今どきTwo Notes “Le Lead”を買ったのでレビュー

現在廃版になっているLeシリーズの中でもリードギター向きの深い歪みが得られるLe Lead。一世代前の製品ですが、今回それを購入してみたのでレビューします。歪みが足りんなぁと感じることがたまにありますが、優秀なペダルです。

Two Notesのプリアンプ

真空管が入ったTwo Notesのプリアンプは現在ではReVolt Guitar、Bassが現行品で、Leシリーズはすべて廃版になっています。LeシリーズはClean、Crunch、Leadの3つがラインナップに存在し、それぞれジャンルによって使い分けるような感じですが、ReVoltはそれらすべてを横長の筐体に押し込んで、さらにブーストスイッチを付けたものになっていて、さすがに使いやすそうなんですが、なんせ高い。新品だと6万円を超える高値で、今の貧乏日本人にフランス産はやはりきついですな。

ちなみにLeシリーズはディスコンに伴い中古価格も下がっており、Le Leadは2万円ちょっとぐらいで手に入れました。

音質、使い勝手

強烈に効くEQ


EQはベース、ミドル、トレブルの3つで、ミドルについてはある程度帯域を選べるパライコになっています。いずれも劇的に効きが良く、少しキンキンするなあとトレブルを下げると、わりとすぐにモコモコしていきます。お陰で作れる範囲が結構広いです。逆にミドルの周波数帯域セッティングは回し切ってもあまり変わりません。ここももう少しわかりやすく変わってくれると良かった。

美しいクリーン

クリーンがすごくきれいです。アルペジオなどにはまさにうってつけ。しかし、後述する低ゲインの特性もあって、ゲインをいくら回しても歪みません。少し歪ませようとゲインを上げ倒しても音量だけが変わるばかり。そのせいでなんとも微妙に使いにくいクリーンになってます。音質そのものがいいだけにちょっともったいない。

チューブらしい粘り気


プリ管を搭載している恩恵か、大変粘り気のある良い歪みが得られます。ハイミッドあたりに若干のピークが感じられますが、それが硬さと芯として現れているため、ヌケがかなり良く、Leadという名を冠しているだけあって、ギターソロには非常に向いたサウンドです。

歪みは意外に少ない

この機器の最大の欠点でしょう。ゲインが予想以上に少ない。ゲインを最大まで回し切ってもメタルはおろか、ハードロックでも若干不足を感じます。手前にブースターを加えても音色が破綻しない(実験済)ので、ハイゲインを得たければ前段ブーストに頼るしかなさそうです。ちなみにこの低ゲイン傾向はクリーンにも現れているようで、前述の通り、どこまでも歪まないスーパークリーン専用チャンネルになってしまってます。

フュージョンモードはあまり良くない

ウリの一つとして大々的に謳われている機能ですが、僕の意見としてはあんまりです。

クリーンをブーストとして使うモードBは飽和感とブーストの際のノイジーな響きばかりが強調される妙なサウンド、クリーンとドライブトーンを両方出すモードAはそれに比べるとまだ使えますが、どうしたって妙な違和感が出ます。昨今のジェント系は結構この手法多いみたいなので、違和感なく混ぜる方法を僕が知らないだけかもしれませんが、特に低音リフなどを弾く際には変な感じがします。メロディを弾く際にはそれなりに効果がありますので、インスト系とかに限られるかも。

総じて使い勝手はイマイチで、まだ純粋なブースト機能とかをつけてくれたほうが良かったですねえ…。

アンプのインプット挿しもけっこうイケる

写真がないですが、アンプのインプット挿しもなかなかいけます。場合によってはゲインが上がり、前述の欠点もカバーできるかも。アンプにも依ると思いますが、通常のエフェクター的にも使用できそうです。いろんなつなぎ方をやってみましたが、下手したらリターン挿しより良い結果が得られる可能性も。

実演してみる

3種類の音色を使い分けて録音してみました。キャビネットは内臓のものはクソなので、外部に「Two Notes Torpedo C.A.B. M+」をセッティングしてます。

クリーン


ゲインは半分と少しぐらい。やや高域を抑えめにして落ち着いたクリーン。

クランチ


ゲインを半分以下にして、中域を押し出すことでブルージーなトーンにしています。

ディストーション


ゲイン全開。モダンなリフっぽいメロディを途中で演奏してますが、もう少し歪みがほしい。

フュージョン・モードA


これだけカラオケあり。Intervals”Touch and Go”という曲。これだけ聴くと、ラインレコーディング用として十分な音質が得られることがわかるでしょう。

まとめ

久しぶりにアナログのちゃんとした機材を買いましたが、やはり良いですね。立ち上がりは速く、打てば響くような反応、一瞬でできる音色の補正、つまみが現在のパラメータの数値の方を向いている(←重要!)…当たり前のところに安心感があります。

不器用な機材ですが、DI OUT、Line Out、Efx-Loopも装備し、主軸として任せられるポテンシャルもあります。まともなキャビネットシミュレーターが確保できるなら、ラインレコーデイングのためのアナログ機材としても不足はありません。上に挙げた欠点を許容できるならば今現在でも十分使えます。