最近ではおなじみとなってきた手法ですが、エレキのアンプシミュレートで使われる”IR”を使ってマイクのシミュレートをします。ちゃんとしたコンデンサーマイクでの録音も一緒に付けて、単純比較してみようというのが主な趣旨です。
古くはFishman Aura Preampなんかがこの手法に近くて、ピエゾピックアップの独特ののっぺり臭を抑えられる魔法のプリアンプとして今でも人気です。
記事:Fishman Matrix InfinityとAura Spectrum DIでライン録音
最近では色んなギターをマイクで拾ったものを再現するIRファイルがあちこちに落ちてますので、ほぼ無料でやってみることができます。必要なのはIRを読み込むプラグインですが、僕はエレキ用のAmplitubeのキャビネット部分を今回使いました。持っていない人はこの辺を使ってみてください。
“Libra”というのがそうで、合計8つのIRを読み込んでミックスできるという高機能プラグインですが、無料の模様です。
ちなみに肝心のIRファイルですが、”acoustic guitar ir”などで検索してみると良いでしょう。世界中に落ちているはずです。
まずはレコーディング
搭載ピックアップは「Fishman Matrix Infinity」、使ったマイクは「Lewitt LCT-440 Pure」。
上がピエゾ、下がマイクです。
ストローク
フィンガーピッキング
思った以上に健闘はしていますが、やはりピエゾ臭さが漂いますね…。
IR適用!
AmplitubeにIRを読み込みます。今回はMartin HD28をノイマンのマイクで録ったもの。これが一番結果が良かったです。
ストローク
フィンガーピッキング
どうですか、この変わりよう!
見事なまでにピエゾ臭さが消えました。バンドのレコーディングとかであればこのまま使えそうです。しかし、上にあるコンデンサーマイクで録音したものと比較すると、これだけ変わってもやはり歴然とした差があります。ソロギターやギター弾き語りではまだ難しいでしょうか。
結論
レコーディングではやはりコンデンサーマイク録音には遠く及ばない印象。ただし、IRを吟味しうまくサウンドメイクすればいいところまで行ける可能性も感じます。マイク録音はちょっとした雑音でも混入してしまう恐れがあるため、それも気にせず弾けるのは気が楽です。
ただしライブでは話は別。ライブでコンデンサーマイクでの集音は現実的に難しいことが多く、ラインでここまでできれば大いに役立ちます。この手法はIRを読み込める多数のマルチエフェクターで同じように使えるため、昨今エレキ用と銘打ちつつアコギ対応のマルチエフェクターが増えていること、またそれらを使用するアコースティックギタリストが増えているのもこれと無縁ではないでしょう。