最近はディープ・パープルやビリー・ジョエルなど、昔のロックばかりやっていますが、今回は史上最高の女性ロックシンガー、ジャニス・ジョプリンの名曲「Move Over(ジャニスの祈り)」からです。
ブルースを基調にしたこの頃のロックにしてはしっかり作られたソロになっており、構築度合いとソロの完成度ではトップクラス。弾いてて楽しいソロという奴でしょう。ギタリストはジョン・ティル(John Till)。
導入部・ソロの前段階
ピアノのフレーズが印象的なソロに入る2小節前。ギターは全部開放弦でこんなフレーズを弾いてます。コードはDmなんですが、なぜか5弦開放のAを強烈にプッシュしてる謎フレーズ。半拍食ってソロが入ります。
ソロ出だしのフレーズ
出だしは歌のメロディをそのままなぞるように弾いてますが、第一のポイントとして1〜2小節目のxxが連続するところがあります。左手は弦を押さえずにミュートしつつ、右手で弦をなでるようにチョッピングして出しているようですが、アップピッキングで一気に弾き通しつつ、リズムははっきりと出すのがポイント。
このリズムを出すってのが難しいわけなんですが、動画も参考にして、タイミングを操れるように練習してください。この弾き方はそのままはあまり使いませんが、右手でリズムをしっかり出す練習としては良い練習になるはず。
次のポイントは5fが連続する後半。赤字で書いてますが、薬指と人差し指を使い分けることで、同じ5fの連続でありながらスライドダウンが混じったような音列に聞こえさせています。なぜこんなことをしているのか謎ですね。おかげでえらい難しくなってしまってます。
全指を使うプリング
この譜例の頭にあたる10fから7fまでは小指から人差し指までを全部使ってプリングします。ここでの難しさはやはりリズム。速くなりすぎたり、指ごとにスピードがばらついたりなどよくあるミスです。しっかりリズムにいれてこそかっこいいのですが、小指なんかはうまく動かなかったりしますね。右手で一切ピッキングせずに、プリングだけで音を出し続ける練習などやると効果的です。退屈ですが。
ハイライト〜ペンタトニック駆け下がり
ソロの一番目立つ部分がここ。1小節目の助走を付けて、2小節目からはバックのコードもE7#9となり、オルガンが喚き散らし出す絶妙のタイミングでペンタトニックの畳みかけるようなフレーズが登場。まさに完璧。
難しいのは実はその助走に当たる1小節目。赤字で書いていますが、小指を使わずに薬指と中指を駆使して弾き続けるようにします。後半の二拍は15fの連続ピッキングなどが右手的にも結構難しく、きれいに音を出しにくいところ。まあ、原曲もそんなにきれいには出ていないわけなんですが。
2小節目からは練習フレーズのようなマイナーペンタトニックの駆け下がり、4音ひとかたまりで1音ずつずらしながら下がっていきます。ペンタトニックをちゃんと把握してない人はしっかり覚えてからトライしましょう。逆にツェッペリンの曲などでこの手のフレーズに慣れていればたやすく弾けるはずです。
ラストの締め
12fのペンタトニックの位置でチョーキングを交えながらソロの締めにさしかかります。2〜3小節目は意外にも難しく、14fのチョーキングに挟まれた高いところの音がきれいに出しにくいです。特に1弦12f-2弦15fの流れは押さえにくい。
ここが終われば後は緩やかに終了に向かいます。集中力を切らさずに最後のコードまでたどり着きましょう。
まとめ
日頃ばかみたいに難しい曲ばかりやってるので、簡単だろうと思って臨んだんですが、思った以上に難しく、意外にも苦戦してしまいました。あまり歪んでない音なのに粒は揃っているし、この時期のギタリストって、後のハードロックみたいに派手ではないながらも、しれっとうまい人が多いですね。
1970年、ジャニスが急死した年。ビートルズ、S&Gは解散し、ツェッペリンはフォーキーな3rdアルバムをリリース、プログレッシブ・ロックがシーンを席巻しようとしていた時代。もし行けるなら一番行ってみたい時代です。