureでの編集は全て破棄されます。処理エンジンが全然違うはずなので、同じ設定を使うわけにもいかないということでしょう。ただ、「調整された項目」というコレクションが新規で作られ、”編集されていた”という記録だけは残ります。

スマートアルバムは破棄
検索条件を指定しておくと、それが自動で選別される「スマートアルバム」。超便利な機能なので、色々と役立ちましたが、これは移行の際に全てなくなります。ちなみに「スマートコレクション」という、ほぼ同じ機能はあるので、また作り直すことは出来ます。
便利なクイックコレクション
「B」を押すと、その写真がクイックコレクションに登録されます。候補となる写真を選別する際、とりあえず全部ここに登録して、あとでじっくり吟味するも良し。一括して現像編集にとりかかるも良し。この辺はApertureにはなかった機能ですね。

このように、別項目に存在。右端に「+」を付けたところが、クイックコレクションの役割を担うようです。「+」は自分で任意に付けることができます。
意外に良かったLightroom
最初は少し戸惑いましたが、Lightroomの管理機能も少し使い慣れてくると、Apertureに引けを取りません。かつては管理ならApertureが断然上とも言われていましたが、最新版は随分進化している印象。もとより現像、編集機能はApertureの比ではなく、Photoshopとの連携も考えると、移行にはおおむね満足です。
動作の軽さだけはやはりApertureには及びませんが、これは豊富な現像調整機能とのトレードオフと考えるしかないでしょう。
それにしても、Photos.appのクソぶりを見ていると、今後このOS付属アプリがAperture並みに進化するとも考えにくく、Appleはおそらく写真系に特化した分野からは撤退するつもりでしょう。心あるフォトグラファーは、みんなLightroomにさっさと移行してしまった方が幸せになれそうですね。