スティーブ・ヴァイの曲はどれもこれも一般人にはコピーしにくいものばかりですが、今回は超高速シャッフルナンバーの「Juice」をチョイス。全体のノリを出すだけでも大変ですが、中間部には鬼のタッピング有りと、盛りだくさんな一曲です。
量が多いので、全編は動画と付属の譜面を参考にしてもらって、ここでは特に気を付けるべき点などを抜粋しています。
動画
まじで今までで一番苦労しました。1日目に歯が立たず、2日目に気分を変えて今一度。録画に2日かかったのは今まででこれだけです。
譜面は動画を見てると下側に流れますが、完全版pdfを以下に掲載します。参考にどうぞ。
イントロ
Gのパワーコードから全開で飛ばすイントロ。1段目の右端では5fと3fの交互のピッキングハーモニクスが登場。一聴すると、別の音階を弾いているような雰囲気さえするほど綺麗にハーモニクスが鳴っていますが、これは弾きながら、ピッキングハーモニクスを出す位置を少しずつ左側にずらしていくことで近い感じが出せます。
動画でも良く右手を見てもらえれば、少しずつネック側に移動しているのが分かります。
1番A
この曲の顔となるリフっぽいメロディがはじまります。何回も同じものを弾かないといけませんが、ピッキングは記したように規則正しくオルタネイトにしておくことを推奨。ただし、人によっては赤カッコで記したような逆パターンがラクに感じられることも。5f-3fのベースランニングが常に間に挟まってくるため、それと弾き合わせたときにリズムの取りやすい方を選べば良いと思います。この部分は後半になるほどハーモニクスやアームが混ざってきて派手になっていきますが、最初の部分でしっかりとしたリズムが作れていれば、そうそう崩れることはありません。
1番、2番Bメロ
サビと思しき部分。G-D-Aのコードの前でメロディが飛び跳ねるように進みます。2小節目の17f-14fのプリングは気持ち速めに指を離すとスピーディに聞こえます。3小節目の始め、12fの連結は若干だけミュートが掛かっているようです。
この譜面は1番のものですが、2番との差は中段真ん中にある下がっていく音列が少し違うのみ。1番ではこの譜面のように3弦開放のGの音が鳴りっぱなしになりつつ、単音のフレーズで下がっていき、2番ではここがオクターブ奏法のような弾き方で下がっていきますが、G音が鳴りっぱなしになっているのは共通。
ここは全体を通すとかなり簡単な場所です。曲中に同じメロディの所が3回出てきますが、いずれも他の部分よりは簡単に弾くことができます。
2番A
2番のAメロ。1番に比べてオクターブ高くなったり、多彩さが増しています。4〜5小節目の3f-4fのピッキングハーモニクスとチョーキングはうまくやっても原曲のようになりません。ライブでもこの辺りで弾いているので、全く違うわけではないと思いますが、かなりうまく鳴らさないとあのように聞こえない模様。反面、最後の小節の17fのハーモニクスはかなり原曲に近い雰囲気が出ます。
ここからオクターブ高くなります。アイバニーズのギターなら簡単に弾けそうですが、普通のストラトなどでは指が引っかかって、特に19f-21fのスライドは難渋するでしょう。僕のも普通のストラトよりはマシですが、やはり苦労しました。
3小節目の7fへのハイフレットからのスライドは、かなり高いところからスタートしており、1オクターブ近く落ちています。下段の5fからプリング混じりで上がっていく部分は実はアームを掛けながらやっています。僕も動画では余裕がなくてやってないですが、出来そうならやってみてください。ラストのハーモニクスは3fちょうど上ではなく、やや左にずれたところで鳴らします。
ソロ
前半
ソロ部分の冒頭。青四角のところはピッキングではなく、一瞬アームを動かしています。下段の赤四角のところは右手は一回しかピッキングしませんが、チョーキングだけでしっかりと二拍三連を作っているので、原曲を聴きつつリズムをしっかり取るように練習するといいでしょう。直後におんなじフレーズがもう一回出てきます。
こちらがそのフレーズ。2小節目は強烈なピッキングハーモニクスが掛かります。ミックス時にディレイもここだけやや深めにしているようで、印象的なサウンドになっています。
中盤(タッピング部分・その1)
ソロ中盤はやはりこのタッピング。これに入る前のフレーズ(譜面1段目)も妙な跳躍があって弾きにくいですね。
タッピング部分はこのような運指になっているわけですが(青が左手、赤が右手)、右手はともかく、左手が1弦あたりで少し移動しているので、慣れるまでは弾きにくいです。
超絶タッピングの前のフレーズ。赤枠の所が右手のピッキングが非常にきつく、僕は綺麗に3連では弾けないので、実は中指のチキンピッキングを使ってます。
中盤(タッピング部分・その2)
ここが曲中の最難関。黄色線で区切られたパッセージごとに丁寧に練習して繋げるという他ないです。1番きついのは左手タップだけで音を出さねばならないところで、よほど強力な左手を持っていない限り、あんなにきれいに鳴りません。フレーズ自体は覚えにくくはないんですが、特殊な弾き方ゆえにスピードを上げにくく、ノイズ処理が大変という非常にめんどくさい箇所。ピッキングしない以上、ノイズはある程度出ると思うので、目を瞑りましょう。 上の続き。上のと違いフレーズが非常に覚えにくく、速さもめちゃくちゃなので、ゆっくりフレーズを把握して、曲に合わせて弾きつつ強引に収めていくというやり方になります。リズムがかっちりしてない分、「2小節でこれだけのフレーズを押し込む」という手法での練習が必要で、イングヴェイのソロとかの練習方法に近いです。ただ、3小節目は唯一リズムがしっかり見えます。1,2小節目からの流れでめちゃくちゃに聞こえますが、よく聴くと3連と4分で取りやすいリズムになってるので、ここをしっかりリズム通り練習して、1,2小節目をここに繋げていくのが、僕のやったやり方です。後半
ソロ最後の下降フレーズ。肝は2小節目あたまに一瞬入る7f-9fのトリル。数にして3回ぐらいですが、これのせいで難易度がそれなりに上がってます。力を抜いて弾くのがポイントですが、そんなことは言うまでもないでしょう。難しく感じたら1,2小節目を分けて練習するのもあり。最後の1、2弦の開放はアップピッキングで弾きます。3番A
ここまできたら終わりはもうすぐです。この箇所は2,3小節目の3fのチョーキングとピッキングハーモニクス、4、5小節目のアームを使っての効果音など、ちょっと原曲を聴いてもよく分からない部分が多いところです。特に4小節目のアームダウンは3弦開放G音とともにハーモニクス音のようなものが鳴っていますが、鳴らし方は謎のままでした。一瞬弦に触れているんじゃないかとも思うんですが、実音と同時に鳴っているのがわからんところで、ヴァイの曲にはたびたび登場するサウンドだけに、彼のコピーをしっかり仕上げたいなら鳴らし方を会得しておきたいですね…。
下段ではコードをリズムに合わせて決めていき、ハイポジションにあがっていきます。下段2小節目2拍目からコードは「G-D A-G G-D A-G D-A A-G」と推移。G-D A-Gの繰り返しですが、うまくボイシングを工夫して上へ上へ上がって行ってます。すべて覚えると、メジャーコードのフォームには強くなれそうです。
上の続き。オクターブ上で弾くのは2番Aと同じ。途中一瞬スウィープが入ったり、気が抜けません。このスウィープ(3小節目)はコード的にはEmあるいはG6。G6といった方が響き的に近いです。下段はアームも使いながら最後のわちゃわちゃを演出。ここは適当でいいでしょう。ここからサビに入る直前のサウンドっぽい部分はピックスクラッチです。
エンディング
ラストサビを終えるとようやくの終了。ここまで来たら気を付けるのは2小節目のスウィープのみ。17f-17f-16f p 14fという動きはコードと言うよりペンタトニックを思わせます。この動きは実はフランク・ギャンバレの得意技。まさかヴァイがそれを意識しているわけはないですが、難易度はさほどでもないので、ここまで来れた人なら余裕でしょう。
まとめ
ヴァイの曲でもわりと人気があるようで、YouTubeで検索すると「juice lesson」みたいな感じで結構ヒットします。難易度はおいといて、7弦とかではないし、効果音系のサウンドも少ないしで、純粋にコピーしやすいのが理由でしょう。タッピングのところは弾いている人は多いですが、ちゃんと弾けてると思われる人はほぼいませんね。
さて、こういう難しい曲にトライするときは、まず全体を先に通してみることが大事。中間のタッピングが難しいので、普通に進めるとそこで確実にストップしますが、いったん全部をなんとなくでも弾けるようにしてから、難しいところを後でつぶすというやり方がおすすめです。