コード進行のすごいビートルズ名曲選・その1

By | 2015年11月3日

ビートルズは近代ロック・ポップスの始祖みたいなところがありますが、あり得ないコード進行にとんでもないメロディが乗っている曲がいくつかあります。それを選んで勝手に解説してみようという、趣味臭が全開の記事です。

ちなみに選曲は個人的趣味によるものなので、「何であれが入ってないんだ」というのは勘弁願います。気が向いたらその2以降も書くことがあるでしょう。

 

I Am The Walrus

コード進行がおかしいと聞いて、真っ先にこれを思い浮かべる人は多いでしょう。それぐらい意味不明進行の有名な、世界中でジョン・レノンしか書けないであろう超個性的な一曲ですね。

イントロ

| B | B A | G F | E
| E7 | D | D7

キーは一応Bで良さそうですが、F→Eを除いて、ダイアトニックのメジャーコードが一音ずつ下がっているという謎進行。半音上げてキーをCにすると C – Bb – Ab – Gb – F – Eb となります。最初の3つは良くある流れですね。この場合の Bb – Ab というのは同主調のキーCmからの借り物とされます。

最後の E – D はともにキーAで登場するコード、Aメロの始めがAであることを考えると、ここでキーがAになっているという予想ができます。実際にこのEの部分でひとつ落ち着いた感じがします。

「Sittin in the English garden~」から始まるBメロはここと同じ進行なので、そちらが先にできて、後にイントロに転用したというのが正しい見方でしょう。

Aメロ

| A A/G | C D | A A/G | C
| D | A
| A A/G | D/F# F G | A A/G | F
| B7 | C | D | E

Aメロはわりとよく見る進行です。キーはAメジャー。AとCとDが登場する進行は、ハードロックなどでも多々見られる進行で、ギターのリフなどでもよく登場します。この曲はアレンジが異様なのであまりエレキギターのリフがイメージしにくいですけどね。

Aメロ後半はC、DではなくFとGが登場しますが、これまたよく出てきます。イントロの項目で説明したように、ここでのFとGはキーAmからの借用とされます。

一番下のB7辺りからキーEに転調しているとも考えられますが、Aにまた戻ったときにサブドミナント感が希薄なので、どう捉えるべきか微妙ですね。

エンディング

| A | G | F | E
| D | C | B7

イントロに続き謎進行です。無調性と捉えるならばいくらでも解釈できますが、あくまでもキーがあるとすると、最初の3つがAメジャー、最後の4つがEメジャーでぐるぐる回っているとも言えます。ただ、どこにも着地してる感じがしないので、それも曖昧か。

この辺のぐるぐる回る感じがこの曲の魅力でしょうね。

 

Good Day Sunshine

ポール作によるポップソング。Revolver収録。ピアノ五台を重ねてレコーディングという意味の分からない無茶をやっています。ウイングス解散後にブロードストリートというアルバムでもう一度レコーディングしていますので、本人もお気に入りなのでしょう。この曲の難解さはコード進行というよりも変拍子と転調にあり。

イントロ〜サビ

| E | E | E | E
|3/4 B |5/4 F# |3/4 B |5/4 F#
|3/4 E |5/4 E7

いちおう変拍子で書いてありますが、サビは4拍目でF#に行ってると考えると4/4でも解釈可能。ですが、どう聞いても変拍子です。コード進行はここに限ればそんなに難解ではありません。キーはこの部分はBメジャー。エンディングでは最後に唐突にFが出てきて半音転調した末にフェードアウトという、他に類を見ない個性的な終わり方をします。

Aメロ

| A F# | B7 | E7 | A
| A F# | B7 | E7 | A

サビが簡単と思ったら、唐突にAメジャーに転調します。サビでIV7の扱いだったE7を軸に無理矢理Aに。メロディどころか、雰囲気が急激に変わりすぎるので、転調した感覚がそれに紛れてしまって、希薄です。コード進行は極めてオーソドックス。

それにしても、この終わりにまたサビに行くので再び転調しますが、強引なお陰でメロディが妙な跳躍をします。歌がむずい…。ポールもレコーディングの前にはけっこう練習したんじゃないでしょうか。

 

I’ll Follow the Sun

ポール作。For Sale収録。16歳の頃の曲と言うから驚きです。理論など全く知らなかった時代だから逆に出来たのかも知れません。

イントロ〜A

| C | F C
| G | F | C | D
| C Em/B | D G | C | F C

二段目からがメロディですが、メロディラインが変わっていて、One Day You’ll lookでレ – ソ – レ# – ラという流れ。レ#はFにおける短7度の音なので、コードはF7と表記すべきでしょう。この部分はメロディが独特な動きをするので、歌えないという人も多いと思います。

キーはGメジャーと思いきや、一番最後の解決のコードはC。出だしのコードのGをG7にしても違和感がないところをみると、そもそも全部Cメジャーで、メロディがV7はじまりと捉える方が正解。BメロがV7はじまりはたまにありますが、Aメロがというのは中々珍しいです。

Bメロ

| Dm | Fm | C | C7
| Dm | Fm | C | Dm

ここは分かりやすいですね。キーは間違いなくCメジャーでしょう。Fmはサブドミナントマイナー。凝っているのは最後がDmであること。Aメロの出だしがG始まりなので、ツーファイブのVの部分に歌の始まりを持ってきていると考えるべきでしょう。ツーファイブと来て、次はImajではなく、IVmaj。いつまでもトニックが現れないので、ずっと安定しません。にくいコード進行です。

 

というわけで、いかがだったでしょうか。個人的な趣味による選曲ですので、ちょっと偏りがありますが、暇があったらその2も作ってみます。

大体の曲はなんとなく説明できるのですが、I am the Walrusだけはちょっとわかりませんね。ジョンは間違いなく勘で作っていると思うので、知りすぎると出来ない典型的な例かもしれません。それにしても、このとんでもない曲にあそこまでの雰囲気を纏わせたジョージ・マーティンの手腕も恐るべきものがあります。


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