EXTREME「He-man Woman Hater」の弾き方を解析する

エクストリームのPornograffitti、このアルバムは高校の頃に大好きで必死でコピーした一枚です。久しぶりにふと弾きたくなったもんで、半音下げのギターを用意して全部思い出しながら弾いてたんですが、相変わらず難しいです。

改めてじっくり聴いて研究すると、ヌーノ・ベッテンコートのリズム感はエディーに匹敵すると思います。天性の物を思わせますね。

さてさて、この曲は難曲だらけのEXTREMEの中においても、一、二を争う難しさを誇るナンバーです。あの有名なイントロに始まり、ウルトラ技のオンパレードなソロに、凝りまくったリフと、気の抜ける場所がありません。

こちらは僕が弾いた動画。イントロはディレイを使わず弾いてます。ソロ最後のタッピングが間違えて1回多いですが…、撮り直す気力がなく、そのままにしてあります。

 

イントロについて

動画を撮る際にイントロをどうしようか悩みましたが、ディレイでコピーしてる人は腐るほどいるので、怒濤のフルピッキングでがんばってみました。まあちゃんと弾けてないんですけどね。昔のシンコーのバンドスコアにはここがこのまんまの音符で掲載されており、さらに「ドゥウィージル・ザッパが弾いているらしい、とんでもないテクニックだ」なんて嘘っぱちを堂々と書いています。

こんなに綺麗に弾けるわけないっちゅうの。

高校生だった僕はそれを真に受けて必死で練習したことがあるので、おかげで今でも運指は全部覚えているわけですよ。今回の動画はそれを思い出して練習し直してみたわけです。

いまや付点8分ディレイで弾かれていることはほとんどのヌーノファンが知っているし、その譜面もどこにでも落ちているので、ここでは割愛します。

ちなみに、ドゥィージルが弾いてるのはイントロリフの上でタッピングしまくっているフレーズの方。僕はコピーしてません。

 

リフ

リフ・この曲の顔
リフ・この曲の顔

この曲のリフは細かい音符の入り乱れた独特のもの。

3f-4f-0fを含む6連の部分はレガートみたいですね。僕の持っていたかなり昔のヤングギター(確か97年ぐらいのもの)にはフルピッキングと書いてあって、それを信じてバカ正直に全部ピッキングしてたんですが、そうするとあんな軽やかさは出ません。右手のミュートを完璧に掛けて力強くハンマリングとプリングを繰り返すのが近い雰囲気を出すコツ。ヌーノの指使いは3fが中指、4fが小指のようです。

 

ソロ

ソロの全体譜面はこちら。
heman01
heman02

前半

タッピングまで
タッピングまで

ソロに入る前に突如Eメジャーに転調して始まるこのソロ。スケールは基本的にはEマイナー・ペンタトニックです。16分音符と言えどテンポが遅いので、速さはさほどではありません。逆に走ってしまわないように注意。

難関は最後の段のストレッチフレーズ。次に控えるタッピングの部分より難しいです。レガートは人差し指が意外に弱くなりがちなので、人差し指の音をちゃんとハンマリングすると近い感じに聞こえます。符割り上は9連符ですが、弦3本をワンセット、それを一拍に無理矢理はめこむように弾くとリズムが合います。

問題はここからタッピングに行く境目の部分。この後タッピングで急にフォームが変わるので、その移動を行わねばならず、最後の一拍ぐらいはほとんど綺麗に鳴りません。ライブを見るとヌーノも結構適当。原盤では継ぎ目が感じられないので、レコーディングではちゃんと弾いてると思うんですが。

 

後半

tapping1
tapping2

ソロのハイライトがここ。まぁよくぞ思いついたという感じですが、からくりはメジャーコードをタッピングで速弾きしてるだけです。

ポジション。赤丸が右手tap
ポジション。赤丸が右手tap

このポジションを慣れるまで弾いてると、感じが掴めてきます。左手の中指が先行して音を出す箇所があるので、その部分をしっかりチェックするのと、プリングの部分をちゃんと音を出すように心がけて、ゆっくり練習するのがポイント。一度覚えたら速さを上げるのは簡単です。嘘じゃなく、本当に簡単です。

「Get the Funk Out」にも同じフレーズがありますが、どうもこのアルバム以外では登場しないので、意識して同じフレーズを使ったんでしょうね。

アレンジ上はバックがずっとEのリフを弾いてる上でフレーズのコード感だけが変わっていくので、ずっと “●onE” の響きになります。ヌーノの楽曲アレンジの妙。

 

おわりに

ソロだけならがんばれば弾けるレベルですが、この曲の真の難しさはあの独特のうねるようなリズムが出せるかという所に尽きます。何度も登場するリフはその際の最大の難関。

ギターソロはアドリブはほぼなくて全部構築されてますが、展開は明らかにソロ用に別で用意されたもの。ヌーノの楽曲構築のセンスがよく出ていると思いますね。この次の3rdアルバムではそれを完全に突き詰めた形まで行きますが、その後の4th〜ソロ活動ではそれを敢えて崩すような形を取ってます。

EXTREMEの4枚だけを見ても、その型のバリエーションと完成度は見事というしかなく、この人は雰囲気こそ違えどSteve Vaiに匹敵する才能を持っているんじゃないでしょうか。

ちなみに完全な譜面は下のヤングギターも参考にしてます。97年ごろのいい加減な譜面と違ってこちらはかなり正確。