EMG 89から57に変えた話

前に購入したCharvelのMarco Sfogli Signatureについて、先日の記事にもブリッジピックアップのハムバッカーがコンプ感が強く、ヌケが悪いと書いており、ここを改善するために、ピックアップを交換しました。

New Gear!シャーベル「Marco Sfogli Signature」レビュー

EMG 89から57へ

EMG 89 BLACK (サウンドハウス)

デフォルトでついていたのはEMG 89。シングルとハムのコイルが同居しており、ワンタッチで両方を使い分けられるというもの。ハムのときは85に近い音色で、シングルのときはSAに近いというのが公式の文言です。

89を使ってみての所感

89を実際に演奏してみての所感はこんなところ。

・ハイパワー
・低域も高域も出る→ドンシャリ
・そのためレンジが非常に広い→クリーンが秀逸
・切り裂くようなリフが得意
・オーディオ的に整理された音

ファーストインプレッションのヌケが悪い印象は独特のコンプ感よりもドンシャリな性質に依るところが大きそう。録音にて比較してみると(下の方に音源つけてます)、つけ直した57に比べてドンシャリなぶん相対的に中域が弱い。コンプ感が強いところから、パッと聴いた際に非常に整ったサウンドになっていて、EQやコンプで補正したオーディオ的なギターの音がそのまま生楽器から出力される感覚があります。

低域から高域まで、非常にレンジが広く倍音成分が豊かなためか、ゴリゴリしたサウンドが得意で、リフを刻んだときの切り裂き感が強いです。さらにクリーンで弾いたときにその恩恵を受けており、通常のハムバッカーでは考えられないキラキラした美しいクリーンとなります。

EMGはハンダがなく、端子でくっついているだけ

これらはすべてハムバッカーとして使用したときのもの。シングルに変えると出力が下がりすぎてバランスがとれなかったため、ほぼ使っていません。89は昔、別のギターでネック側に装着したことがあるんですが、そのときには感じなかった欠点です。弦の振動バランスの影響をブリッジ側のほうが強く受けるのかも。

ちなみに89のハム部分は85と近いらしいので、この特徴、85でも当てはまるかもしれません。

EMG 57へ換装

EMGの売り文句では57はトラディショナルなPAFのイメージで作り出されたとのこと。PAFのオールドなサウンドも僕は別に望んでるわけではないんですが、89の整いすぎたサウンドから少し自然体で演奏できるものを求めたときにこれが一番近そうでした。

EMG 57はバーポールピースではない

ピックアップ本体に付属品として端子がついたポットや基盤などが付いてきますが、今回使ったのはボリュームポット一基のみ。あとはギター本体に付いているものをそのまま使います。89はボリュームポットにコイルスプリットのためのプッシュプル機構が内蔵されていたんですが、それが必要なくなったので、57に付属のものに変えます。

付属する端子付きボリュームポット

演奏データ

Dream Theaterの名盤を飾る一曲「Overture 1928」から。ちゃんと弾けてないとこもありますがご容赦を。

シミュレーターはAmplitube4、セッティングは両トラックで全く同じ。ソロ後半はネックPUに移っているため割愛してます。

フルサイズ

EMG 89
EMG 57

低音リフ

EMG 89
EMG 57

これを聴くと89のゴリゴリ感、切り裂き感がよくわかります

コード伴奏

EMG 89
EMG 57

わかりやすい。89の抜けが悪く、57はややもっこりしています

ソロ

EMG 89
EMG 57

メロディではなかなかどちらもいい音ですが、弾き手の感覚では57の方がピッキングにうまく反応してくれる感があります。

比較インプレッション

57はコンプ感が少なく、アタックも結構強い。このへんはポールピースがバーになっていないのも影響していそうです。ダイナミクスも付けやすく、中高域にピークが移ったことで、低音リフをあまり弾かずメロディックなプレイが多い自分のスタイルにはより合っている感じがします。

反面、89では長所と思われた要素がかなりなくなっています。比べると

・パワー控えめ
・低音(かなり)弱い
・レンジは広いが89ほどではない

などなど。

リフを弾いた際の切り裂き感はかなり減り、オーディオ的なスタイリッシュでまとまった音も出ません。低域は相当減りましたが、ネックPUがシングルコイルなので、逆にEQセッティングでバランスが取れそうな気がします。

録音してみて気付いたのですが、波形を見ると57の方がギザギザしていて89は滑らかです。オーディオ的な整理された音はこのような要素もあるのかも。

波形の比較

EMG 57 BLACK (サウンドハウス)

まとめ

EMG 57は最も汎用的というレビューが多いですが、確かにそんな感じがします。89に感じられる尖った個性がなく、いい意味でEMGらしからぬ没個性的なサウンドの傾向があり、それが様々なジャンルにうまくマッチしそうです。その割にアクティブのローノイズや安定感など長所をしっかり残しており、よくぞうまくバランスを取ったものだと感心させられます。まあ、トラディショナルなPAFの印象は良くも悪しくもそんなに強くは感じませんでしたが。

EMG 57 BLACK (サウンドハウス)

57に交換して思いましたがEMGはやはりとても良い音です。凄まじい低ノイズ、透明感に溢れるクリーントーン、素晴らしいサステインのドライブサウンド…、”電池が要る”という以外の欠点が見当たりません。まあその欠点が最大の難所なんですけどね。