今回はギタリストなら誰もが通る往年の名曲、ディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」ライブ版のソロを解析。原曲ではなくライブ版というのが肝なわけですが、ロック史上でも屈指の名盤と言われる「Live in Japan(Made in Japan)」のギターソロであります。
こちらは僕が実際に弾いて解説したもの。
このライブバージョンは凄まじいエネルギーがほとばしっており、くぐもった音質でのっぺりどっしりした原曲とはうって変わって、躍動感と地鳴りのようなリズムが凄い迫力を持っています。ギターソロも原曲の落ち着いた速弾きではなく、勢いのあるものになっていますね。
前半部
原曲に近い落ち着いた入り方をしますが、冒頭の二箇所のヴィブラート(緑色の丸)はアームで掛けているようです。
リッチーお得意のラン奏法について
3小節目に速攻で登場する12fからつながる4連フレーズや、2,3段目、赤い枠の付いた場所は、Burnなどにも見られるリッチーの手癖です。単調なフレーズの繰り返しですが、何せリズム内で強引に詰め込んでいるため、うまく入れ込むのに少々慣れが要ります。
僕のやり方では最初に出てくるのは6回、次が3回、次が4回という風に覚えて、うまく詰め込むようにイメージしています。赤い枠の部分のイメージですね。
中間部
とりあえずチョーキングが多いので腕と指が疲れますが、原曲と違ってわりときっちり一音上げているので、しっかりピッチを合わせた方がいいでしょう。
一段目右端の10fはアームで思いっきりヴィブラートを掛けています。まぁ、このライブでのハイウェイ・スターなどに比べると可愛いもんですが。
下段からは聴き取りやすくキャッチーな音列が登場します。この辺の展開は素晴らしく、この部分が全体を際立たせる役割を果たしてます。ここはなんだかピッチがおかしいのですが、手前のアームでチューニングがやや狂っているんでしょう。しかし、それさえもギリギリの軋んだ感じに繋がってカッコいい。ロックギターの醍醐味がここにあります。
後半部
上段右端の12fのチョーキングを戻すタイミングでピックアップをリアに切り替えます(青色の矢印)。はっきりとわかる切り替え方をしていますが、この切り替えるタイミングは原曲と同じです。この後の展開も原曲に近いので、この辺からはある程度作り込んだものをベースにしていると考えられますね。
13fのポルタメントチョークダウンもお約束。これは動画を撮ったときには少々早く戻しすぎて最後足りなくなってます。原曲のピッキング速度はちょっとずつ遅くなりますが、このバージョンは速くなったりしながら最終的に遅くなるという感じです。
そして最後の部分にもアームダウンが登場。緑の枠内の部分でダウンして、最後の3音の時点で戻っているようです。
まとめ
このライブ版のギターソロは暴れ倒していて再現できないものも多いですが、わりとこれはきっちり出来る方です。原曲よりもカッコいいのでこちらをやりたくなる人は多いでしょう。
ちなみにこのSmoke On The Waterのテイクは大阪公演から取られており、Live in Tokyoが腐るほどある中、Osakaがあまりないのを寂しく感じる地元人間としても嬉しいテイクとなっています。Steve LukatherとLarry Carltonのライブ盤は全編通してLive in Osakaですが、これはかなり稀な例。もっと増えて欲しいですね〜。