SIGMA DPに見るフォビオンの威力

最近、フジフィルムのX-Pro、ペンタックスのK-5IIsや、ニコンのD7100等々、ローパスフィルターがないセンサーを搭載したモデルが増えてます。ローパスフィルターは、もともと偽色の発生を抑えるため搭載せざるを得なかったんですが、色のにじみや解像度を損なうという副作用がありました。最近それが要らなくなってきたのは、ひとえに技術の進歩なのか…。画素数が増えると必要性は薄れる、というのを何かで読んだことがありますが、そういうことなのかもしれません。

くわしくはこちらを参照のこと。
http://digitalcamera.main.jp/chishiki/filter.html

ところで、ローパスフィルターなしの初代センサーと言えばやはりこれ。

開閉キャップ付け、グリップ増設した、マイDP2。
開閉キャップ付け、グリップ増設した、マイDP2。

 

シグマ製カメラに搭載されたフォビオン(Foveon X3)です。このセンサーはもともと1画素あたりに色情報を3つ載せることが出来る、という話で、構造上ローパスフィルターが要らないのです。発売当初から滅法高い解像度を持つカメラということで登場しました。

一眼レフのSDシリーズ(今はSD1 Merillしかないみたいですが)と、コンパクトタイプのDPシリーズがありますが、SD1はかなりマニアな人しか買わないだろう代物です。DPシリーズは28mm広角レンズの1と、40mm標準レンズの2があります。バージョンナンバーではないです。こいつらはでかめのコンデジというサイズで、一眼レフを凌駕するというトンデモ設計なカメラですが、今回は僕の手持ちのDP2sについて少し紹介しています。

ちなみにDP2sは3年前の古いモデルで、現在のDP2 Merillにくらべて明らかに落ちるところが多々あると思いますが、それでもこれほどの画質。今のMerillはこれの延長にあると思って差し支えないと思います。

 

夜景・大阪
SDIM0046
チェスキークルムロフ夜景その2

まず、なんといってもこの解像力。とても1400万画素とは思えません。

 

SDIM0855
DSC_0245

こちらは、上がDP2s、下がNikon D90&キットレンズ。いくら良く写るといってもズームのキットレンズと単焦点レンズ内蔵のカメラなので差は確実に出ますが、それにしてもかなりの差を感じます。家に帰って取り込んでモニターで見たときには予想以上の差に少し驚いたほど。

 

つぎに色ですが…、僕のDP2sはかなりじゃじゃ馬です。空の色と葉の色を見てもらえると顕著ですが、けっこうシアンがかっています。オートホワイトバランスが暴れてる印象ですが、どの写真もシアンがかることが多いので、このシリーズの特徴かも。この辺は2世代を経た後のMerillでは改善されているんじゃないかと思います。

神戸コンチェルト

葉
↑葉っぱが青っぽい?

 

こちら補正後。シアンを削りました。上と比べると、こっちのほうが自然かなと…。
SDIM0048補正

 

フォビオンを使う人はわりと皆言われますが、色が淡いです。低彩度、でありながらわりとコントラストは高いので、けっこう独特の色合いが出ます。

京都路地

フィルムっぽいといえばそうかもしれません。ここは好みが分かれるところで、嫌いな人は嫌いでしょうし、最近のデジカメのこってりに飽きてる人なら好きでしょう。僕はわりと好きな方で、これもこのカメラを手放さず愛用している理由の1つです。

さて、このカメラ、画質だけで言うと以上のように、結構特徴ある写りをするものですが、解像度の高さ(DP Merillはなんと4.6メガピクセル!)、独特の淡い色合い、あたりが好みになる人は満足しきれるものになると思います。一眼レフに比べて遙かに小さいので、かるく散歩に持って行ける、というのもでかいですし、僕の場合はゴリラポッドと一緒に持ち歩くことで、超軽快に一眼レフ並みの夜景撮影を楽しんでます。

ゴリラポッドとの組み合わせで、夜景を非常に美しく切り取れます。
軽量&自由なゴリラポッドとの組み合わせで、夜景を非常に美しく切り取れます。

 

さてさて、こんな感じで、画質だけを見れば個性的で凄い写りをするんですが…、その分欠点も多数抱えています。

・操作性が悪い
・AFが遅い
・液晶が汚い
・高感度に非常に弱い
・ワンシャッター辺りの書き込み時間が異常に長い
・バッテリーが保たない

等々…現代のカメラとしては、ユーザビリティが極端に低いです。最新型のDP Merillを先日ヨドバシ梅田で触ってきましたが、操作性とAF、そして液晶は相当改善されています。書き込み時間も少なくとも僕は不満に感じるほどではなかったです。高感度とバッテリーは価格コムのレビューを信じるなら、大本は改善されていないようですね。高感度はSD1もダメらしいし、フォビオンの弱点なのかもしれません。

そんなじゃじゃ馬カメラですが、それらの欠点を補ってあまりある画質に満足できるかどうか、全てはそこにかかっていますね。唯一無二の絵を吐き出すカメラである、というのは確かだと思います。先日、しまうまプリントでフォトブックをつくりましたが、やっぱりこいつで撮った画は一目でわかるほどの個性がありました。

 

こちら最新機種のDP Merill。先日DP3も発表されました。

 

こちらは、旧機種のDP1x。中古があるので、狙い目かもしれません。

 

ゴリラポッド。これとDPの組み合わせでの夜景撮影は無敵。記念写真にも使えるし、ひとつあると重宝します。