最強アコギプリ「Fishman AURA SPECTRUM DI」を色んなピックアップで実験

アコギをMaestroに変えたのと連動して、エレクトリックな出力部も変更。今回は色々迷った末、Fishmanのインブリッジ(アンダーサドル)ピエゾ「Matrix Infinity」とマイクシミュレーター機能で人気を博す「Aura Spectrum DI」のコンビに落ち着きました。

Aura Specrum DIとMatrix Infinity

AURAはピックアップから拾った音をマイク集音したサウンドに変えてしまう、シミュレーター系のプリアンプ。インブリッジピエゾとの相性を基準として作られてるっぽいですが、今回は折角なので、色んなピックアップを搭載したエレアコを使って実験してみようという試みです。

 

使用ピックアップ

・マグネティック(Fishman NEO-D)
・貼り付けピエゾ(Shadow SH-712)
・Ovationのエレガット(Fishman Thinline pickup、インブリッジピエゾ)
・Matrix Infinity(今回の本命、インブリッジピエゾ)

全てライン録音。上記2つはえらく安物なので、完全な比較には物足りませんが、音色の傾向は各ピックアップごとにかなり強く出ています。

 

比較開始

使用ギターに合わせてギターボディとマイクシミュレートの組み合わせを変えています。本体EQもフラットというわけではなく若干いじっていますが、極端なセッティングにはしていません。Blend量は大体どれも55%程度。

サウンドは上から バイパス(指弾き)、指弾き、ピック弾き の順です。

 

マグネティック(Fishman NEO-D)

セッティング:Jumboモデル・4(スプルーストップ、メイプルサイドバック、ショップスマイク)

NEO-Dは5,000円ぐらいの安物ピックアップですが、意外に健闘しています。バイパス音はどうしようもない悲惨な音ですが、AURAをかました後だと、特にフィンガースタイルの方はかなり聴ける音に。この変貌ぶりはかなりのものです。ハウリングに超強いマグネティックだけに、この組み合わせはライブ用としてありかもしれません。ちなみに、原音に混入した高い音のノイズはひょっとするとPCのモニターかも。

 

貼り付けピエゾ(Shadow SH-712)

セッティング:Jumboモデル・4(スプルーストップ、メイプルサイドバック、ショップス)
「コンタクト型は合わない」の事前情報通り、あまり良い結果は得られず。バイパス音はこの中でもまともな方ですが、内部に貼り付ける構造上、やはりもわっとした音になってしまい、EQをいじってみてもその傾向からは逃れられません。ライブ前提だとハウリングに弱いのもマイナス。ちなみに、ギター内部への貼り付けピエゾはL.R.Baggsの「IBeam」などが有名。

 

Ovationのエレガット(Fishman Thinline pickup)

セッティング:Nylonモデル・2(シダートップ、サイプレスサイドバック、サウンデラックス)
マイク録音に近い音が出ています。元々がエレガットなので繋ぐ前提で作られている上に、ピックアップもFishman製と条件は完璧。ピック弾きよりはフィンガースタイルの方がより迫っています。この「ロマンス」は完全にマイク録音のよう。

 

Matrix Infinity(今回の本命)

セッティング:Jumboモデル・7(スプルーストップ、ローズウッドサイドバック、ノイマン)
ピエゾ臭くないという評判のピックアップですが、バイパス音はやはりピエゾ臭を感じさせます。AURAとの組み合わせはさすがとしか言いようがなく、これにそのままリバーブを掛けてライブをやれば、恐らくラインには聞こえないでしょう。

 

結果と所感

やはりインブリッジピエゾとの相性が良いようです。インブリッジタイプはどれもこれも高域がぺたっとしている似た傾向を持つので、Fishman製でなくても良い感じになるでしょう。そんな中、マグネティックと意外に好相性だったのがわかったのは収穫でした。インブリッジは生音に変化を及ぼすので、それを避けたい時はライブ用として有力候補になりえるでしょう。NEO-Dみたいな安物でこの音なのだから、優れた製品を使えばかなりイイ線行くんじゃないでしょうか。

巷にはL.R.Baggsの「Anthem」をはじめとする高価格帯のブレンド系ピックアップがありますが、この手のコンデンサマイクを含むタイプは音は良いものの、いかんせんハウリングに弱い。狭いハコでソロギターで1人勝負するだけなら良いと思いますが、少し大きいところでやったり、複数人でやったりするときには音量がどうしても上がってくるので、コンデンサマイクはおろか貼り付けピエゾでも厳しい局面が多々あります。ピエゾやマグネティック+AURAはそういう意味で使い勝手の極めて良い組み合わせと言えます。

ただ、「振動を拾う→マイク集音のシミュレート→出力」という流れは、はっきり言って生音云々が置いてけぼりです。AURAは生音にこだわってそのままの音を出すというよりも、「アコギらしい良い音を出すのだ」と割り切って使う意識が持てるかが、選ぶか否かのポイントになりそうですね。

ちなみに、先日ライブで使いましたが、高域の出方をうまく調整するのがポイントになるかなというところ。その時に使うスピーカーによってけっこう差が出ます。EQの効きは悪くないので狙った音には近づけやすく、やはり実戦向きの機材といえますね。