解析シリーズも随分いろいろやってきてますが、いよいよドリーム・シアターの大曲の登場です。この曲は「Take the Time」や「Pull Me Under」と一緒に、学生時代にコピーバンドでやったことがありますが、とりあえず苦労しましたね。変拍子にユニゾンの応酬で大変でした。
さてさて、こちらが実際に弾いてみた動画。
曲が長いので、間違えても撮り直そうという気があまり起きないんですよね。ところどころミスってますが、まあ許容範囲でしょう。
解析ですが、今回は長いので駆け足でいきますよ〜。
メインリフ
強烈なオープニングの最後に登場するリフ。歌がはじまる直前の部分です。地味に最後に6連符が入ってるのがいやらしい。普通に聴いてても気付きにくいですが、ベースとユニゾンしてますので、やらないとベーシストになんか言われそうです。
リフ間の6連符
上記のリフの間に登場する細かい音。どこをピッキングしててどこがレガートなのかわかりにくいですが、動画ではほぼ全部ピッキングしてみました。16分音符の間に突如入ってくるのでリズムが取りにくいです。退屈ですが、メトロノーム練習がおすすめ。
インストパートのメインリフ
長いインストパートはこのフレーズから。6,5弦はミュートしておくと良いです。16分音符の混ざり方がポイント。これがあの気持ち悪いスピード感に一役買っています。ハモりだしてからはこんなフレーズを弾いています。なんともとらえどころのない運指です。ここはシンセとの音色の兼ね合いも考えると、ピックアップをフロントにしておいた方が良いでしょうね。まぁ、バンドでこれをコピーする人はあまりいないと思いますが。
6連ユニゾン
Bマイナー・スケールで上がったり下がったりするキーボードとのユニゾン部。ピッキングは完全オルタネイトに決まってますが、なにぶん速さが尋常じゃないので、運指を覚えたらひたすら反復練習するしかありません。
難しい箇所は2段目の途中から始まる、一挙に駆け下りてくる部分と、最後に登場するもの凄く弾きにくい低音弦のハイポジション。
駆け下りてくる部分については1弦15fからの音列を繰り返し練習するしかないです。この部分は6弦12fをルートとするとドリアン・スケールに当たるので、それを意識して練習するとスケールも覚えられて一石二鳥。
最後の、6弦17f-19f-21fのあたりは、ギターをかなり上に構えるか、相当の指の長さがないときついです。前者が現実的なので、ジョン・ペトルーシ本人がライブでやってるように、足置きを用意して弾くのも一手。あまりかっこよくないですけどね…。ちなみに、Ibanezの極薄ネックなんかだと随分ラクです。
この部分、実際にカラオケに合わせてみると、後ろでシンセが鳴ってる分、一人で練習しているより弾きやすかったりします。
ギターとキーボードのハモリソロ
ベースのタッピングソロが終わると登場するフレーズ。
出だしの高速ユニゾンは小節頭を合わせるように音を詰め込みます。全部ピッキングするように書いてますが、別にレガートを含めてもいいんじゃないでしょうか。
4段目の辺りでドラムが妙な動きをするので、拍を見失いがちです。リズムをしっかり取りながら弾くのが理想的ですが、どうしても取れない場合はフレーズを丸暗記しましょう。僕もたしか昔にバンドでやった際には丸暗記してた気がします。
5〜6段目のフルピッキングフレーズも、バンド全体でアクセントがくる3弦の高い音を目印にして、他の音はそのあいだに詰め込んでいくように弾きます。3弦の音をアップ、5弦の速い部分をダウンから始めて、3,5弦でのアウトサイドピッキングにします。ていうか、ここはインサイドで弾くのは無理でしょう。
最後の段の1小節目、4fに上からスライドしてくる部分がありますが、ここは薬指でやってるようです。僕は直前の 1弦6f-2弦7f-3弦6f を 中-薬-中 でやってるので、そのまま中指を4fまで滑らせていますが、実際には少し違う模様。薬指に変えると急に難しくなるし、よほどこだわりがなければどっちでもいいでしょう。
それにしても、ここのフレーズには随所にスティーヴ・モーズっぽさが感じられます。モーズの影響が色濃いジョン・ペトルーシが作ったフレーズなのか、バンド全体でDixie Dregsに影響を受けた結果なのか。
×印フレーズ
この譜面の最初のフレーズは、至る所で聞こえるユニゾン。ベースは実はタッピングして弾いてますが、ギターはこんな感じ。3小節目からのフレーズは僕の動画では別ポジションですが、こちらの譜面が正しいようです。
×印とは3段目からのフレーズのこと。昔、ヤングギターで、このフレーズをそのまま練習材料として使っているジョン・ペトルーシの記事を読んだことがあります。練習に使っているフレーズをそのまま曲中で使ったのか、曲中で使ったフレーズを練習として利用したのか、どっちが先なんでしょうかね。
右手はオルタネイト(スウィープではない)、左手も厄介な動きをします。この速さで16分音符は実際に弾くと大変。いい加減になってしまわないように、ゆっくりしっかり弾いていくのがおすすめです。件の記事を読んで以来、僕もしばしば練習に使わせてもらっていました。
インストパートを締めるユニゾン
最後を締める圧巻のユニゾン。ここに関しては気合いで覚えるしかありません。速さはさほどでもないし技術的に極端に難しいところはないので、とりあえずいい加減にでも一旦まとめて覚えてしまい、弾きながら出てこないフレーズだけをあとで綿密に覚え直すという方法が一番近道か。量は多いので、丁寧にやりすぎると途中で嫌になる可能性大。ライブではかなり右手のミュートを掛けていますが、スタジオ版ではそこまでではないです。とはいえ、5,6弦にはほぼ確実に掛けているようなので、右手は基本ミュートしながら弾くことになります。4段目の12/8からオクターブ上がりますが、ここからはノンミュートっぽいですね。
途中でキーボードとギターがハモリ出します。この部分はライブ版でスライドの入る位置などを聴くに、下のような場所でポジションチェンジしてるんじゃないかと思いますが…
「At the Marquee」を聴くと、赤線のところで同フレット・ポジション移動をしているような音のつながりになっています。
が、これはこれで不自然な気もするので、自信はありません。
さいごに
とまあ、ほぼインストパートの解説に終始していますが、この曲をコピーする際に一番ひっかかりそうな場所がこの辺だと思います。よほど好きでもなければ完コピは多分しないであろう曲ではありますが、テクニックの上達にはこれほど最適な曲もないので、ドリーム・シアターが好きなのであれば、一度挑戦してみてください。全部出来上がったときの達成感はなかなか爽快です。
この曲の収録された2ndアルバムはDT史上でも最高傑作ですが、この曲から発展した「Scenes From A Memory」も好きな一枚です。
その後は、重いリフと高速ユニゾンだけが目立つようなバンドになってしまい、この「Images & Words」に見られるような幽玄な世界観に煌びやかなサウンド、美しいメロディがなくなってしまいました。
このアルバムでは全盛期のYESのような、アレンジの奥行き、果てなく広がるような音世界をメタリックなアレンジで包み込んだような、バランスの妙があります。そのバランスが徐々にスラッシュメタルやドゥーム系サウンドに偏っていくにつれて、僕個人としてはついて行けなくなりました。
英国に端を発したプログレッシブロックの、ヨーロッパ的な「静」の部分をバンドに導入するのに、やはり3rdの後に脱退したケヴィン・ムーアの功績は大きかったのでしょうね。