先日今さらFUJIFILM X-E3を購入した話という記事を書きましたが、セットで発売されたばかりのXC35mmを買いました。こちらもそれなりに使ったので、少しレビューしてみましょう。
光学性能はXF35mmと同じらしい
フジノンレンズはXCが廉価版、XFが上位版という位置づけですが、XC35mmは上位のXF35mmと同じ光学性能をもっているそうです。内部は実質同じ構造ということでしょうかね。描写もほぼ一緒とかんがえていいでしょう。
外装をチープにした分、安く作ることができ、初心者の1本目をターゲットにしたモデルとして改めて発売、という認識で間違いなさそうです。
とにかく軽い
さて、最大の長所ですが、なんと130gというあり得ないほどの軽さを誇ります。パンケーキレンズなどを除けば業界でも屈指の軽さでしょう。X-E3と合わせると優に500gを切ります。
XF35mmが170gなので、40g軽いということです。その40gの分、質感はチープに…
標準域の王様”50mm”
35mmはライカ判で言うところの52.5mmに相当し、ほぼ50mm単焦点と言って差し支えありません。
50mmの単焦点は街撮りのスナップに最適です。人間の視覚に近い写り方をするのだとか…。反面、面白味のない写真になりやすい欠点もあり、50mmを使いこなすことが、写真家の技術を上げるために良い方法だとはよく言われています。
描写について
開放からくっきりはっきり
XF35mm譲りの光学性能は、良くも悪しくも現代的なのか、開放から非常にくっきり写ります。ピントの合っていない部分はなだらかにボケていきますが、ボケ自体は特段美しいわけではなく、可もなく不可もないといった程度。
このカッチリさはよく比較されるXF35mm F1.4などにはないものですが、反面くっきりし過ぎており、じわっとした味わいやしっとり感はあまり得られません。
あくまでよく写るレンズ、といった趣で、優等生の印象を感じます。
無理のない設計
さすがに標準の単焦点なので、隅々まで問題のない写りをします。安物のズームレンズにありがちな、端っこだけ流れまくっているとか、周辺が暗いビネットなどもほぼありません。僕の持っているのは右下の端だけが若干流れる傾向があるようですが、これは個体差によるものかどうかはわかりません。
発色は普通
褪せた感じもなく派手な感じもなく、あくまで普通の色のり。取り立てた個性を感じない辺りが、逆にカメラ本体のフィルムシミュレーションとの好相性につながっているようです。ボケについても下の写真が分かりやすいです。
非常にチープな外装
XCレンズ最大の特徴がこれ。プラスチックで巻いただけという印象が拭えず、非常にチープ。おもちゃのような質感が何とも安っぽさをそそります。雑に扱ったりできますし、これが全体の軽さにつながっているので、まあ悪いばかりではないのですが、XFレンズと並べると、写真でさえその差は明らかです。
絞りリング不在による操作性の悪さ
XCレンズの次の欠点。これは外装の質感以上に短所としか言いようがありません。ボディの前面ダイヤルで絞りはコントロールできるので、絞り値を変えるだけであればさほどの短所にも思えないのですが、問題は絞り優先とシャッター優先を行き来する際の操作性の悪さ。
<絞り優先からシャッター優先へ>
絞り値を一旦最大まで上げて、その向こうにあるオートへ持っていく
↓
ボディ上部のシャッタースピードダイヤルを回す
特に一つ目の動作は面倒で、XFレンズには付いている絞りオートスイッチがないのが原因です。絞りオートにするには絞り値を最大以上に上げるか、ボディの設定項目を呼び出してオート設定をしなければなりません。
僕は絞り優先がメインですが、比較的シャッター優先を使うこともあり、流れる電車を収めようとしたときには本当に辟易しました。
まとめ
初心者をレンズ沼に誘い込む、いわゆる撒き餌レンズ。
個人的には面白味がないレンズだという印象を持ちましたが、開放からくっきり写り、大口径ならではの大きなボケを楽しめ、写りに変なクセが無い、という点でスペック的には十分及第点ですし、実際に初めての単焦点として購入するなら楽しめることは間違いないでしょう。これでニコンやキヤノンと同じく1万台ぐらいであればなあ、と思うのが正直なところですが…。質の良い中古品があるならば、それを狙ってみるのもありかもしれませんね。
また、単焦点レンズにフィルム写真に通じる趣や味わいなどを求めるなら、ちょっと高いですが、XF35mm f1.4を検討する方がいいかもしれません。