コード進行のすごいビートルズ名曲選・その2

By | 2015年12月4日

コード進行の凄いビートルズ名曲集の第2段は、ジョージの曲を一つ入れてみました。ジョンの最高傑作から分析を開始しましょう。

Strawberry Fields Forever

ペニー・レインと抱き合わせでシングルになったジョンの名曲。Bメロは意外にも(?)単純な進行。Aメロは拍子が特殊で、発想が非常に個性的。

<イントロ〜Aメロ>

| E Emaj7/D# | E7/D | F#m/C# E/B |2/4 B A
|4/4 A | | Em |
| F# | |2/4 D |4/4 F#
|3/4 D | A | |

イントロはM→M7→7というお決まりのコード進行。有名なイントロなので、このコード進行の響きを説明する際に、「この曲のイントロのような…」で通じます。オルガンともフルートとも付かぬメロトロンのサウンドが実に良い。

キーはEのように見せかけて、実はジョンの中ではAのようです。突如Aに転調したように見えますが、これはもとに戻っただけという考え方の模様。

3小節目EmはVmですが、比較的よくある進行。3段目のF#はF#7と捉えられるので、VI7。I→Vm→VI7というとそんなに珍しい進行には感じられませんが、キー感がどうにも希薄なのが不思議。その後の3/4も含め、変拍子感があまりないのも不思議。様々な要素が入っているのですが、それっぽい違和感やお決まり感が全くないのは、淡々と流れるようなメロディにサウンド全体が個性的過ぎるためか。

<Bメロ>

| E Emaj7/D# | E7/D | F#m E | D
| D E | A F#m  | D E | D A

イントロと同じ進行のBメロはAに比べると全く普通の感じです。転調もなく、変拍子もなし。アンソロジーを聴くと、この曲はこの部分が最初にあって、Aメロ部分は後にくっついています。こちらが最初にできたのです。

全体的なコード進行を見ると、キーがAなのがよくわかります。

前述のアンソロジーバージョンでは最初にアコギのアルペジオでイントロが付けられていますが、そのイントロでもAコードを弾いていますので、本人がキーAのつもりで作っているというのがそこでわかります。

それにしても、メインボーカルを食う勢いで、弦のフレーズが暴れ回る2,3番は圧巻。ジョージ・マーティンの辣腕ぶりはここでも発揮されています。


ジョン・レノン生涯でも最高の名曲の一つ。万華鏡のような世界を想起させるサウンドは、ビートルズ楽曲の中でも異彩を放つ存在感があります。

キーもテンポも違う、別テイクのものを無理矢理につなげているがゆえに、エレクトリックベースは途中からコントラバスになり、AともBbとも付かぬ中途半端なキーは途中から少しだけ上がっています。それに違和感を感じないのは魔術的なジョンのボーカルと、楽曲の持つ個性的な雰囲気にすべてを覆われているからでしょう。

 

Old Brown Shoe

「ジョンとヨーコのバラード」のB面として発表されたジョージの曲。当時としてはかなり歪んだサウンドのギターに、ブルース調のピアノがからむジョージらしい作品。

<Aメロ>

| C7 | | |
| Dm | | |
| F7 | | Ab |
| F7 | E7 | Am |

キーはCですが、この曲ではトニックは全てメジャーコードではなく、C7と7thコードになっています。3段目のF7はCのブルース的印象を強くさせますが、その前にDmがあるので、ダイアトニック進行っぽさも残っています。

F7後のAbはキーCmからの借り物でしょうが、ブルースというのはメジャーっぽさもマイナーっぽさも併せ持つので、あまり違和感を感じない流れになっています。最後のE7→Amは完全にダイアトニック的なポップス進行です。

C7、F7を基調としたブルースの進行に、ポップス系の進行を混ぜ合わせたような、ゴッタ煮的印象を受ける響きです。

<Bメロ>

| G7 | | | F7
| G7 | | | F7
| D7/F# | | G7 |

5度からスタートするBメロは、かなりブルース色が強いです。G7→F7というブルース後半の進行に、D7/F#が混ざってきた辺りで急にメロディアスになった気がするのは、実ににくい進行。

アレンジではここでギターとベースのユニゾンリフが流れているため、ハードロックっぽいヘヴィさを感じます。この頃のジョージはこのアレンジに随分はまっていたとか。


自分のルーツであるブルース系のコード進行に、和音の使い方が生きた、ジョージの渾身の一曲です。歌詞が半分しゃべっているような感じで非常に早口なので、昔キャバンクラブ大阪で演奏していた際には、歌にかなり苦労させられました。

 

Day Tripper

「We Can Work It Out」と両A面シングルとして発表された曲。ジョン作。このリフは世界でも最も有名なもののひとつ。ジョンが書いてポールが歌っている、作曲者が歌っていない数少ない例でもある。

| E7 | | |
| A7 | | E7 |
| F# | | |
| A | G# | C# | B

出だしの8小節は完全にリフの上に歌が乗っているだけといった感じですが、その割に歌のラインが非常にしっかりしているのは、さすがに稀代のメロディメイカー。このリフを書いたのもジョンらしいので、ブルースと同じく、弦をかえて同じポジションで弾くという分かりやすい発想によるものでしょう。

3段目からが謎な進行にはいっています。急にF#にいったと思ったらなぜかA→G#→C#→Bと行きます。全てがメジャーコードです。G#→C#は一応V7→Imajとも捉えられますが、そこまで考えたか微妙。

ラストのB→E7と戻るところはわりとセオリーに則っているし、間奏の部分がB7一発で、その後またイントロに戻っているところを見ても、B→E7だけは考えていたと予想できます。ゴールをBと決めて、それに合わせて面白い響きの進行を探った、というのが正直なところじゃないでしょうか。メロディもそれに乗せただけというほうがしっくりきます。


ギターとベースのユニゾンアレンジという観点では、この曲はほぼ初代に位置します。そういう意味で後続への影響が強い一曲。この頃のビートルズはサウンドがヘヴィなものが多く、個人的にもかなり好きな時期です。


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