ひょんなことからEMG 89と、フロント用の89Rをセットで手に入れたので、CARVINのギターのPUを換装してみました。
EMG 89は内部でハムバッカーとシングルコイルが同居しており、それらを切り替えて使えるというもの。コイルタップと違うのは完全な切替であるという点でしょう。
いわく、85とSAのサウンドが同居しているという謳い文句ですが、実力はいかに。
換装

・トーンポットにフロント側のハム、シングル切替を搭載
・ボリュームにはスイッチなし
・リア側はハムバッカーとしてのみ使用
・センターピックアップはダミー
わざわざ89を使ってハムバッカーとしてしか使わない、なんてのは普通じゃない使い方ですが、単品じゃなくてセットで手に入ったのでそれをやってみます。

苦闘数時間の末、なんとか換装に成功。音を出してみた感じでもなかなか悪くない雰囲気です。
サウンドレポート
※フロントシングル(0:00〜) → フロントハム(0:12〜) → リアハム(0:22〜)
ハムバッカー
レンジの広さと押し出しの強さは素晴らしい。こもるわけでもなくスカスカになるわけでもなく、音ヌケが極めて良い、EQ補正をしたかのような絶妙なサウンド。とくにリアのハムバッカーはかなり気に入りました。ネット上の情報によると、ハムバッカー専任の”85”とか”81″だともっと元気が良いんでしょう。
※Dream Theater「Spirit Carries On」のソロ。先日ディマジオのA.TimmonsとTone Zoneを比較する記事で使ったのと同じもの。
とはいえ、上の音源を聴くと、全レンジが押し出されるせいで、ある意味で面白味のない音と感じられなくもないです。中域にグッと持ち上がる部分があってもいいのかなと思いますが、この辺りは好みの問題もあるし、難しいところですね…。
あと、ピッキングの強弱における反応が今ひとつです。よくコンプ感が強いと言われるアクティブPUですが、これがその証拠かも。この辺、それを改善したWシリーズを試してみたいところです。
シングルコイル
シングル的な煌びやかさと線の細さ、高域の鋭さは持っていますが、個人的に「ジャキジャキ感」が足りません。ヴィンテージ臭と言い換えてもいいかもしれませんが、この音色がEMGの方向性なのかもしれないですね。クリーンでカッティングとかしてるだけならともかく、クランチ程度の歪みにしたり、ハイゲインをギターのボリュームで制御したりして弾くと物足りなさを覚えます。
ハムバッカーが気に入っただけにシングルにもう少しジャキッと感があれば、メインのギターを載せ替えてもいいと思えるほどです。ここについては、他モデルを試してみる余地がありますね。
クリーントーンは秀逸
※リア → フロント(シングル)→ フロント(ハム)
クリーンに限って言えばシングルもハムも本当に秀逸です。全レンジ一切の濁りが無く、ハムバッカーにありがちな高域の減退もあまり感じられません。倍音が豊かだからそう感じるのでしょうか。カッティングよりもアルペジオなどの方がその綺麗さを享受できます。
おわりに
89はシングルとハムが同時に載っているのが持ち味ですが、はっきり言って音量差はそこそこあるし、ノイズが気にならないのであれば、普通のコイルタップで十分な気もします。
とはいえ、既存のハムバッカーのコイルを半分にするだけのコイルタップとは違って、切替の前後でサウンドがかなり激変するので、やはりサウンドバリエーションの広さには他の追随を許さぬ魅力があるのも確かです。ふくよかなフロント側のリードギターのトーンと鋭いカッティングのトーンなど、普通にやってると同居しようもないものが可能になります。
アクティブPUについては、今回初めて試したんですが、たしかに通常のパッシブにはない面白さがあります。ローノイズはもちろんのこと、レンジと音圧は素晴らしく、トーンポットの効き方なんかもよりスムースなので、この辺もうまく使えるとサウンドの広さをよりコントロール出来そうです。シングルコイルに僕の嗜好にハマるものがあれば、メインギターをアクティブにしても面白いかなと思ってます。