ペンタトニック・スケールは1オクターブ7音のダイアトニック・スケールから2つを抜いて1オクターブ5音にしてしまったもの。ここからはまたまた1オクターブ7音の世界に戻ります。
教会旋法とは
教会旋法の話は、一度首を突っ込んで、すぐに退散してしまう人が多いのですが、それはなぜでしょう。恐らくドレミファ…の始まる場所を変えると名前が変わる、という説明に終止してしまうからだと思います。ここでは実践に近づけるように解説してみましょう。
教会旋法(チャーチ・モード)
ドを基準にして「ドレミファソラシ」と並べることで、メジャー・スケールができあがります。おなじように「レミファソラシド」と、一つずらして”レ”を基準にすることで、ドリアン・スケール(モード)ができあがります。こんな感じで並べていくと、ドからシまでの各音を基準として、合計7つのスケール(モード)が作られます。
- ド(root)=イオニアン(メジャー)
- レ(2nd)=ドリアン
- ミ(M3rd)=フリジアン
- ファ(P4th)=リディアン
- ソ(5th)=ミクソリディアン
- ラ(M6th)=エオリアン(マイナー)
- シ(M7th)=ロクリアン
スケールではなく「○○モード」という表記がされることも。これらを総称して「教会旋法 (チャーチ・モード)」と呼びます。
イオニアンとエオリアンは、メジャー・スケール、マイナー・スケールのチャーチ・モード上における名前ですが、大抵のケースではマイナー・スケールと呼ぶのが一般的で、わざわざ”エオリアン”という人はあまり見たことがありません。
教会旋法は上から「イ・ド・フ・リ・ミ・エ・ロ」と繰り返し唱えていると、少しずつ覚えられてきます!
覚えにくいこれらのモードの名称の由来は古代ギリシアの音楽理論からです。イオニアとかドーリア、フリギアなどは当時のギリシア周辺の場所や民族の名前で、古代ギリシアのものは全く違う理論形態でしたが、名前だけが今も受け継がれています。
中世ヨーロッパではグレゴリオ聖歌で取り入れられましたが、当時は長調、短調の考え方がなく、モードを軸にするのが主流でした。バロック音楽以後、教会旋法の考え方は廃れていき、メジャー・スケール、マイナー・スケールを軸とする考え方が主流となりました。その流れは現在でも続いています。
マイナーとメジャーで分ける
メジャー・スケール、マイナー・スケールというと、それ自体でスケールの名になりますが、そもそもメジャーは長調(明るい)、マイナーは短調(暗い)という響きを表した名称。コードにもCメジャーとCマイナーがありますね。
そんなわけで、チャーチ・モード7種もそれぞれ明るいものと暗いものに分けることが出来ます。ポイントはルートと3度の音の関係。3度の音が長3度(M3rd)なのか、短3度(m3rd)なのかによって明暗分かれます。これもコードと同じですね。
さらに、各モードに対応する4和音コードを一緒に書いています。これがモード奏法に発展させる際に超重要になるので、できればモード名と合わせて覚えていくのが望ましいです。
メジャー系(3度がメジャー)
※各音源は違いを明確にするため、全てルートをC(マイナー系はA)に統一しています。また、先にコードを鳴らしてからスケールを弾いています。
イオニアン [メジャー](Cmaj7 / Imaj7)
リディアン(Fmaj7 / IVmaj7)
上の三つをみてもらうとわかるとおり、全て3度の音は長3度(M3rd)になっています。これが長調に聞こえさせるポイント。ちなみにピンクの線が引いてある音が普通のメジャー・スケール(イオニアン)とは違う音。これを「特性音」などと呼び、強調して演奏することで、普通のメジャー・スケールにはない、ちょっと違う響きを強く押し出すことができます。
イオニアン、リディアンはメジャー7th系なので、通常のmaj7コード上において使用可能。ミクソリディアンは7つ目の音が短7度になるので、ドミナント7thの響きを持ち、適応するコードはmaj7ではなく、7thとなります。
マイナー系(3度がマイナー)
エオリアン [マイナー](Am7 / VIm7)
ドリアン(Dm7 / IIm7)
フリジアン(Em7 / IIIm7)
ロクリアン(Bm7-5 / VIIm7-5)
お次は短調。3度が短3度(m3rd)という部分が共通します。エオリアンが普通のマイナー・スケールで、ピンクの線が引いてある特性音は、このエオリアンと異なっている音。
ギターで使いやすい形と覚えやすい響きを持つドリアンについては、使い勝手抜群です。
ロクリアン以外は普通のマイナー7thにおいて使用できます。ロクリアンは5度がフラットしているので、対応するコードがm7-5になります。m7でないところに注意。
全モードをルート”C”で見る
注)全てのポジション図を載せていますが、全部覚えるのではなく、比較的使いやすそうなものを二、三覚えて応用するのが一般的です。