Antelope Zen Goの搭載プリアンプとGAP Pre-73Jr.を比較してみる

Neve系プリアンプの傑作として名高いGolden Age Project(GAP)の「Pre-73Jr」と、こちらも音の良さでは定評のあるAntelope Audio社の「Zen Go Synergy Core」。この度、マイクプリ部について比較実験を行ってみました。

卓上に二つの機材が乗っかっています

Zen GoとPre-73Hrとは

購入後さっそくいじり倒しているAntelope Audioのオーディオインターフェース「Zen Go Synergy Core」ですが、さすがに前評判通り、音の良さは尋常ではないです。10年も使っていたMOTUのUltralite mk3も結構良かったですが、さすがに時代の差もあってZen Goの圧勝。今回比較したマイクプリ部はコンソールグレードのディスクリート設計らしく、公式サイトにはこのように記されています。

ウルトラリニアなコンソールグレードのトランジスタートポロジーにより、最高の忠実度と解像度でのレコーディングが可能となり、あらゆるソースで暖かく音楽的なサウンドを実現します。

で、Neve系のマイクプリとして安価な事から人気を誇るPre-73Jr。こちらもディスクリート回路でNeve特有の分厚さと暖かみを付与しつつ、低ノイズに抑えたクリーンなサウンドが持ち味の逸品。去年、自主制作アルバムのボーカル録りのために導入した機材でございます。

Jrがつくモデルは無印版を小型にして機能を減らしたもの。マイクプリとして歌やギターぐらいを単一で録音する程度ならこちらで十分な気がします。

比較開始

今回はアコギと歌の録音で比較。マイクはLewitt LCT440 Pure。高域がくっきりと録れるマイクです。

LCT 440 PURE

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さすがに毎回録音するので多少演奏内容に差は出てきますが、傾向ぐらいは掴めるんじゃないでしょうか。

Zen Go搭載プリアンプ

ギター
ボーカル
ミックス

ふくよかな低域と高域までしっかり伸びており、さすがのクオリティを感じさせます。良い意味でハイファイであり、フラットな特性を感じるので、どんなソースにでも合うんじゃないでしょうか。特にアコギの美しさは秀逸。

GAP Pre-73Jr

ギター
ボーカル
ミックス

高域と超低域が削られ、真ん中にやや寄った印象。そのためかやや肉厚になった印象をうけます。とはいえ、必要十分な煌びやかさを確保しており、わずかに感じ取れる歪み感がジャキッとしたアコギのストロークに心地よいです。さすがにNeve系の代表選手だけあります。

ちなみにこのプリアンプを通すと、ギターが大変弾きやすくなりました。エレキでゲインアップさせた時のような滑らかさを感じ、出音が流麗になったような感覚です。これこそがアウトボードマジックか。

番外:Zen Goのマイクプリシミュレーター

AntelopeといえばUADと同じく、内部にプロセッサーを持っているというのがウリ。搭載されたNeve系モデリングBAE-1073MPというモデルを試してみました。今回は掛け録りではなく後掛けなので、ソースは上のものと同じです。

ギター
ボーカル
ミックス

わずかに高域が削がれ、ふくよかさが増しています。セッティングによってはもう少し大げさに変えることもできそう。他にも数種類マイクプリがあって、掛け取りに使えるのでかなり重宝しそうです。

まとめ

さすがにどちらも評価が高い機材だけあって、それぞれ良い感じに録音できました。Zen Goはエレキギターも試してみましたが、ハイゲイン系は高名なアンプシミュレーターを凌駕するんじゃないかと思えるほど。マイクプリ系も内蔵シミュレーターがかなり優秀で、基本的にアウトボードを必要としないほどのクオリティに感じます。

それにしてもPre-73Jrを通した時のアコギの弾きやすさにはびっくり。エレキならともかく、アコギが録音機材によって演奏に差が出るというのは意外でした。

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