ビートルズ「Martha My Dear(マーサ・マイ・ディア)」をギターで弾いてみる

個人的に「Here,There & Everywhere」「Warm & Beautiful」と並んで、ポール・マッカートニーの最高傑作だと思っているこの曲。ホワイトアルバム後半の目立たない位置に収められた一曲です。何でもポール自身はピアノの難しい曲をわざわざ書いたと言うことですが、歌詞の題材は愛犬の名前。曲自体は才気ほとばしる、凡人には絶対書けない超個性が光ります。

コード進行も相当にぶっ飛んでいるのですが、今回はそれは後回しにして、印象的なピアノのフレーズをギターで弾いてみる、という困難に挑戦しました。

なんと言ってもこの転調しまくりのイントロ部分。ピアノは左手がオクターブをひたすら繰り返し、上に独特のメロディが乗ります。これをギターに置き換えてみると、これがかなり難しい。

なんとか1カポを付けてDコード基軸に展開させることで、原曲キーのままいけました。ちなみに下の譜面のコードネームはカポを付けての表記。原曲キーはEb始まりです。

martha my dear

跳ね回るベースラインに対処するため、一部を除いて、右手親指は3弦までを担当しています。スリーフィンガー奏法と同じ感じですね。

 

弾き方解説・前半

martha my dear1
martha my dear2

1段目の出だしはハイコードDの下半分を押さえた形から。僕は後述の理由によって 人-小-薬 で押さえます。人-薬-中 でもありです。

あえて小指を使う理由ですが、コードが変化する部分(赤い丸で囲っているところ)で、2弦7fの音を保っておきたいから。この部分、4fを人差し指セーハするのは必須なので、小指で押さえておくと比較的音を保ちやすいです。薬指にすると、指を相当広げないと厳しくなります。

1段目最後から2段目に掛けてが、この曲の最大の難所。1段目ラストの四角で囲っている所(F#m/E)は、1弦4f、4弦2fを同じタイミングで押さえてます。2fだけあらかじめ押さえておくというのも試しましたが、余計に難しくなりました。

2段目の頭(コードB)はオープンコードのGと同じ形なので、それを考えておくと押さえやすいです。それが終わるとすぐに中指を1弦5fに持ってきて、5弦4f→6fの移動は人→薬指。ここはもの凄いフォームの転換が必要ですが、曲はたやすく流れているので、必死感が出ないように弾かねばなりません。ギターでは最大の難関。

2段目2小節目(コードE)の場所は上段メロディが一度動きを止めます。このソ#の音は1小節の間、伸ばしておかないといけないので、これを押さえながら音が消えないように下の上昇ベースラインを弾きます。これまたなかなか。

 

弾き方解説・後半

martha my dear3

後半は前半に比べるとかなりかんたん。

Gadd9は6弦を親指で。赤の四角で囲っている部分は6弦3f(中指)→2弦3f(薬指)→1弦2f(人差し指)という風に、出てきた順番に押さえるようにしていくと、見た感じよりはかんたんです。

このイントロ部分が終わると、あとはコードを弾いているだけ。コードの変わり目も中々変なところで変わることがあるので、一筋縄ではいきません。動画でやってるように、原曲通り「ルート-5度」とベースが交互に打つと、良い感じになりますね。

 

という風に、前半を練習してクリアすると後半はわりと雰囲気で行けるので、前半がやはり主な練習ポイントになりそう。ベースラインがもの凄い動きをするのですが、まさにベーシストの面目躍如。1段目から2段目に掛けてのベースの動きなどどうやって考えたのか謎です。

ピアノの音域の広さを見事に使っている曲でもあるので、ギターで弾く際にはどこかでオクターブ折り返さねばなりません。今回のアレンジでは B-B/D#の辺りだけオクターブ上げて対処しています。

コード進行も面白いので、そっちにも焦点を当てたいんですが、それはまたそのうちに。