ダイアトニック進行
ダイアトニック・コードだけで作られているコード進行をダイアトニック進行と通称します。ほとんどのロック・ポップス系楽曲はこれを基本として出来ています。
ダイアトニック・コード(4和音)
- Cmaj7 (Imaj7)
- Dm7 (IIm7)
- Em7 (IIIm7)
- Fmaj7 (IVmaj7)
- G7 (V7)
- Am7 (VIm7)
- Bm7-5 (VIIm7-5)
“7”の付かない3和音でも役割は同じです!
ダイアトニック・コードだけで作られたコード進行にはこんなものがあります。
コード進行を分析する際には「IVmaj7」などのように、ローマ数字を使うのが一般的。キーの変化にとらわれず、役割を明確に表せるからです。
コードの役割分担
ダイアトニック・コード7種は、それぞれのコードに役割があります。
- トニック:Imaj7、IIIm7、VIm7
- サブドミナント:IIm7、IVmaj7
- ドミナント:V7、VIIm7-5
トニックはそのキーに落ち着きをもたらす役割があります。反対にドミナントは不安定な響きで、トニックに帰着しようとする性質を持ちます。
サブドミナントはいわばその間の役割で、展開を促す役割があります。不安定をもたらすドミナントにおいて、特にV7は「ドミナント・セブンス」と呼ばれます。よく出てくる用語です!
トニックとドミナントのからくり
Cメジャーで話をすると、G7とBm7-5という2つのドミナントには「シ」と「ファ」の2音が含まれます。半音5つ分離れたこの音の組み合わせを「トライトーン(減五度音程)」と呼び、これが不安定な響きを生み出す要因です。
シ・ファの組み合わせは、安定したド・ミに行きたがる性質を持ち、シが半音上がってドに、ファが半音下がってミに行くことで、安定を生み出します。CとAm7が安定感の強いトニックという扱いになっているのは、ド・ミの組み合わせが構成音上に含まれるからです。
一方、トニックの中でもドが含まれないEm7は安定感が弱く、落ち着きをあまり感じられません。曲の最後をこれで締めても、終始感は薄いです。
マイナー・コードへのドミナント・モーション
E7→Amというマイナーコードへ帰着するドミナント・モーションでは、”ファ→ミ”という動きが存在しない代わりに、”ソ#→ラ”という動きが登場します。通常のG7からの移動以上に帰着感が強く、強烈な暗さを感じます。70年代に日本のフォークソングで定番として使われたB7→Emの動きはまさにこれです。
ドミナント・モーション
V7などのドミナントはトニックに戻ろうという性質が強いので、「V7 – Imaj7」などのような進行をよく作ります。これを「ドミナント・モーション」と言います。
ドミナント・モーションは曲中の至る所で目にしますが、V7のみならず、帰着する直前のコードをセブンスに変えて、ドミナント・モーションを意図的に作り出すようなアレンジもよく行われます。「セカンダリー・ドミナント」と呼ばれる使い方です。(次項「さまざまなアレンジ」を参照)
ツーファイブ
G7 – Cmaj7などのドミナント・モーションにおいて、G7のさらに前にDm7がついて、Dm7 – G7 – Cmaj7という進行をなすことが多々あります。このときのDm7 – G7を「ツーファイブ」と言います。IIm7 – V7というローマ数字から来ている名前です。
メジャーとマイナーのツーファイブ
「IIm7 – V7」は次にメジャーコードのトニックを呼びやすいので、特に「メジャー・ツーファイブ」と呼ばれます。
「Bm7-5 – E7 – Am7」のように、VIIm7-5 – III7という場合は、マイナー・ツーファイブと呼ばれます。この書き方ではCメジャー・キーであるために、IIもVも出てきません。しかし、ImにあたるAmを基準として、Aマイナー・キーで表記すると、「IIm7-5 – V7 – Im7」となり、ツーファイブという呼称がしっくりきます。マイナーツーファイブはIIが”m7-5″(マイナー7フラット5)になっているのが特徴です。
ツーファイブを指板上で把握!
全部Cで書いているならばDm7-G7だけ覚えればいいのですが、実際には12のキーがあって、全部覚えるのは大変ですよね。そういうときはギターの大きなメリットである「ずらすだけで転調」を使いましょう!
着地点の”I”を基準としてどこに”II”と”V”があるのかを覚えれば、その場ですぐに探し出すことができますよ。