New Gear!シャーベル「Marco Sfogli Signature」レビュー

最近、Charvelから2021年頃に発売されたMarco Sfogli(マルコ・スフォーリ)モデルを購入したので、ちょっくらレビューしてみます。使用期間は大体1週間ぐらいです。

マルコ・スフォーリはイタリアの人で、イタリアを代表するプログレバンドPFMや、ジェイムス・ラブリエ・バンドなどで演奏している人です。僕は個人的にはJam Track Centralの教材でお世話になってます。

Charvelというブランド

ジャクソンと兄弟的な存在で、80年代のハードロックのときに流行したブランドなので、そのイメージが強い人が多いでしょう。2002年頃にフェンダーに買収され、その後はラインナップを一新して、質実剛健なモデルを作り続けているようです。

フェンダーのライセンスを取得しており、同形状のヘッドが許されているそうな

https://www.charvel.jp

現在はスーパーストラト系のPro Modとか、トラッドなストラトのテイストを残すSo-Calとかがメインのラインナップなようで、Jake E.LeeモデルとかWarren DeMartiniモデルとか、80年代の香りが強いものもあるものの、わりと現代に適応したものを多く出しているようです。

ちなみに、フェンダーに買収されたことにより、フェンダーと同じ工場で作られているというもっぱらの話。こいつはクオリティを担保するうえで見過ごせない情報ですな。

Marco Sfogliモデル


ボディ:キルトメイプル on アルダー
ネック:キャラメライズドメイプル
PU:[EMG] SA、SA、89
ブリッジ:フロイドローズ1000

ざっくりとしたスペックはこんな感じで、ボディカラーはパープルバースト。なかなか珍しい紫色です。モデル的には典型的なストラトシェイプのSo-Calシリーズに当たるようですね。

ヘッド裏にサインあり

ポイントになるのはやはりEMGでしょうね。SAが入ってるところとか、某TOTOのギタリストを彷彿させます。

さて、ネックのキャラメライズドメイプル(Caramerized Maple)ですが、多分ローステッドメイプルとほぼ同じものでしょう。色合いも同じだし、少し硬めの音色にもその特徴が出ています。見た目は好き嫌いあるでしょうが、よりクールになっていて僕は好きですね。

ローストされた濃いめのメイプル

レビュー

端的に言って、かなり気に入りました。

作り

フェンダーと同じ工場(多分メキシコのエンセナダ工場)で作られているというだけあって、非常にしっかりした作りです。ペグ、ナット、ネックポケットやブリッジ周りに至るまで甘さはほとんど感じられず、生の状態でもなかなかに気持ちの良い鳴りをしています。フレットの精度も高く、エッジの処理も相当に丁寧で、イントネーションも正確です。ネックにもカーボンファイバー補強がされており、反りにも結構強そうです。

本体の重量も適当で、ネック落ちが気になることも、重すぎて取り回しにくいということもなく、平均的なストラトと同じぐらいじゃないでしょうか。

プレイアビリティ

実際に弾いてみて一番おどろいたのがここです。とにかく弾きやすい。弦高もかなり自由が効き、ネックの形状も良いです。Charvelのネックにはわりと定評があるようで、確かに握り込んでのフォームからクラシカルなフォームまで何でも対応しやすい形に感じます。お陰でカッティングから速弾きまで何でもござれです。下手したらうちにあるギターで一番弾きやすいぐらいかも。

ハイポジションの演奏性も一応確保してある

音色

ネック、ミドルがSA、ブリッジは89

音もかなり良く、特にアクティブのノイズレスを生かしたクリーントーンは絶品。歪ませてもかなりの太さを保っているため、ブリッジPUで高域のソロを弾くのが気持ちよいです。とはいえ、レスポール的な中域の押し出しはあまり強くなく、その形状からくるストラト系特有のブライトさ、ジャキっとした成分を含んでいます。そのため、整理された印象は薄く、暴れたやんちゃな感じが残されています。

音色についてはこのYouTube動画がかなり近いですね。

気に入らなかったところ

音色のコンプ感

音色に若干ですが、コンプレッションが掛かりすぎていると感じることがあります。これはギターよりもEMGのピックアップによるものかもしれませんが、設定を誤るとバンドで抜けないかもしれません。

22フレット仕様であること

あと、トラッドなスタイルのギターではあるものの、24フレットが欲しかったですね。Marco Sfogliと言えば2010年代以降のシーンでもトップクラスにハイテクニカルなギタリストの一人。僕が練習していた曲にも絶賛24フレットが登場します。こやつはシグネイチャーモデルのくせに22までしかないので、Marco SfogliモデルでMarco Sfogliのフレーズが弾けないという妙なことになっていますので、ここはなんとか24をぶち込んでほしかった。

フロイドローズのがたつき

パチモンじゃなくてちゃんとしたフロイドローズです

あと、ギター本体じゃなくてフロイドローズが悪いんですが、アーム根本のがたつきが気になりますね。これは交換で凌げるようなので、そのうち換えようと思います。余計な出費が増えるばかりです。

FLOYDROSE ( フロイドローズ ) / Push In Style Tremolo Arm Chrome(サウンドハウス)

ニッケルフレット

昨今はステンレスフレットが標準になっていることも多く、当モデルもそうしてほしかったですね。まぁ、かなりトラッドなスタイルのギターなので、24フレットの項と同じく根本的に難しい注文かもしれませんが。ニッケルはすぐに汚れる、ザラザラして弦が引っかかる、すり合わせ&打ち直しに膨大な金が掛かる、と何も良いことがありません。フレットが減って弾けなくなった暁にはステンレスに張り替えるかもしれません。

まとめ

トータルで見るとかなり良いギターでした。凄まじい値上がりラッシュのご時世、20万弱とは思えないクオリティです。サウンドハウスのレビューでもメキシコ製Charvelは高評価を得ており、さもありなんという感じです。

CHARVEL ( シャーベル ) / Pro Mod San Dimas Style1 HH FR Snow White(サウンドハウス)

CHARVEL ( シャーベル ) / Marco Sfogli Signature Pro-Mod So-Cal Style 1(サウンドハウス)

「Charvel?80年代に一斉を風靡したあと、過去の栄光だけで細々と生き延びているだけのブランドだろ」という僕の偏見を見事にぶち壊してくれた好モデルです。あまりシグネイチャーモデルっぽくないので、Marcoさん知らない人にもおすすめです。