シグマの30mm f1.4はリニューアルしてますます使いやすい銘玉となりました。先日APS-Cからフルサイズ機に移行しましたが、このレンズだけは売らずに取っておいています。
今回はAPS-C専用のこのレンズをフルサイズで使ってみました。もともとイメージサークルが大きく設計されているらしく、フルサイズ機でも条件次第では十二分に使えそうです。
レンズそのもののレビューはこちらをご覧下さい。
SIGMA Artライン 30mm f1.4 DC HSM 実写とレビュー
大幅なビネットはF5.6から改善
下の写真を見るとわかりますが、開放に近いと大幅なケラレが発生し、それがヴィネットとなります。各写真、右下と左下を比較するとわかりやすいですね。
1.4の明るさとこのビネットを作品の中に取り入れてしまうというのは選択肢としては面白いかもしれませんが、通常通りの使用は難しいです。F5.6と7.1でほぼ差が無いぐらいになるので、5.6辺りからはいくら絞っても同じようです。描写が実際に使えるかどうかは被写体や構図による感じですね。
被写体別のテスト
こちらはF7.1。このような風景だと絞りきってもビネットがきついです。トリミングの前提ならありですが、画面の明るい風景写真では少々厳しい。特に上部の空はかなり目立ちます。ローキー写真なら大丈夫か。 こちらは開放で、かなり強烈なビネットが発生していますが、構図が日の丸系なのであまり気になりません。むしろ中心が強調されて面白い効果になっています。
クロップを試してみる
キヤノン機にはありませんが、ニコン機には等倍のFXに加えて1.2倍、1.5倍にクロップする機能が付いていますのでそれを使ってみます。F値はいずれも開放。
×1.2でもヴィネットはまだ若干目立ちますが、少し絞れば大丈夫そう。DXクロップはさすがに問題ないといえる領域だけが写っていますね。
まとめ
ヴィネットを作品に活かすのでなければ、正直最低でもf4程度までは絞らざるを得ないだろうと思いますが、フルサイズ機はAPS-Cよりもぼけやすいので、ふわっとした写真はそれぐらいでも撮れなくはないでしょう。ただ、このレンズの最大の利点は開放1.4にこそあり、これが使えるかはその被写体と撮影者の意図次第といったところ。
もともと写りは非常に解像度が高いものなので、フルサイズならではの30mmという広角寄りな画角を活かして、ある程度絞り込んで中距離からの風景やスナップを狙うのも一興でしょう。
フルサイズ機を手元に置いている人が新品でわざわざこれを狙うかは微妙なところですが、既にお持ちの方は、APS-Cでもフルサイズでもある程度両方使えるレンズという位置づけで置いておく価値があるんじゃ無いかと思います。これほどの解像度と明るさを両立させたレンズをフルサイズ機で手に入れようと思うと、軽く10万ぐらいはしそうな気がしますしね。