DREAM THEATER「The Spirit Carries On」の弾き方を解析する

ドリームシアター史上でも最高のバラードの一つ「The Spirit Carries On」。バック演奏のアレンジと絶妙に絡んだギターソロは曲の1/4を占める長大なもの。これまたバンド史上屈指の名ギターソロになっています。今回はそれを弾いてみようという試み。

今回はギターソロだけだったので、妙な緊張感はあまりなく録画してます。ギターの音はフランスの知人に素の音のデータを送って、Bugeraの真空管アンプでリアンプして貰いました。ビバ・インターネット。

 

ソロ冒頭部

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冒頭はつかみがポイント。出だしは5fのチョーキングからですが、2音目は若干ピッキングハーモニクスがかかってます。このソロ通してですが、チョーキングの音程に要注意。1音、半音、1音半とまんべんなく登場します。素の実力が試されるところ。

最後の速弾きは、四角で括ってあるラストのペンタトニック部だけが極端に速いです。ここは僕も動画でちゃんと弾けてませんが、曲を聴くとこうなっているようです。

 

ソロ中間部・その1

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徐々に盛り上がってきます。ヴィブラートはしつこいぐらい掛けた方が効果的。大げさなぐらい高らかに歌いあげるイメージです。構成的には1段目ラストでBmのコードトーンを弾いて、弦飛びのフレーズでもって、ハイポジションに以降、Bbコードに突入。うーむ、見事。

原曲を聴くと、このコードトーン部分からピックアップがフロントになっている気がするんですが、ライブとかを見てもずっとリアで弾いているんですよね。ジョン・ペトルーシはライブでもかなり丁寧にピックアップを切り替える人なので、やっぱりずっとリアが正解か。とは言え、僕は動画で弾いたときには切り替えてます。

4小節目の最初のフレーズはDのコードトーンを下がっていくだけ。この手のフレーズではよく使うものです。知らない人はそのまま覚えておくといいんじゃないでしょうか。

一番最後の赤線が引っぱってある3オクターブに渡る同旋律フレーズは、タイミングが極めて取りにくいです。本人もおそらく感覚でやっているでしょう。譜面は参考にせず、原曲に合わせて感覚をつかみましょう。

 

ソロ中間部・その2

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少し落ち着いた展開を見せる部分。出だしの24fは無いギターの場合、22fのチョーキングで対処。2小節目の赤のアンダーライン部分は普通のペンタトニックですが、リズムに注意。入り損ねると字余りになってしまいます。

下段に移ってからはDとA/C#のコードトーンをそのまま弾き(ピックアップがフロントになっている気も)、ソロ中でも特に目立つ下降フレーズへ。下降フレーズは青のアンダーラインの部分で高い方のフレットからスライドを掛けています。これもジョン・ペトルーシがよく使う手法。やり過ぎると嫌味になりますが、ほど良く歌っている感が出るので、うまく使えるようにしておくと良いです。

 

ソロエンディング

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ラストの速弾き部。畳みかけるような速弾きが登場しますが、他のドリーム・シアターの曲に比べると知れてます。1段目はBマイナー・スケールの上昇。フルピッキングの練習に最適。ポール・ギルバートも得意とする1弦上3音での上昇フレーズです。

2段目は青のアンダーライン部で22fのチョーキングを4回、そのままフルピッキングをしながら赤の四角で囲ったフレーズを3回、という風に回数を覚えて、最後のところまで帳尻を合わせるように曲に合わせて練習するのが近道。ラストは速いですが、単純なペンタトニック・スケールです。

この部分全体を通して、ライヴではかなり適当に弾いてます。22fのチョーキングも含め、21fどまりのストラトでは弾けないかもしれません。

最後の段は急速に冷ますように落ち着いていきますが、チョーキングの音程が狂うと、最後の最後で台無しなので、最後まで気を抜かずに弾きます。

 

まとめ

ヘヴィでテクニカルを前面に押し出して、メロディを後退させるという、ドリーム・シアターがこの後に辿る音楽性を考えると、この曲とこのソロはわりと希少価値の高いものです。

「Octavarium」以降、揺り戻しもありましたが、この曲のような印象的なギターソロはもう出てきてないのが実状じゃないでしょうか。2ndに入る「Another Day」のソロもなかなか良いですが、この曲の持つ緩急と絶唱スタイルのギターには叶いません。

ギターを歌わせる練習にもなるので、この曲の好きな方は是非一度取り組んでみてください。