SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM 実写とレビュー

シグマの最高グレードのシリーズArtラインの中核をなす標準ズームがこの「24-105mm F4 DG OS HSM」。

各社から出ている純正レンズを凌駕するというので、評価の非常に高いレンズです。4〜5月に掛けて愛器のNikon D750に装着して様々な写真を撮り歩きました。実際に撮ってみた写真とともにレビューしてみます。

 

すさまじい解像度

シグマの最大の個性がこの解像度。昔DP2sを使っていた時にその解像度に惚れ込んで、そればかり使っていた時期がありましたが、このレンズでもそれを享受できます。

1/400 f8 ISO200
1/800 f4 ISO200
6秒 f5 ISO3200

うまく写った部分については単焦点レンズ並みの解像度を誇り、すさまじいばかりのカリカリ具合。

シグマはメーカーのスタンスとして解像度の高さを前面に出していますが、一つの方向性として間違ってはいないでしょう。デジタル高画素時代の昨今とあっては尚更です。

 

美しいボケ

f4なので、開放値はそんなに明るいわけではないですが、もとより被写界深度の浅いフルサイズ機で扱うには必要十分であり、そのボケの質は特筆に値します。

1/2000 f4 ISO200
1/2000 f4.5 ISO400

さすがに単焦点レンズみたいな「溶けるような」とはいきませんが、滑らかで美しいボケが得られます。下の花の写真ではボケ味の滑らかさがよく分かります。これはレンズそのものの構成や円形絞りによるものでしょう。

 

良好な手ぶれ補正

手ぶれ補正はよく効きますね。下の写真は焦点距離52mmで1/13秒というおよそ手持ちでは厳しい条件ですが、びしっと止まって写っています。

1/13 f4 ISO6400
等倍

電柱の端を等倍にしたものも併せて付けてみます。f4というのもあり、ピントはやや甘いですが、手ぶれしてないのはよく分かります。

 

逆光耐性・周辺光量

逆光耐性

公式サイトには「新複合材TSC採用によりフレア・ゴーストを排除」と表記されています。個人的には他のシグマレンズと比べてもそんなに差はない印象。

1/160 f16 ISO200、若干のゴースト
1/640 f10 ISO200、こちらはゴーストもフレアもない

 

周辺光量

このレンズの光学性能で話題に挙がりやすいのが周辺光量。価格コムの掲示板などでもたびたび指摘されています。

補正前。四隅の黒いのはフィルターのケラレ。
レンズプロファイル適用補正後。歪みも含め減光も取れています。

Lightroomがあれば一発補正が可能で、上の二組の写真はそれを適用した例です。実際に補正前と後を見るとわかりますが、かなり光量に差が出ます。

周辺減光は作品として見た際にそれが好ましい場合もあります。僕自身もゴーストと周辺減光はむしろ描写的に好きな方で、あまり気にならないと言うのが正直なところ。パンフォーカスでばっちり風景などをメインに撮るスタイルであれば気になる可能性はあるので、補正ありきで考えていた方がいいでしょう。

 

レンズの質感

でかくて重いです。いいレンズをふんだんに使った贅沢な仕様な上、鏡胴もプラスティックというわけではないので、どうしても重くなります。その分、質感は良く、マットブラックが落ち着きと高級感を与えています。

ArtラインのシリーズにはAの印が入っている
D750とのセット。

800gを超える重さに長さも中望遠レンズなみです。まあ、フルサイズを持とうなんていう人はあまり軽さにこだわらない人も多く、そういう場合はこの重厚な質感こそむしろ好ましかったりしますが…。

僕はわりと機動力の欲しい方なんですが、D750の本体と足して1.5kg強はぎりぎり許容範囲かなと。実際に持ち歩くとやっぱりちょっと重いですけどね。

 

純正レンズとの比較は

色々と調べてみても、キヤノンの「24-105mm F4L」や、ニコンの「24-85mm F3.5-4.5」あるいは「24-120mm F4」と比べても素晴らしいレンズとの評価をたくさん見かけます。

AF-S 24-85mm f3.5-4.5と比較

キヤノンは門外漢で比較できませんが、ニコンの「AF-S 24-85mm F3.5-4.5」は所有しています。描写だけの部分で比較すると、このシグマのレンズに比べて描写が平坦です。もちろん、レンズとしてのグレードが全然違うので、単純比較するのはナンセンスですが…。

Nikon AF-S 24-85mm f3.5-4.5(1/100 f10)
SIGMA 24-105mm f4(1/125 f14)

ところが、この一つ上のランクに位置する、ナノクリスタルコートの「AF-S 24-120mm F4」についてもあまり評価は芳しくなく、描写では「24-85mm F3.5-5.6」とほぼ差がないといわれているほど。望遠側でつぶしが効くという以上の利点はないと、もっぱら辛い評価を得ているので、その評価を見るに付け購入を躊躇っている人は多いはずです。僕もその一人でした。

値段もそう変わらないか、むしろ純正の方が高いぐらいなので、描写で選ぶなら純正に取って代わるだけの可能性を十分秘めていますね。実際、ニコンユーザーの中には「24-120mm F4」に行かずにこのレンズに行った人はかなり多いと思われます。

ちなみに、ニコンユーザーのみならずキヤノンユーザーにも純正を避けてこちらを選んでいる人が割と多く見受けられます。この使いやすい焦点域のズームレンズでかつ中級以上のモデル自体が少なく、その中でも優秀なレンズであるという評価が下されているのは間違いないようです。

 

まとめ

解像度の高さ、描写の立体感、ボケ味などいずれも素晴らしく、総じてレベルの高いレンズです。折角のフルサイズ機を活かすならこれぐらいのレンズが欲しいというのが正直なところで、今まで使っていたキットレンズの「24-85mm f3.5-4.5」とはやはり別次元の写りで満足しています。

個人的にはこれで標準ズームはもう十分かなという気がしています。この上のf2.8通しはそもそも高すぎますし、望遠側が70mmぐらいまでしかないですからね。

不足、欠点があるとすれば周辺光量の問題ですが、これは撮影スタイルにも依るところなので、自分のスタイルとの相談になるでしょう。上で述べているとおり、Lightroomでの補正ありきで考えるのもひとつの手だと思います。

ちなみに、フィルター径は82mm。この径でC-PLなんかを探すと恐ろしい値段になりそうですが…、プロテクターはこれがおすすめです。

薄型でないと広角時にケラれます。上の周辺光量の写真で言及してるとおりです。

フルサイズ用なので、それ用で使う人が多いと思われますが、APS-Cでも使えますね。焦点距離がおよそ1.5倍なので、中望遠に近い距離になります。ポートレイト系や動物撮りなんかにはより使いやすい焦点距離になりそうです。