曲に合わせて、コード進行を書き換えることをリハーモナイズと言います。略して「リハモ」と言うと通りが良いです。自作曲にコード進行を付けていく作業や、コード進行のアレンジとして最終過程でよく行われる作業です。
こちらは、基本編の冒頭でも使ったAmazing GraceのキーCメジャーの楽譜。コードはC,Am,F,G7の4つのみ。これはこれでシンプルで良いのですが、これを少しアレンジしてみようと思います。
リハーモナイズ例
アレンジの例です。音源も付いているので、聴いて響きも確かめてみてください。
だいぶ変わっていますね。詳しい解説はこんな感じになっています。
コードアレンジするために
コードアレンジはやる人の数だけ方法がありますので、決まったルールはないのですが、少しポイントになりそうなところだけ書いてみます。
コード進行をメロディックに
ベース音の上昇下降などは横の流れをスムーズにするためのもの。二段目のC→C/B〜C/Eと行く流れなどは古今東西よく好まれる進行です。中段にあるF〜G#dimまでの部分は半音上昇クリシェ。半音での移動はアクが強いものの、強烈にメロディックです。
今回は出てきませんが、トップノートやあるいはベース音を一定に保つのも効果的です。
方向性を決める
ジャズっぽくしたいのか、ロックにしたいのか、カントリーポップのようにしたいのか…、ある程度きめて臨みます。この譜面では、二段目はフォークロックのような素朴な進行から、D#7の裏コードを経て三段目でフュージョンのようになる印象を目指しています
既存の進行を使う
少し変わったコード進行を見かけたら自分の中にたくわえておきます。無数の楽曲におけるコード進行のたくわえが、自分の引き出しになります。
横の流れを意識して演奏しよう
コード進行をたくわえるために必要なことは、何より演奏の際に横の流れを意識すること。分数コードが出てきた時に、その分数コードが何の意味を持つのか、前後を見渡して自分なりに回答を得ておくことです。世の中には訳の分からない進行も山ほどありますが、大多数は理詰めで説明できるはずですし、習熟するに従って分かるようになったりします。とにかく横の繋がりという面でコードを把握すること。一つ一つを無頓着にばらばらに覚えてもなかなか進歩できません。
リハーモナイズはかっこいい上にできると音楽人として成熟しているような感覚があるので、とりあえず何でもやりたくなってきますが、世の中にはシンプルな方が良い場合がたくさんあるのも事実。上のアメージング・グレイスにしたって、最初に提示したコード4つのものの方が良いと感じる人は多いと思います。どこまでアレンジを施すのか、その見極めもまた大切ですね。
おまけ
Amazing Graceフュージョン風
上でリハーモナイズしたコード進行をベースとして、イントロはキャンディ・ダルファーの演奏で有名なAWBの名曲をオマージュ。そしてソロ後のラストには下のコード進行のような尾ひれを付けて終了させています。
C/E – Eb7
Dm7 – Em7 – Fmaj7
F#m7-5 – G7 – Am7
Abmaj7 – F/G – C