ギターアンプシミュレーターのプラグインを今更ながらに探している最近、Blackstarのプラグインがふと目に飛び込んできました。
イギリスの有名メーカーのプラグインともなれば一度試してみるしかなかろうと、トライアル版を試奏。最高峰との誉れ高いNeural DSPのプラグインとの比較もしてます。
初期印象
グラフィカルなUIは非常に良いです。絵的にも微細に再現されたアンプに、下の方にはわかりやすく「PRE FX」とか色々並んでいて、どこに何があるか一発でわかります。アンプはEL34と6L6の2つで、前者がよりオールドスタイルなジャキッとしたサウンドで、後者がモダンに寄ったハードなサウンド。ジャンルによって使い分ける感じです。
適当にセッティングして適当に弾くだけでそこそこ良い音が出るという点ではNeural DSPに及びません。あっちはプリセットを適当に選ぶだけで見事な音が出てきます。このへんはAmplitubeなんかはさらに酷く、各社ちょっとは改善してくれんかなあと思うポイントです。
使い勝手やできること
地味に充実なエフェクト
Pre FXになぜかコーラスやフェイザーが入っていますが、Post FXにもフランジャーやトレモロなど、空間系が妙に充実しています。ディレイ、リバーブの必須空間系は非常に出来が良いですが、ディレイはやや掛かりが薄いかも。とはいえ、このクオリティならば正直単一のディレイエフェクトとしてセンドFXとして使用できるレベルと思います。
ダブルキャビネットが可能
キャビの種類はBlackstar発のものに限られますが、10種類近くはあるので十分。キャビネット、マイキングをダブルでミックスできるのはキャビシミュ単体プラグインでのTwo Notes Torpedoを除いてあまり知りません。外部IRの読み込みはない模様で、このへんはNeural DSP製と同じ。
最近のキャビシミュは優秀になってきてるので、外部IRの必要性も感じなくなってきていますね。
機能は必要最低限
Neural DSP Archtypeはショートディレイを掛けての簡易ダブリングやトランスポーズまでできますが、この辺の機能もBlackstarにはありません。チューナーやノイズゲートぐらいです。まあトランスポーズなんぞある方が珍しいですが。
音質〜録音テスト
Neural DSP Archetype:Pliniとの比較でサウンドをつけています。Pre FXは不使用、適宜ディレイとリバーブをつけています。
Pliniは完全に現代風のサウンドで、マーシャル的オールドスタイルな音を信条とするSt.Jamesとは傾向が違いすぎるので、比較は参考程度にしてください。
クリーン
Neural DSP Archetype:Plini
クランチ
Neural DSP Archetype:Plini
リードギター
Neural DSP Archetype:Plini
ヘヴィリフ
Neural DSP Archetype:Plini
所感
クリーンとクランチはかなり良いですね。美しいクリスタルクリーンはアルペジオにぴったりで、クランチのジャリッとした感覚やピッキングへの追従性もブルースやファンク、ロック系にも合いそう。
ハイゲインからは独特のクセが顔を出します。マーシャルっぽいジャリッとした高域成分がピッキングについて回り、滑らかなリードギターのサウンドは作るのに少し難儀します。最後のリフでわかりますが、切り裂くようなメタル系ハイゲインサウンドはほぼ無理です。
意外に歪みが大人しく、ローゲイン〜ミドルゲインで真価を発揮する製品だと感じますね。ハイゲインもハードロック程度までならいけますが、それを望むならそもそも別の製品が良い気がします。
価格
さてさて、価格は129$となっており、正直単一メーカーのアンプ二台としては高いと思われます。プラグイン製品の定価などあってないようなものなので、セールを狙って買うことになるでしょう。EL34、6L6は一台ずつでも販売しているので、6L6だけでも買ってみようかと思いましたが、単一製品だとなぜかキャビとかエフェクトとかが削られる模様。
まとめ
トータルで見ると微妙でした。個人的にハイゲインサウンドを多用するので、あまり適合しないというのが大きかったです。公式サイトにもサウンドサンプルにハイゲインのものがないので、まあそういうことなんでしょう。
クリーン、クランチは絶品で、マーシャル的な噛みつくような存在感のある歪みを持つので、そこに魅力を感じるならアリでしょう。あとは、メインアンプが実機のSt.Jamesで、それをプラグインでも使いたいというケースとか。
ブラックスター BLACKSTAR ST.JAMES 50 6L6H 超軽量 真空管アンプ 6L6管 50Wヘッド ギターアンプ ヘッド