Paul McCartney「My Love」のコード進行を科学する

By | 2017年6月21日

ポール・マッカートニー&ウイングス名義でリリースされた初期のヒット曲。かつての愛妻であるリンダに向けて作られたバラードで、アルバムでは「Red Rose Speedway」の2曲目に位置し「Big Barn Bed」というオープニングの妙な曲が終わると(笑)、歌とともに鮮やかに始まります。

欧米では大変人気のある曲のようで、彼の曲ではイエスタデイに次ぐカバー数を誇るとかなんとか。日本ではすっかり懐メロ的な扱いなのが残念です。

 

Aメロ

Aメロ


出だしはIVmaj7から。イントロがなく歌からのスタートというのもあって、劇的な幕開けを感じさせますが、Imaj始まりでないのも関係しているでしょう。

進行的には2段目真ん中がひとつのポイント。ベースが上昇する Am7 – Bbmaj7 – Bm7-5 は非常にメロディアスに聞こえますね。歌はBm7-5でもっとも高い音域に迫りますが、最高音がm7-5時に登場というのも珍しいパターンですし、m7-5で放り投げるこんなコード進行自体あまり耳にしたことがありません。何かの代理でもなさそうですが、少しも違和感がないのはさすが。

ちなみに11小節という妙な小節数。前のLondon Townの時にも書きましたが、なぜこれでスムーズに聞こえるのか謎です。ポールの曲はYesterdayを皮切りにこの手のが多いです。

 

Bメロ

Bメロ


出だしのGm7からC/Eの流れには、次のFに向かって鮮やかなベースの動きがあります。Cは働き的にはC7なので、単なるIIm7-V7進行なんですが、ベースの動きを絡めてC/Eとオンコードにしているところはメロディックさを助長していて、さすがのアレンジですね。

3小節目のC7(9)はメロディが9thの音に掛かるので、(9)というコードネームにしています。

 

ソロギターで弾いてみる

手持ちの機材でのライン録音の実験を兼ねて、ソロギターでの演奏を録画。

アレンジは岡崎倫典氏のアレンジ本から拝借。以下の本に収録されています。

キーがGになっており、原曲より一音上げ。まぁ見事なアレンジです。キーがGってことで、メロディにハーモニクスを絡めたりもしてますし、印象的な間奏のギターソロを入れ込んだり、なかなか出来そうで出来ませんよ。上の動画のコメントにも、どこかの国の人から「Excellent arrangement」と書かれているものを発見できます。

 

まとめ

美しいバラードですが、「Let It Be」などとは違い、この曲ならではのコード進行が付いており、イエスタデイタイプとも言えるものです。とはいえ、この頃から増えてきたプログレみたいな独特の進行でもなく、あくまで曲の美しさが前面に出た嫌味の無いコード付けがなされています。この辺りが時代を超えて支持される理由でしょう。

アレンジについては、この後に流行り出すフュージョンやAORの雰囲気を先取りしたようなおしゃれさが感じられますが、これはエレピの多用によるものでしょう。

上のソロギターアレンジでも原曲のギターソロをそのまま入れ込んでますが、原曲のソロはこれ以上ないほどハマっています。昨今のライブでもほぼ変えずに同じ物を弾いてるので、「Maybe I’m Amazed」なんかと同じく、ソロと言うより曲の一部といった扱いなんでしょうね。


2 thoughts on “Paul McCartney「My Love」のコード進行を科学する

  1. Aki

    お久しぶりのコード進行科学。
    ポールの名バラード、自分でコピーしたことはなかったのですが、
    やはり普通のバラードではなかったのですか、11小節だとは。
    メロディーが美しくて余りに自然なので、ごく普通のコード進行を想像するの全然そうでない。
    やはり天才メロディメーカーですね。
    ソロギターのアレンジも、Gにして、冒頭セーハーから開放弦にいくところなど、
    とても素敵だなあと思いました。

  2. まーかー Post author

    ポールの曲は割り切れない小節数の曲がずいぶん多い印象です。
    なんだか規則的に4の倍数で曲を作ってる自分がアホらしくなってきますね(笑)
    コード進行も、スマートながらもセンス溢れてます。

    この人のアレンジはやはり凄いです。
    ギターを知り尽くしたような動きをする箇所が多々あるので、勉強にもなりますが、
    そのぶん難しいです。

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