さて、ユングフラウヨッホへの玄関口、東がグリンデルワルト、西がラウターブルンネン。今回はラウターブルンネンから向かうことに決め、その玄関口までまさにたどり着いたのが前回の記事。
ラウターブルンネンはシュタウプバッハの滝というのが有名ですが、下の写真からはその大きさがなんとなく分かると思います。
もともと観光シーズンは賑わう街なのでしょうが、今回はピークから外れていたためか閑散としてました。おかげでじっくり回ることができます。
さてさて、ある程度堪能したところで少し早めの夕食を摂ります。ホテル兼レストランみたいなところが結構あるのですが、その中の1つに入り、ピザとお奨めのチーズフォンデュを注文。どちらもそう高くないのに非常に美味。しかしフォンデュは量が多い上にチーズが濃く、日本人にはなかなか全てをさばくのは難しかったです。
山岳鉄道でヴェンゲンへ
その後、ヴェンゲンアルプ鉄道というのに乗り、ラウターブルンネンからヴェンゲンへと上がっていきます。この鉄道がいよいよスイス山岳地をモロに思わせる急斜面を走る絶景路線で、否応なしに気分が高まっていきます。さっきまであんなに巨大だった滝があっという間に小さくなっていくのには感動すら覚えました。
15分ほど登ったところでヴェンゲンに到着。冬はスキー客、夏は観光客で賑わうこの街も、4月には閉まっているホテルも多く、静かな雰囲気でした。自動車が入れないこの場所はまさに山の大自然を満喫するに相応しく、降り立ったところで空気が張り詰めているのが実感出来ます。
駅前にはわりと大きめのコープがあり、ユングフラウ観光の拠点とするにも十分な場所だと思います。
ラウターブルンネンからは、迫っている山が崖のようにも見えますが、その山の上にある街がヴェンゲン。人口は数百人。ついさっきまで居たラウターブルンネンは視界に一望で収められます。
宿に荷物を置いて、日没までまだ時間があったので、周辺を散策しましたが、どうもガイドブックとかには書いていない線路の反対側のエリア、COOPがある側の向かい側が散策としては面白かったですね。
ちなみに、駅の表示には標高1274mと表記されてます。まだ空気の薄さなどはそう感じません。気温も極端に低くはなかったです。
夜、日没後にこっそり教会前のベンチまで撮影に。25秒もの長時間露光で少ない光を無理矢理撮影すると、星まで撮れました。
クライネシャデックを経てユングフラウヨッホへ
宿で一泊ののち、旅行のハイライト、ユングフラウヨッホへ向かいます。混むので午前中が良いという事前情報に従って、朝イチで駅に向かいチケットを購入。もともと超高いチケットですが、スイスパスで少し割引が受けられます。そのまま来た電車に乗ってクライネシャイデック駅へ。この電車は朝一番だというのにすでに混んでました。
クライネシャイデックはグリンデルワルト側から来た電車と合流する駅でもあり、ここでユングフラウ鉄道に乗り換えます。
ユングフラウ鉄道は世界最高の土地を走る鉄道の一つですが、外はトンネルが多く、車窓からの眺めはいいとは言えません。その分各国語で流されるユングフラウについての車内放送が充実しています。
ここではタイから来たご家族と一緒になり、片言の日本語でしゃべっていました。日本へは仕事でよく行くとの話や、娘さんが横浜へ留学しているという話を聞くと、タイではやり手の経営者のようでした。
途中景色を見るためとトイレ休憩の目的でひとつ停車する以外は、そのまま頂上まで行きます。駅に到着すると大量の客がわらわらと降りていきます。
「Top of Europe」はヨーロッパ最高峰に位置する駅、という意味合いが込められていますが、これがこの場所のキャッチコピーになっており、このキャッチは至る所で見かけます。
ユングフラウヨッホ駅から内部へ
ユングフラウヨッホは山をくりぬいたアミューズメントのようになっており、スフィンクス展望台では高度がもっとも高い場所に外に出ることが出来、アイスパレスでは氷で出来た通路を歩き、プラトー展望台ではそのまま地面を踏みしめることができます。
総合待合所みたいになってる場所にまず踏み入れますが、見渡す限り中国人がわらわらといました。韓国産のカップ麺が高価な値段で売りに出されており、皆それを食べています。ガラスからは見渡す限りの雪山が見えます。
最初のハイライトがスフィンクス展望台なわけですが、ここの時点で高度が相当なことになっているため、ところどころ気分を悪くしている人を見かけます。走ったりしないことが重要。
スフィンクス展望台はしっかりとしたコンクリートの足場が作られ、風も吹きにくい場所なのか、強風といっても知れていました。なので、最高峰とはいえ、過酷さはあまり感じません。天気が良ければ遙か彼方まで見えるわけですが、上の写真みたいにかすんでしまっていると水平線のように見えます。この逆側には世界遺産でもあるアレッチ氷河が広がります。
その後アイスパレスを経て、プラトー展望台へ。途中には気温、風速の表示が。こちらがとんでもない場所で、扉を開けてひとたび出るとあり得ないほどの強風が吹きすさんでいます。しかも下は凍った土。ロープで囲われてはいますが、ロープをすり抜けて落ちると命はありません。
この日の風速がたまたまとんでもなかっただけなのかもしれませんが、なんせこの強風と寒さが強烈に印象に残る場所となりました。写真を撮る指も3枚目ぐらいからかじかんで動かなくなり、このままここにいたらやばい、と感じてすぐに戻ったわけですが、このあと一気に疲れが出てきて、麓に降りるまで死んだようになっていたのを覚えてます。
というわけで、ユングフラウは最後で一気にやられたんですが、なにせスイスの象徴的観光地なので、一度は行く価値があります。プラトーは本気で気をつけた方が良いですが、スフィンクスからの眺めはやはり一見に値します。
ロープウェイでミューレンへ
その後、一度麓のラウターブルンネンまで降り、腹ごしらえをしてから、ロープウェイでヴェンゲンとは反対側の山に登ります。ミューレンという村までいくためです。
ロープウェイはかなりの勾配を一気に登り、街がみるみる小さくなります。ロープウェイの終点がグリュッチアルプという駅で、ここで鉄道に乗り換えます。
この鉄道からの眺めがもう一つ圧巻。向かいを走るヴェンゲンアルプ鉄道のもうひとつ上を行きます。
ミューレンはハイキングの基点ともなっている小さな村。ヴェンゲンと同じく車は入れないようになっており、崖のうえに作られた村だというのが歩いているとよくわかります。
これまたオフシーズンだったため、人影はかなりまばら。雪もかなり残り、秘境のようなたたずまい。反面ケーブルカーは運休がかなり多かったです。ツーリストインフォはやってましたので、地図だけを頂いて散策へと繰り出します。
木組みの山小屋のような家並みがところどころに建っており、その合間を道が通してあります。少し行くと崖が登場します。崖の向こう側にはさらなる絶壁が立ちはだかり、もはや圧巻というしかない超光景。崖の下を見るとはるか彼方に小さな村が見えます。どこにでも人が住んでるもんだ。
人口はこれまた数百人の小さな村ですが、観光客、スキー客用のホテルのたぐいはそれなりの数があります。
ミューレンは今まで見たどの場所よりものんびりしており、もっとも想像を超える風景に出会えた場所となりました。数時間の散歩でしたが、もっともスイスの素晴らしいところを感じられた時間だったと思います。