先日BOSS IR-200を購入して少し使ってみたのでレビューしてみます。下の方に実際に録音したサウンドも置いてあります。間違いなく2022年最後の投稿です!
外観・操作感など
思ったより小さい
最初に開封して思ったのが思ったより小さいということ。楽器店に並んでいるのを見たことはあるし、DD-200などの他の200シリーズと同じ大きさなのですが、改めて手のひらに乗せてみると結構な小ささです。これなら無理なくボードにセッティングできそう。反面、重量はそこそこあり、アダプターも必須なため、運搬にはコンパクト一個分というわけにはいきません。
操作性はぎりぎりPCいらず
マルチエフェクターと違い、単一の機能に特化しているので、つまみの割り当てなどは直感的にわりと理解できます。Cabinetつまみなどは一度押し、長押し、二度押しで別の機能が割り振られており、最初は戸惑いますが、分かってしまえばそこまでややこしくありません。
エントリーモデルのGT-100みたいにPCが無いとエディットが困難ということもなく、ぎりぎり本体だけで直感的に操作できます。元よりPCのエディターがないので、本体でやるしかないんですが。まあタッチパネルのものに比べるとさすがに負けますけどね。
多機能・高い拡張性
ステレオで別のcabを掛ける、センドリターンはステレオ対応、MIDI対応、CTL、EXP対応と、拡張性の高さはガチ。アウトプットもメインであるLINE出力のほか、各アンプのInput、Return端子で選ぶことができ、それに応じた補正を自動で掛けてくれます。BOSSならではのJC-120 Input、JC-120 Returnについては特に有用で、JC大国の日本ではありがたいところ。アンプとキャビ以外にも色々あるので音作りの幅がかなり広く、なかでもNoise SupressorとEQは抜群の使い勝手を誇ります。
とはいえ昨今のマルチでは当たり前のダブルアンプはできません。上に書いてる通りダブルキャビネットなら可能で、ステレオで別々に出す、モノラルでミックスする、の二つから選べます。
練習に最適・求むチューナー
ヘッドフォン出力にはサラウンドを掛けることができ、これを掛けると少し空間が広がる印象です。WAVESのNxみたいに劇的に変わるわけではないので、たいした差はないんですが、疲れにくくなる感じはあります。
で、ヘッドフォンでの練習が捗るだけに、本体にチューナーが欲しかったですね。クリップチューナーを常時付けていないって人は少なくないと思いますし。
サウンド
アンプモデルは少なめ
アンプモデルはギター用が8種類、ベース用が3種類。モデリング元はJC-120に始まり、Fender Twin Reverb、VOX AC30、Fender Bassman、Marshall 1959、Bogner Ubershallなどなど。個人的な印象ではTweed Bassman、Twin ReverbのFender勢、Ubershallはかなり優秀でした。AC30、1959はもう一つかなという感じを受けましたが、実物以上に歪むようにも設定できるので、キャビとゲイン設定の使い方によっては化けるかなという期待感もあります。
ベース用にもきっちり3種類確保されてますが、既存製品からのモデリングはAmpegのみ。しかし、この手の製品でベースにしっかり対応しているもの自体が多くないので、貴重です。
それにしてもさすがにオリジナルだけあってJC-120のモデリングは完璧。まさに”あの音”がヘッドホンから出ます。ちなみにBOSSオリジナルのX-HI GAINもなかなか良くて、モダンでかつシルキーな音色なので、リードギターには特に合います。
キャビネットはめちゃくちゃ多い
まぁIR-200という名の通り、アンプシミュレーター兼”IRローダー”であることを押し出している製品なので、キャビがやたらと充実してます。種類はさほどでもないんですが、いちモデルあたり複数の収録マイク分が含まれているので、ギター用だけで優に100種類、ベース用を含めると150ぐらいあります。
ちなみにオリジナルのCabモデルよりも別途収録されているCelestionのものが遙かに素晴らしいです。正直Celestionのだけで十分なほど。
プリセットは大雑把・玄人向け
先ほど言ったようにCelestionのものはかなり優れていて、これだけでも勝負できそうな仕上がりではあります。サウンドハウスのレビューでは外部IRが無いと始まらん、みたいに書いている方もいらっしゃいますが、このCelestionのセレクションのお陰で個人的にはそこまで不足は感じませんでした。とはいえ、外部IRは128保存できるので、複数のものを準備しておいてじっくり作り込むというのはやはり楽しい使い方かなと。アンプにはクセのないNaturalやJC-120もあるので、充実しまくったEQやリバーブの存在も相まって、アコギのIRを入れておくと両刀使いも可能です。
プリセットは各アンプモデルごとに4種類程度ずつあるのですが非常に大雑把。そのままだと高音がきついものも多く、こういう音が出ますって指針ぐらいにしかなりません。自分で音を作らせる前提の玄人向け製品です。まあマルチエフェクターではなくアンプシミュレーターだけを購入、しかもこの値段となると元より初心者が手を出すとは思えず、このスタンスはある意味潔いのかもしれません。
サウンドレビュー
というわけで一度録音を敢行。本体をUSBでオーディオインターフェースとして繋いでもいいのですが、今回はインターフェースにラインで送り、それを録音というやり方でやっています。
クリーン
非常に美しいクリーン。ディレイなどを掛けるとさらに良い感じになるでしょう。
クランチ
Tweed BassmanモデリングにSuhrのキャビネット、これだけML Sound Labの有料製品を使用
始めはハムバッカー、途中からコイルタップしてますが、どちらもなかなかに良い音です。少しクリアすぎる気もしますが。
リードギター
BOSSオリジナルのX-HI GAINにCelestion Vintage 30
ふくよかさと伸びのある高域を作るのに少し手間取りました。EQ大活躍。オリジナルモデルだけあって、ややBOSSっぽさを感じるサウンドです。
メタル系ハイゲイン
BOGNER UbershallにCelestion Vintage 30
こちらもEQ補正が効いてます。リフメインで行くならもう少し中域を削ってもいいかも。UbershallモデルはゲインステージがデフォルトでMidになってますが、Highにしておくのが良いです。
曲を弾いてみる
ドリーム・シアターのTake The Timeエンディングを演奏。上で使ってるメタル系ハイゲイン(バッキング)、リードギター(ソロ)を使用。ディレイとリバーブだけ軽く掛けてますが、それ以外はほぼそのままです。
まとめ
巷で言われるとおり、strymonのIRIDIUMとの競合ですが、コンパクトエフェクターからの流れとしてのIRIDIUM、マルチエフェクターの一部を取り出したようなIR-200では微妙にコンセプトが違う気はしますね。
サウンドはIRIDIUMの方が一歩上であるという意見もありますが、IR-200はEQ補正などの作り込み幅が広く、さらにベースに対応しています。IRIDIUMはつまみ一つずつが明快で操作性は非常に良好ですが、IR-200はマルチ上がりで多機能なぶん操作が煩雑です。
まあ色々言われていますが、結局決め手はハイゲインサウンドの有無でしょう。僕個人としてはハイゲインが無いという時点でIRIDIUMは候補にも挙がりませんでした。ギタリストは上手な人ほどハードロック出身者が結構多く、こういう人は少なくないと思うんですけどね。