ヨーロッパ発ギター工房まとめ・その2

ヨーロッパ発メタル系ギター工房まとめの記事がちょうど一年ぐらい前で、それからさらに色々と調べると、まだまだ出るわ出るわで、その2が余裕で書けるほど調べ尽くしたので、ここに整理したいと思います。ニーズはほぼないでしょう。あくまで個人的な備忘録や記録の類です。ではいってみましょう!

ヨーロッパの小さな小さなギター工房

今回もド変形専門などアクの強すぎるところは除外しています。また前回にあったSkervesenやAristidesみたいな大きいところは今回入っていません。ほとんどが個人工房かそれに類するものばかり。日本からのオーダーも基本的にはメールのやり取りでほぼ受け付けてくれるようです。誰も使っていないものを使いたいという人は検討してみては。

※この記事と前後するころ、日本の楽器店が代理店として名乗りを上げ、2つの工房の日本進出が決定しました。本物を見て弾ける状況なので、かなり身近な存在になりました。

Valenti Guitars(イタリア)

https://www.valentiguitars.com/
いまイタリアの個人工房でもっともホットな存在と思われる工房。中部の田舎町に工房を構え、ギターからピックアップに至るまでを一人で手がけている。オリジナルモデルがメインだが、あまり攻めた仕様のものはなく、いずれもわりとオーソドックス。値段には差があるが、一番安いモデルであれば結構リーズナブルで評価も高い。2022年2月、神田商会が代理店となり、日本に進出が決定。当時オーダー中の僕には驚愕のニュースであった。

2021年12月現在、当工房にオーダー中。できあがり次第ブログでも報告します。
→2022年3月、ついに完成して受け取りました!(Valenti Guitars “Nebula Carved”が届きました)

Liuteria Garage Made(イタリア)

https://www.liuteriagaragemade.it/en/
イタリア中部グッビオという田舎町に工房を構えている。ロックンロールはガレージより始まった!という旨の言葉がウェブサイトのトップに記してあり、かなり多様なモデルがあるもののオールドスクールなシェイプのものを特に得意としている模様。ここもブランドロゴがクールで、アメリカっぽいセンスを感じる。

Ronciswall Guitars(イタリア)

https://www.ronciswallguitars.com
個人工房の多いイタリア勢においても、ウェブサイトがもっとも充実しているのがここ。なんとバーチャルオーダーシステムまである。メインはメタル系でどのモデルもかなり尖っている。シェイプが決まっているセミオーダーや色やハードウェアだけ決められるものなど多様なオーダーを受けており、その分値段も安い。工房は2022年の初め頃に移転し、広くなったようだ。Instagramを中心にSNSの動きはかなり活発。2021年10月、クロサワ楽器を代理店として、日本に進出が決定

Ramos Guitars & Basses(スペイン)

https://ramosguitars.com/
ガウディで有名なバルセロナにある工房。こちらもモデルはオーソドックスなものが多いが、こんなところでもヘッドレス+ファンドフレット仕様のものが並ぶのはさすがにヨーロッパ。個人的にAtlast Cモデルは王道でかつスタイリッシュで好み。値段はやや高く、納期も少し長い。

Bacce Custom Guitars & Basses(スペイン)

https://bacceguitars.com/
首都マドリードに位置する工房。ブティックルームというところを眺めてみるとあらゆるシェイプのものを作っているようで、形状からフルオーダーを受け付けている可能性が高い。その他の情報はあまり見られないが、一件ストック品が売りに出されているのをみると値段はさほど高くない。製作ワークショップなどをやっているようでそっちが結構メインなのかもしれない。ブランドロゴのデザインが秀逸。下の動画では音が抜群に良い。

Wreck Guitars(クロアチア)

https://www.wreckguitars.com
ピラミッド形状の突起を内部に配する、セミホロウの独自モデルのみを手がける異色の工房。動画などで見る限り音はかなり良く、個人的に見た目も好みで、メールで仕様や値段を聞いたことがあるが、値段はさほど高価でなくシンクロナイズドトレモロが搭載不可、およそ4kg(重い!)という返信が来た。米国などでも取り扱う代理店があるらしく、独自シェイプのギター工房の中では勢いがある存在だろう。

Zaletelj Guitars(スロヴェニア)

https://zaleteljguitars.com/
東欧の小国スロヴェニアは旅行で行ったこともあり、個人的に親しみもある国。今回二件も取り上げているが、日本の長野県と同じで、山がちで木材が豊富かつ水が綺麗な気候が工房に向いているのかもしれない。今回取り上げた中では唯一のアーチトップ専門工房。厳密にはテレキャスタイプもあるが、ホロウボディがメインであることは間違いなさそう。工芸品のような美しさで、普通にジャズ系のギターを探してもここまで意匠にこだわったものはあまり見ることがない。

Mithans Guitars(スロヴェニア)

https://mithansguitars.com/
スロヴェニアの北東部Zgorna Kungotaという町にある工房。Googleマップで調べるととてつもない山奥である。モデル名には世界中の都市名を冠し、レスポールやテレキャスなどのトラディショナルなシェイプに面白いトップ木材や塗装を施した派手目のギターがメイン。国内でも色んな雑誌などに取り上げられているようで、クオリティは確かなようだ。Facebookでは日本への発送をほのめかす投稿があった。(人のことは言えないが)やっぱり色んなところにオーダーする人がいるんですね。

Caesar Handmade Guitars(オーストリア)

https://www.caesarhandmadeguitars.at
ウィーンに位置する気鋭の工房。黒系かつ鋭角的シェイプのメタル系がメイン、というかそれしか作っていない印象で、さすがにカエサルの名を冠するだけあってえらく攻撃的である。と思ったら下の動画ではテレキャスを弾いていた。写真や動画で見る限りクオリティはかなりのもの。メタル系メインの個人工房など、日本ではもっとも見ることの少ないものであろう。

まとめ

実際にはまだまだ出てくるのですが、SNSの更新度合いとかを見ると営業が続いてるのか怪しいものもちらほら。上で紹介した工房は多分どこも現役でしょう。まず日本国内を対象にする日本の工房とは違い、ヨーロッパの工房は少なくともヨーロッパ全域、あわよくばアメリカ大陸まで視野に入っているため多様性があるのは当たり前ですが、それにしても色々なところが見つかって面白いですね。